2013
09.05

新たなヒーロー史の目撃者となる。『マン・オブ・スティール』感想。

Man_of_Steel
Man of Steel / 2013年 アメリカ / 監督:ザック・スナイダー

あらすじ
鋼の男、誕生!(文字通りオギャーと)



クリストファー・ノーラン制作、ザック・スナイダー監督による、新たなスーパーマンの物語(ちなみにオリジナルシリーズや『リターンズ』との比較はしてません)。

新しいのは物語だけじゃない、その映像表現のスゴさ。観る者の動体視力に喧嘩を売るかのような、力と速さの超絶破壊シーン。んもう、ムチャクチャ壊れます、ビル。この高速・強力バトル表現には、クリプトン星から地球に来て超人となったスーパーマンという存在が起こすリアルを感じられます。本気でぶつかりあえばこれくらい壊れるよというね。敵役のゾッド将軍とのバトルも壮絶。重力のアレ(正確にはワールド・エンジン)の描写もスゴい。3D映えする迫力映像、そして観た後も耳に残るハンス・ジマーのアガる音楽には文句なし。

アメコミヒーロー的な、自己のアイデンティティへの悩みや葛藤というものも描かれます。エピソード1だしそこを描くのは構わないと思ってましたが、予想よりは鬱陶しくなかったですね。これはなかなか面白い構成のおかげかも。クリプトン星の惨事から地球のシーンへ変わったときの、一気に時間をすっとばす展開。そして所々挿入される回想。回想シーンについては次いつ入ってくるか身構えちゃうし、若干テンポも悪く感じるけど、クラークが悩み傷つく点と両親との絡みをうまく見せてるし、最初にあれを続けてダラダラやるよりはいいかなと思います。

そしてなんといっても主演のヘンリー・カヴィルですよ。あの説得力のある肉体!比較するのは若干アレですが『HK 変態仮面』の肉体に通じる説得力。そして真っ直ぐさを物語る表情が素晴らしい。ヘンリー・カヴィルの魅力を最後の女性兵士が一言で要約してて、シンプルだけどまさにそれだ!という感じでした。そして燃える胸毛とかはみ出る胸毛とか胸毛祭り。また、久しぶりに昔のようなカッコいいケビン・コスナーと、年を経ても美しいダイアン・レインが観れたのも嬉しいですね。あとラッセル・クロウはシステムにインストールすれば超便利だなってのが分かりました。いちいち忠告してくるのがウザくて消去する可能性もありますけどね、ラッセル・クロウ・システム。

クッと寄っては引くニュース映像みたいなカメラは最初ちょっと気になったけど、あれって「自分たちが何かを目撃している感」がスゴくあると思うんですよ。臨場感とも傍観してるのともちょっと違う、一人のヒーローの歴史が始まるのを一歩引きつつ体感してるようなドキュメンタリーっぽさと言えばいいのかな。大げさに言えば、我々はある意味新たなヒーロー史の目撃者なのかもしれません。

↓以下、ネタバレ含む。








ジョー=エルが息子に託した「S」の入ったコマンドキー。あれがね、キーというよりどうしても印鑑に見えてしょうがなかったのね。ハンコ押さなきゃ動けませんっていうクリプトン星の頭固い人たちのお役所仕事が垣間見えます(深読み)。ハンコさえあれば一科学者が曲がってるの直しただけで船は動くんですよ!あとゾッドが最初に眼ビーム(正確にはヒートビジョン)出したときのダダ漏れ感、あれはどうしても『X-MEN』のサイクロプスを思い出すけど、すぐに制御できるゾッドはスゴい。というか少しずつ地球に慣らしたクラークに対してゾッドの適応能力の高さは凄まじいですね。

テーマが「選択」であるのはケント父が言ってることからも明らかで、対してクリプトンを守るために生まれて選択などないゾッドとの対比は面白い。クライマックスのゾッドの「クロス・アウッ(脱衣)」は(また変態仮面かよ)クラークと同じ地平に立って勝とうという、出来る範囲で最大の選択であるわけです。意地を見せる姿にマイケル・シャノンの存在感が際立ちます。

ここでちょっと気になったのは、スーパーマンという題材にしては人を救うシーンが少ないんじゃないか、ということです。実際は油田のシーンとか、クリプトン勢との戦いのさなかでも兵士を救ったりしてるんだけど、後半の巻き込まれてる人数のほうがどう見ても多いから霞んじゃって、あまり人類を助けてる感がないのですよ。スーパーマンとしては人類との直接の絡みがあまりないままケンカが始まってしまうし。つまりこの作品ではスーパーマンはまだ街を破壊しまくってる謎の全身タイツ男でしかないわけです。そもそも「スーパーマン」って名称が出るのが「みんなそう呼んでます」っていうあのワンシーンしかなかったのですよ。直接会話を交わしたり助けられたりした軍人さんとか、現場にいた人々から自然発生的にスーパーマンという呼称が発生し、この事件のあと広まっていくのでしょう。たまたま現場に居合わせた昔のクラスメイトなんかも口コミする一人になったかもしれません。

地球人の家族を眼ビーム(正確には以下略)から救うためにゾッドにとどめを刺したのは、追い詰められて刹那的に行われた選択です。それは果たして自分の意志であったのか。自分は同胞より人類を選んだのか。絶叫しながらゾッドに手を下し、その後ロイスに泣きすがるクラークには、むしろ後悔や喪失感さえ感じます。しかしその後クラークはデイリー・プラネット社へ就職することを決めます。クラークが選択をしたとしたらこのときでしょう。それは世界中の情報を集めることで、ゾッドから救った家族のように人類を救うことが自分の使命だと選択したから。そこには父親たちが身をもって示した教えの影響も大きいでしょう。クリプトン唯一の生き残りとなったこともあることでしょう。だから悩んだりケンカ売ってきたヤツのトラック串刺しにしたりというのはそこに至るまでの当然の通過儀礼です。だってふっ切ったのは最後の最後なわけですから。そして時期的には人々から自然発生したスーパーマンという呼称ともちょうどリンクしていく。そして飛んでいる彼を見て人々は「スーパーマンだ!」と叫ぶ。

つまりこのラストからが本当のスーパーマンの始まりなのです。


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