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2013
10.30

家族を守れ!襲いくる呪いの館。『死霊館』感想。

The_Conjuring
The Conjuring / 2013年 アメリカ / 監督:ジェームズ・ワン

あらすじ
ヤバい家を買ってしまった。



田舎に買った屋敷に引っ越してきた、夫婦と娘5人のペロン一家。しかし屋敷では奇怪な現象が次々と起こり、一家を恐怖に陥れる。家族の身の危険を感じた妻キャロリンは、有名な超常現象研究家のエド&ロレイン・ウォーレン夫妻に調査を依頼。屋敷を訪れたウォーレン夫妻はそこで恐ろしいものの存在を感じ取る……。ジェームズ・ワン監督による心霊ホラー。

超常現象の研究家として実在したエド&ロレインのウォーレン夫妻が、最も邪悪で恐ろしい事例として上げた事件を描く、実話を元にした心霊&館ものホラー。ペロン夫妻と5人の娘が越してきた屋敷で封鎖された地下室を見つけたことに始まり、寝てる間に何者かに足を引っ張られたり不気味な音に悩まされたり、挙句に異形の者に襲われたりします。相談を受けたウォーレン夫妻がこれを調査して祓おうとするものの、予想を超えた恐ろしい事態に。メインとなるのはペロン一家ですが、やがてウォーレン夫妻にも危害が及んでペロン一家とほぼ同列に描かれ、さらには物語の中心にさえなっていきます。ウォーレン夫妻の伝記ものという趣きもあると言えます。

監督は『ソウ』『インシディアス』といったホラーから『狼の死刑宣告』『ワイルド・スピード SKY MISSION』といったアクションまでこなすジェームズ・ワン。『インシディアス』も似た感じの館ものホラーですが、焦点が除霊する方にまで広がるため、『リング』のような「拡散する恐怖」というものまで取りこんでいるのが少し異なる点でしょう。そして家の中の構造を一気に見せる長回しやトリッキーなカメラワーク、暗闇の見せ方や空間の使い方による恐怖の煽り方が抜群。また一家の子供たちが女の子ばかり5人という構成も緊張感となります。

エド・ウォーレン役は『ウォッチメン』のナイトオウルことパトリック・ウィルソンで、『インシディアス』に続きヤバい存在と対峙することになります。ロレイン・ウォーレン役は『マイレージ、マイライフ』ヴェラ・ファーミガ、霊が見える体質による疲弊がありながらも凛とした佇まいが素敵。この夫婦がとても誠実で好感度が高いため、超常現象研究家という肩書の胡散臭さを払拭して頼れる存在となっています。またペロン家の妻キャロリン役の『ホーンティング』リリ・テイラーがかなりの熱演。ペロン家の娘ではクリスティン役が『ホワイトハウス・ダウン』の旗振り娘、ジョーイ・キングちゃんです。可愛いです。

地下室や部屋と部屋の隙間、広大な庭などを持つデカい家というシチュエーションであるとか、キリスト教に対する悪魔という存在などはアメリカならではという感じですが、様々な恐怖表現でビビらせてくるので、気付いたら手を握りしめてる、なんてのもざら。そこに絡む家族のドラマが時にスリル、時に温かさとして展開していきます。王道の心霊ホラーとしてむっちゃ怖いんだけど、でも面白い。様々な館ものホラーの総決算的な完成度と言えるでしょう。この家、「競売で安く買った」みたいなことを父親が言ってますが、いくら安くてもこんなオプション付きの家はイヤであります。

↓以下、ネタバレ含む。








本作は怖さを追求しまくった感が実に凄い。部屋の隅が全く見えない闇、勝手に開くドア、3時7分で止まる時計といったジャブ的なものから、寝てるとき足を引っ張られたり、目隠しかくれんぼで誰もいないはずのタンスから手を打つのが見えたり、地下室に閉じ込められたと思ったら後ろの闇で手を打ったりと、徐々にエスカレート。タンスの上を見上げたら何かいる!とか、シーツが風で飛んだら見えない何者かに当たるとかもうビクッ!ってなりますよ。ヒッチコックの『鳥』みたいなバードアタックもあるし、四女シンディが夢遊病で歩き回るというのは「以前もあった」みたいに言いますが、それが再発なのか霊現象なのかわからないのもイヤですね。最恐なのはロレインが隠し隙間部屋から地下へ落ちた後の恐怖の連鎖。地下室に一人きりで光量も少ないなか、ぶら下がった足だけが見えててそれがゆっくりこちらを向くとか、鏡に何か映るかと思ったらズラしてくるとか、そもそも閉じ込められた感が凄くて泣きそうですよ。

なぜこれだけバラエティ豊かな怖さを出しているかと言えば、霊が一種類ではないからですね。元凶は子供を生贄にしようとし土地に呪いをかけた魔女の霊で、その呪いを食らって死んだ子供や主婦やメイドといった複数の霊が蠢いているわけです。だから霊の姿や関わり方もバラバラで、それが結果的にバリエーションにもなっています。冒頭に掴みとして出ただけだと思っていたアナベル人形が、まさかの再登場という使われ方も周到。人形はベタだけど怖いんですよ。あの顔と汚れ具合が実に良い出来。ついには優しかった母キャロリンが憑依され、とんでもない豹変っぷりを見せるのも凄まじい。ウォーレン夫妻が言う、悪魔の手順は「出現、攻撃、憑依」である、というのをきっちり示した流れになっているのが堅実です。堅実と言えば、「床の軋みなどが原因であって超常現象ではない」と判断するシーンがあることで、夫妻がインチキではないと示すのが信頼感を増してくれて良いです。

キリスト教と悪魔払いは『エクソシスト』を例に挙げるまでもなく、ホラーにとっては昔から描かれてきた切っても切れない間柄。しかしウォーレン夫妻はカトリック協会に唯一認められた悪魔研究家ではありますが、聖職者ではないのです。本来ならカトリックの神父が行う悪魔払いをやることは、いくら知識があってもリスクが高い。日本なら狐憑きに神主やら陰陽師が当たるところを、稲川淳二が除霊するようなもんです。彼らは自らの命を削ってまで超常現象に立ち向かい、結果ついには自分たちの家族にまで累が及びます。なぜ離れたウォーレン家にいる娘に影響があるかと言えば、娘の写真が入ったロケットを地下に落としたからですね。そうして第三者だったはずが当事者になり、波及する恐怖は娘や親などの家族にまで襲いかかるのです。

そして最も怖いのは霊に体を乗っ取られることよりも家族を失うことなのだ、ということを一貫して描いており、それが薄っぺらくならないようにキッチリ積み重ねているからこそ深みが出ています。ペロン一家にしても、母親がウバシャァァ!とかなってる姿ではなく、元の母親がいなくなってしまうことの方が怖いんですね。本作には「失うかもしれない」という恐怖が常に付きまとっており、その不安がさらに恐怖を助長します。館ホラーのジャンルが廃れないのは、結果的に家に住む家族を描くからなのでしょうね。ジェームズ・ワンの最恐ホラー、ここからさらに広がっていきそうです。


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