2013
09.19

暴れん坊ミュータント、日本へ行くの巻。『ウルヴァリン:SAMURAI』感想。

the_wolverine
The Wolverine / 2013年 アメリカ / 監督:ジェームズ・マンゴールド

あらすじ
ウルヴァリンの日本珍道中!



ウルヴァリンを主役に据えた『X-MEN』シリーズのスピンオフ第2弾。主演はもちろんヒュー・ジャックマン。今回のウルヴァリンは日本が舞台!それも冒頭はアメリカから始まるものの、それ以外はほぼ全編日本です。冷静に考えるとこれは結構スゴいですね。ちなみに物語は時系列としては『X-MEN:ファイナル・ディシジョン』の後に当たります。

いやあ、むっちゃ面白いんですけど!ハリウッドが描く日本となるとどれだけトンデモ描写があるか、というのはどうしても気になるところ。結論から言うと、合っていたりどこかおかしかったりという、この徹底して少しだけズレた日本観、これがすごくイイんですよ。狙ったものか偶然かは分かりませんが、それはきっと外国人が思い描く、ひょっとしたら憧れでさえある日本であろうし、かといって全く間違ってるわけでもないという、バランス的にはちょうどいいのです。だって完璧に正しいリアルな日本描写でやってもつまんないでしょ?この楽しみ方は日本人だからこそできるんでしょうが、その微妙な違いがちょっとしたファンタジー性としていいスパイスですね。

アクションも手堅くてイイ。新幹線での無駄に根性入ったバトル、『陰陽師』での怪演を進化させたような真田広之戦。爪vs刀!爪vsYAKUZA!そして大きな功績として、ニンジャ軍団が出てくること。やはりニンジャは映画などで定期的に描いて「ジャパンにはニンジャが実在する」というのを海外に知らしめていかないといけませんからね。敵役のヴァイパーのビッチぶりもスゴい。そりゃもう脱ぎますからね。まるごと。ミュータントはヴァイパーくらいしか出ませんが、代わりに日本人キャストが大活躍。真田広之はもちろん言うに及ばずです。マリコ役のTAOはいいですね。黒髪ロングで喪服姿とかね。もう定番ですね!(なんのだ)それにマリコは最初にローガンを見て放つ言葉が「汚い」ですからね。『ラストサムライ』でトム・クルーズを「クサい」と言った小雪に張りますね。ユキオ役の福島リラは最初デヴォン青木かと思いましたが、それより断然良かったです。小川直也が出てたのは驚きましたが、あっという間にやられちゃうのでお見逃しなく。

しかし日本観やアクションだけじゃなく、やはり主役のウルヴァリンが魅力的なのが大きい。長年演じ続けてきたからこその安心感と親近感。ドラマを背負えるだけの人物描写。色あせるどころかさらに色めき立つヒュー・ジャックマンの、血管浮き出る筋肉と睨み上げ熱視線にもやられます。

恒例のオマケ映像はエンドロール後ではなく途中ですね。というかこれもうオマケってレベルじゃないよね?ものすごいことになってるんですけど!

↓以下、ネタバレ含む。








日本描写についてはもう、ずっとニヤニヤしながら観てました。新宿のガード下から靖国通りという見慣れた景色、上野や高田馬場といったよく見知った駅、パチンコ、YAKUZAに、ハラキリ、城タワー!ラブホテルはすごいですね。火星探査部屋なんてあるのかよ!個人的にはナース部屋がよかったんですが。あ、どうでもいいですかそうですか。ナガサキの話は(重みはないが)意外と正面から描いててイイと思います。ご飯に箸を立てちゃいけないとか日本の刀は両手で握るとかなかなかマニアックなところを突いてきますが、こういうところでさりげなく日本の精神性というものも描いてるので、なかなか侮れませんよ。

そんな日本に翻弄されるローガンさん。風呂シーンなんてせっかくヒュー・ジャックマンが脱いでいるというのにセクシーさ無縁の笑いどころ。新幹線では後ろの人などお構いなくシートを倒すローガンさん。倒れた木を斧で切らされるとかいいように使われるローガンさん。ラストの飛行場では、飛行機に乗ってから行く先を聞かれ「とりあえず出してくれ」って言う無茶なローガンさん。タクシーじゃないから!

そんなローガンさん、以前より丸くなったと言われそうですが、『ファイナル・ディシジョン』で数々の別れを経ているのだからそりゃ変わりますよ。いまだにジーン・グレイの幻に捕われているし、死にゆく熊にシンパシーを感じちゃったりする(どちらも毛深いというのもありますが)。それを踏まえて観ると、これって傷心し生きる目的さえ失った男が、新たな出会いにより自分の役割を全うし、誰かを守るべき戦士として戦うことで、完全ではないにしろ生きる力を取り戻す「再生」の話なのですね。それまでウルヴァリンが歩んできた歴史というものが既にあり、かつ新たな見せ場(ときには笑い)でさらに掘り下げることで、ウルヴァリンという一人の人物がより一層際立つ。まさにRONINからSAMURAIへと昇華するわけです。だから細かい矛盾やツッコミなんてどうでもよくなるくらい惹きつけられるのです。これはスピンオフとしては及第点ですね。

しかし爪があんなことになってしまい、次作は一体どうなるんでしょう。アダマンチウムの痕から出てくる骨の爪、ジーン・グレイの存在、まさかの人たちが再登場と、結果的に『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』から『X-MEN』3部作までを正史として繋げるという重要な位置付けの作品であることが判明した今作。『Days of Future Past』が楽しみです。


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