2013
11.09

怖いのは震災か人間か。『アフターショック』感想。

Aftershock
Aftershock / 2012年 アメリカ /監督:ニコラス・ロペス

あらすじ
チリ旅行に来たら悲劇が待っていた。



チリで起こった大地震後の恐怖を描くサバイバル・スリラー。製作・脚本のイーライ・ロスが主演も務めます。でも主演と言っていいのかどうか迷うこと間違いなし。

最初は男三人組がバーやクラブで飲んだくれたりナンパしようとする、まるで『ハングオーバー!』のような展開。そのうちの一人のポロなんて、見た目から金持ち・ファザコン・破天荒という設定までほぼ『ハングオーバー!』のアランです。カメラが歩く女性のプリケツを追いながらクラブでダラダラする三人を映すあたりは『スプリング・ブレイカーズ』のようなはっちゃけぶり。女性三人と一緒に飲んだりしてなんか楽しそうだなオイ。

そんな感じで呑気にチリ旅行気分に浸っているところで、突然の度肝を抜く展開。ここから人間の本性が暴走するディザスター・ムービーへと一気に変貌します。希望を見出そうとするたび絶望が襲い来るという、ドン底のスパイラルへと突入。最初のうちは思わずニヤリとするゴアシーンがあったりしますが、徐々に笑えなくなってきます。序盤の腑抜けパートが意外と長い分、(好き嫌いはおいといて)キャラに多少の親しみが湧いているため、ショッキングさも並みじゃない。しかもヒーロー不在。救いなし。ホラー映画かと思ってたら違ったというか、現実感があるだけ余計怖い。チリという国の馴染みのなさがその怖さに拍車をかけています。

ハッキリ言って好きな作品ではないですが、日常を一皮向けばそこには地獄がある、ということを認識できます。古屋兎丸のマンガ『彼女を守る51の方法』を読んだ時もイヤ~な気分になったけど、あれは最後に希望があっただけまだマシだったかも。

↓以下、ネタバレ含む。








脚本の粗さが気になります。お姉ちゃんの中絶話という特に意味のない話はしておきながら、閉所恐怖症っぽいことの説明はないし。教会に押し入ってきたはずの囚人たちが追ってこないのが不自然だし。消防署員のふりまでして逃げてきたのに地下のあのシチュエーションで凶行に及ぶとか一体何がしたかったの?とか。

とはいえ主人公だと思ってたイーライ・ロスの最後には驚きましたね。あの下敷きになってからの一連のシーケンスは本当に胸糞悪い。襲ってくる囚人たちが訳のわからない生物ではなく、凶暴だけども同じ人間であるというのがまた酷い。大地震が起きてるのにそんなことするかよ、と言う人もいそうですが、自由を得たうえにそこはやりたい放題出来る世界だったとなれば、理性のタガなんて誰でも外れかねない。その最たるものの象徴が囚人たちです。

調子こいてたけど友人のために泣きながらロープウェイに乗せてくれと懇願するポロ、元カノに未練タラタラだけど人畜無害なアリエル、嫌いながらもいざとなると姉の心配をする妹ちゃん、息子の写真を私のヒーローと見せるロシア女性。子供がいる、というのも助かる伏線にはならず、死ぬ理由なんかない人々が無慈悲に殺され、あるいは不幸にも命を落としていく。そしてついに生き残ったと思ったところでラストのアレですよ。思えば教会のキリスト像が倒壊した時点で「救いなどない」と明確に示してますからね。こんな現実は起こりうる、だがフィクションで良かった、と思うべきなのかもしれません。


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