2013
10.08

ゾンビのフリして王道ラブストーリー。『ウォーム・ボディーズ』感想。

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Warm Bodies / 2013年 アメリカ / 監督:ジョナサン・レヴィン

あらすじ
ゾンビだって恋したい!



ゾンビが闊歩する世界、ゾンビ青年のRはある日出会った人間の女性ジュリーに恋をしてしまう、という一風変わったゾンビもの。いやもうね、ゾンビと人間のラブストーリーという時点で無理があるわけですよ。だってさー、死んでるじゃん?ゾンビって。で、うーとかあーしか言わないじゃん?人間を食うじゃん?そもそも死者の肉体が動いてるだけで魂なんてないから恋なんかできないわけですよ。恋!それは生けるものこそが享受できる甘い誘惑!恋したっていいじゃない!イエス、フォーリンラブ!

失礼、ちょっと取り乱しました。要するにゾンビと人間の恋愛話という時点で不安があったわけですが、その不安がそのまんま展開します。全員がそうなのかは分かりませんが、この話のゾンビはむっちゃ思考します。むっちゃ喋ります。ゾンビ同士会話までします。音楽聴いて陶酔したりします。これなら恋だってできそう!でも人も食います。おいおい食べたらダメじゃね?食べちゃいたいほど好き!とか言ってる場合じゃないですよ。どうすんのこれ。話成り立たないよ。

そんなこんなで、ホラーとしてのゾンビものを期待すると肩透かしを食らいます。僕も最初は「こんなのゾンビじゃないやい!」と駄々っ子のようにジタバタして(実際には劇場で迷惑になるのでしませんが)いまいちノレなかったんですが、裏にあるテーマさえ見い出せればそこから楽しくなってきます。あるいは心停止した別種の生命体だと思えば大丈夫です。ホラーなゾンビものとして観るとツラいしご都合主義もかなり多いけど、ラブストーリーとしてはいっそロマンティックでさえある憎めない一品。ベランダでの再会なんてロミオとジュリエットそのものです。つまりゾンビもののフリをした王道ラブストーリーですね。加えて、ゾンビものの体裁だからこそできる「愛は世界を救う」という話でもあるわけです。

ニコラス・ホルトみたいなイケメンだから成り立つ話じゃないの?とも思ったけど、友人ゾンビもなんかナンパとかしちゃうからやはり普遍的な話と言えるでしょう。マルコヴィッチも出てるしね。プリティ・ウーマンのシーンはナイスです。

↓以下、ネタバレ含む。








もうさー、車乗ってるならそのまま逃げればいいのに!とか、なんでジュリーはRを置いて帰っちゃったの?とか、ノロい系ゾンビなのか走る系ゾンビなのかハッキリしろ!とか色々あるんですけどね。ジュリーのゾンビの真似はヒドいな!とか。それらも途中からどうでもよくなってきますね。なんか可愛らしくて。ゾンビというより不器用で口下手なシャイボーイなだけじゃないの?という気になります。脳みそ食ったら記憶が見えるっていうのも、他人の日記とか読んでその気になったちょっとイタい人みたいな。もう少し状況に即して言えば、元カレ食べちゃったってのはこれはまあ人間対ゾンビの言わば戦争のさなかですからしょうがないわけですよ。そしてホレてしまえば敵軍だろうがなんだろうが関係ないわけですね。そして事情を知って協力してくれる友人もいる。一歩踏み込む、話せば分かる、そういうことです。

つまりこれは相容れない別の人種と理解しあう話であり、その最大限妥協した最も自分達から遠い人種がゾンビである、ということですね。要するにお互いを知らないということが恐怖なのであり、歩み寄れば分かりあえることもあるし、話してみれば理解できることもある、という実に健全な話なんですよ。対してガイコツは完全に魔界の者。だからゾンビとは比較にならないくらいヤバいし、会話も成り立たない。なんであんなのがいるの?ってのがこの話の最大の疑問でもありますが、敵対勢力に団結して立ち向かうというシーケンスでのモンスター役として必要だったわけですね。

最後は『ショーン・オブ・ザ・デッド』に匹敵する解決策が提示されるか、或いは悲劇で終わるのかと思ったら、いがみ合っていた人類とゾンビが手を取り合うというある種壮大な結末になってて驚きました。ラストの壁が崩れ落ちるシーンは、無用な線引きである国境を取り払うかのような、まるでベルリンの壁崩壊のように感動的で、あのシーンだけで観て良かったという気になれますね。


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