2013
12.14

電話で救う緊張感、予想外の唐突感。『ザ・コール [緊急通報指令室]』感想。

The_Call
THE CALL / 2013年 アメリカ / 監督:ブラッド・アンダーソン

あらすじ
911はアメリカ合衆国の緊急通報用電話番号。



誘拐された少女から助けを求める通報を受けた911緊急通報指令室のオペレーター、ジョーダン。果たして彼女は少女を救うことができるのか、というサスペンス。

主人公はあくまでオペレーターであり、受けた通報を元に必要な部署へ連絡するのが仕事です。自らのセリフに「感情は切り離せ」とありますが、そうしないと神経がもたないから。しかし誘拐した犯人の手掛かりを得るためと、過去のある事件のトラウマから、少女を助けることを使命と思い奮闘することになります。この流れが自然で良いです。

そして画面上は逐一映される展開が、実際は主人公には一切見えていないわけで、繋がりはかけっ放しの携帯電話だけ、全てを会話と音声だけで対処するというサスペンスの緊迫感が素晴らしい。わずかな情報から居場所の痕跡を残すという頭脳戦、ヤバい犯人に気付かれるー!というスリルや駆け引きは見事。通話が切れるまではほぼ完璧な出来と言って良いでしょう。そんな緊張感抜群のサスペンスが、終盤違うジャンルに豹変してしまいます。これはホントにまさかの展開。そこがこの作品の面白いところでもあり、引っかかるところでもあるんですが。

911の内情が映画でここまで描かれるのは珍しいんじゃないでしょうか。少し間違うと地味になりそうなところを上手く編集しています。それにしてもハル・ベリーは相変わらず美しい。冷静であるべき立場での感情の出し方が豊かです。さらわれた少女ケイシー役のアビゲイル・ブレスリンも恐怖のどん底に落ちる真面目なJKぶりが良いです。

それだけにラストに違和感が残ってしまうんだよなあ。このひねり方は決して嫌いじゃないんですけどね。

↓以下、ネタバレ含む。








なぜ犯人はケイシーを誘拐したのか、何を企んでいるのか、という動機が気になるわけですが、イヤまさかね、サイコ・スリラーになるとはね、予想の斜め上を行きましたね。別にただの金目的であっても十分スリルは出せたと思うんですが。妻子もあり真っ当に仕事もしている男が実は超キモいサイコ野郎であり、そのあたりをやたらじっくり描くのがある意味スゴい。なんでしょうねあれは。大好きな姉ちゃんが病気で最後は髪が無くなったからそれを取り戻したかったってことなんですかね。いや面白いんですけど。

問題はラストです。最後に直接対決するのは別にいいんですよ。でも結果を知ることもない無力さと過去の事件のトラウマを抱えてはいても、正義感は強いと思われるジョーダンと、死ぬほど恐ろしい酷い目にあったけど真面目なケイシー、そんな2人があの結末に至る憎しみの描写がさすがに不足してる気がします。その前の鈍器で殴ったり刺したり蹴り落としたりの行為が、悲しみや屈辱からくる怒りを思い起こしてそこに至ったのだ、と言えなくもないですが、やはり唐突感が否めない。冒頭の犠牲者であるレイアと同一犯というのもちょっと出来すぎ。まず連絡をするべきなのにしないというのが実は伏線であったというのはイイんですけどね。でも何より911の緊急通報がもう関係なくなっているというのが残念。

良かったのは、彼氏である警官がただのパシリではなくちゃんと捜査して手がかりを見つけるという警察らしい動きをするところですね。振り返ればケイシーが捕まる前、覗くように映すカメラが犯人の視線だったというところとか。あと人の善意は時として仇となる、ということ。トランクの穴から手を振るケイシーに気付いた高速での女性ドライバーの余計な行動とか、ペンキ漏れてるよって言う男が怪しんでその場で電話をしたために自分も巻き込まれるとか。このような危機意識がないためにせっかくの善意が悪い方向に働くというシニカルな視線がまたサスペンス的にとても良かったです。


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