2013
11.28

長さに耐えて目にする歴史的瞬間。『清須会議』感想。

kiyosu_kaigi
きよすかいぎ / 2013年 日本 / 監督:三谷幸喜

あらすじ
会議で決める国の行く末!



信長亡き後の織田家後継者を決める会議で豊臣秀吉と柴田勝家が対峙する、という史実に沿った戯曲を三谷幸喜脚本・監督で描く群像劇。三谷作品の時代劇は『新選組!』以来ですかね?信長と秀吉くらいを知ってれば史実を知らなくても問題ないという分かりやすさ、何よりこれだけの登場人物が出るのにそれほど混乱しないというのは大したもんです。

もちろんビッグネームを取り揃えた役者陣の影響が大きいのは言うまでもありません。キャスティングを聞いたときから期待していた大泉洋の秀吉は最高。役所広司の今にも匂ってきそうな愚直さもイイ。コウモリ野郎の佐藤浩市もハマってます。あと寺島進の官兵衛が渋くて良かった。一体子供をあやすのに何したんだろう……信長演じる篠井英介が信長の肖像画にめっちゃ似てるのは笑いました。

巷で酷い酷いと言われていたのでハードル下げて観たせいか、お話としては結構面白かったです。三谷作品の群像劇は、あちこち広げた伏線を回収しうまい具合に丸めこんで万事めでたし、ってパターンが多いけど、今回はそれっぽく見せて実はそうではない、というのがミソ。

でもこれは戦であると言ってるわりには緊張感が不足してて、どこか愉快でいい話にしようとしてる感は残念。あとこれは舞台向けの話な気がするな。映画にするならもう少しシャープにしたほうが良かったです。

↓以下、ネタバレ含む。








難点の一つは柴田勝家が愚かすぎて秀吉の冴えが浮かび上がらないことなんですよ。後継者より先にお市様に会いに行くという序盤の時点でもうダメ親父すぎ。完全にキャバクラにハマったおっさんです。筋肉バカなのはコメディ的な役回りなんでしょうが、最初から負け戦感が強すぎて逆に秀吉が一枚上手だったという点が生きない。ライバルとしてバランスが悪いのです。おまけに体臭がキツイという設定まで付いて、なんかもう不憫すぎる。志を持つ者と現状維持しかできない者との差はこうも大きいものであり、その差が時代の変わり目を生むということでしょうけどね。

また、時間軸に沿って全部描いてしまうのでスリルに欠けます。事前に打つ手は細かいところまで映すので、会議の行方が盛り上がりに欠ける。丹羽長秀がどう出るかというのはあるけど、そこも予想通りになるのは分かってるしなあ。せめて丹羽が大局を見て決めたのか勝家に愛想を尽かしたのかはもう少し描いてれば良かった。

それらはまだいいけど、 三法師を抱えて上座に座り「頭が高い」のシーン、あれ明らかにクライマックスですがそこからダラダラ長いのだけはどうにもいただけない。忍者もマツケンもついでに西田敏行(これは最後ではないけど)も余計。剛力の思惑もちょっと無理やりっぽい(最後の笑顔のキモさは絶品でしたが)。あそこで唯一いいのは浅野忠信演じる前田利家に秀吉が心情を吐露するところですね。でもあのシーンはいっそのことクライマックスの前にやっておけば、秀吉の真意は一体どっちだ!みたいになってより味わいが出たと思うんですけどね。

それでも「頭が高い」シーンは良かったですよ。既に威厳さえ漂う秀吉と、屈辱に耐え切れず歯を食いしばりながら頭を下げる勝家。自分の思うところより遥か上の次元で戦の勝敗が付いたことを、勝家はここに至ってようやく悟るわけです。これぞ「歴史が動いた」瞬間。ここでエンドロールに行っちゃってもいいくらいたまらんシーンでした。要は秀吉が一人勝ちする話であり、全てがめでたしでもないというのがイイ。そういう意味では三谷映画の中では実は好きなほうかも。


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