2013
10.03

地獄のニュー・シネマ・パラダイス。『地獄でなぜ悪い』感想。

jigoku_de_naze_warui
じごくでなぜわるい / 2013年 日本 / 監督:園子温

あらすじ
全力歯ぎしりレッツゴー♪



収監された妻を向かえるヤクザの組長、その組長の娘の彼氏のふりをすることになった青年、対立するもうひとつの組、そして最高の映画を撮ることを夢見る映画屋集団。絡まなそうな人々がガッツリ絡み、結果地獄絵図になるという、もはやヤクザものか夢追う青春ものか家族愛かチャンバラかスプラッタか、ジャンルさえよく分からんジェットコースターコメディ。あ、コメディですね。

とにかく立ちまくりのキャラたちによる群像劇の醍醐味と、置いてきぼりを食らいそうなほど疾走感溢れる展開がたまらん。いきなり冒頭に流れる謎のテレビCMが全てを物語っていると言ってもいいでしょう。全力歯ぎしりレッツゴー♪ギリギリ歯ぎしりレッツフライ♪ですよ。とにかく全力。映画撮るのも全力。殴り込みも全力。文字通り命懸けな恋も全力。レッツゴーでレッツフライです。ついでに歌ってる子役の娘も振り付きで一緒に踊りたくなるくらいカワイイ。

二階堂ふみがキュートで怖くてエロすぎる。死のキスとかね、どういう舌使いしたらあんなことができるのか!胸の谷間に血しぶきってのもとんだ破壊力。恐怖の極妻、友近の包丁持って追ってくる姿はホラーヒーローのようですが艶やかでもあり。女優陣は皆いいですね。愛人2号も何気に好きです。長谷川博巳を筆頭にウザすぎるファック・ボンバーズ、ずっとトラックスーツで不憫なもののさすがのアクションが光る坂口拓、ロリコンでM気質で白目むいた顔がキモすぎる星野源とかもよかったです。だがやはり堤真一の意外な殺陣の鋭さと、『俺はまだ本気出してないだけ』はまだ本気出してないだけだった、と言わんばかりのバカっぷりが最高!さらに2丁拳銃で横っ飛びの國村隼がチョウ・ユンファのようで超絶イカす!(そして笑う)成海璃子やでんでんやらの特別出演も面白かったですね(でも高橋ヨシキは目立ち過ぎです)。

映画という狂気に取りつかれた男と、映画で愛を表そうとした男を軸に、映画に対する偏愛をブチ込んだ映画。ミッキー・カーチス演じる映写室のおやっさんを活かせば『ニュー・シネマ・パラダイス』のようないい話にも出来そうなもんなのに全く真逆の結末というね!でもスゴく笑ったけど、なぜかクライマックスの一大騒動は泣きそうになりました。無茶苦茶なうえ大して深みはないし、バカばかりで感情移入もできないし、一面血の海の凄惨さだし、映画愛を描いているとは到底言えない代物なのに、なんとも不思議です。これはダメな人はダメだろうな、とも思うけど、ツボな人なら「あー面白かった!」ってすんなり言えてしまう不可思議な映画ですよ。あー面白かった!

↓以下、ネタバレ含む。








ファック・ボンバーズはホントにウザかったですね。平気でスクリーンを横切ったり、上映中の映写室で大声で騒いだり。というか10年経ってもろくな脚本も書かずちゃんと映画一本分を映像化する努力もしていない(ように見える)ノリだけの映画人気取りがとてもイタい。人生最高の一本として何が撮りたいのかがさっぱり分からないので困ります。多分アクションなんだろうな?もうこの境遇が(特に平田に振り回される佐々木にとっては)地獄ですね。しかし、全てを失っても最高の一本のためなら地獄でもよいと高らかに叫んでいる、その突き抜けかたが清々しいのです。バカだけど。

ヤクザ抗争で池上と対立する武藤。ラストの激闘は手足が吹っ飛び次々と死体が転がる、これまた地獄。あれだけカッコよくキメていた武藤が誰とも知れない三下に首ちょんぱというあっけない最後を迎えますが、娘を誉める池上に首なしの状態でサムズアップするという親バカっぷりと、妻のためなら愛人と別れて命をかけて映画撮影に挑む姿が、これまた地獄は承知の上、という感じで清々しい。バカだけど。

公次は幼女の頃見たミツコの成長した姿に惑わされ、何でも受け入れる気分になったところでドン底の地獄に突き落とされます。唯一普通の一般男性なのにヤクザの虹色の血のシャワーの妄想のなか頭カチ割られそれでも息絶えず、ミツコを求めさ迷い歩きます。その一途さがいっそ清々しい。障子紙だって破れるよ!バカだけど。

池上は地獄の血の海から生還、敵の娘のミツコにゾッコンとなります。「カッコいいっす!」言われて「そ、そうか?」ってまんざらでもなかったり(実はファック・ボンバーズと一度会っていたという分かりやすさ)、いきなり全組員和装にしたり(判別しやすくて実にイイ)、組の神棚にミツコの特大ポスター貼ったり(あれ欲しい)と、なんというバカ。最高。

かようにバカばかりなのに清々しさがあるのは、追い求めるもののためなら地獄も厭わず、後先考えないで突っ走るまっすぐさがあるから。というか平田はラストでホントに走りますけどね。そもそもタイトルからして「なんで悪いの?いいじゃん地獄でも」という開き直りがあるわけです。開き直ったヤツは強い。その強さに観てるこっちが当てられる。そんな映画です。


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