2013
08.29

王道をアップデート。『スター・トレック イントゥ・ダークネス』感想。

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Star Trek Into Darkness / 2013年 アメリカ / 監督:J・J・エイブラムス

あらすじ
頭がキレて超強いバッチさん!ヤンチャ君とトンガリ耳は勝てるのか?



『スター・トレック』最初のシリーズの主人公、カーク船長の若き頃を描く新シリーズの第2弾。これは面白いぞう!前作で主要キャラの説明は終わっているので、今作はのっけから大冒険。未開の惑星の原住民に追われるという『レイダース』のような出だしから、宇宙連邦爆破事件、犯人を追っての宇宙行、とテンポよく畳み掛ける展開。しかも一難去ってまた一難と息つく暇がない上に、シーンごとに見せ場もあって目が離せません。

熱血なカークと冷静なスポックを軸に、エンタープライズのクルーたちが見事な活躍。スポックの一大活劇、スコッティの機転(これにはアガった)、マッコイの神の手(これには笑った)、ウフーラのツンデレ(背伸びチューに萌え)、スールーの鬼艦長代理、チェコフの一生懸命、とそれぞれのメンバーに見せ場があるのがチーム感があってステキ。

大胆さと聡明さの表現がうまくなったクリス・パイン、予想外のアクションまで見せるザッカリー・クイント、もはや出てると安心するカール・アーバン、みんなイイんですが、今作は何と言ってもこの人!そう!サイモン・ペグ!……バッチさんかと思わせてフェイントです。でもスコッティの偏屈ながら軽快なキャラはすごく良かったですけどね。はい、何と言ってもこの人!ベネディクト・カンバーバッチですよ。長身から繰り出される回し蹴り、ガラスぶち破っての逃走など並々ならぬ身体能力を披露した超人類バッチさん。あの射抜くような視線と洗脳されそうな低音ボイスと相まって、期待以上のカリスマ性。バッチさん目当てで観ても損はしません。

というかですね、そんなバッチさんを強力な敵として、それに立ち向かうという構成にした時点で成功したようなもんですもんね。不可解な事件と裏にある陰謀をベースに、スコッティみたいなキャラでバランスを取り、カーンの凄さを小隊壊滅という離れ業で表現し、カークとスポックの友情で泣かせる。王道を描きつつ誰もが楽しめるようにカッチリ仕上げる、このJJのバランス感覚って今更ながらスゴいですね。やっぱワクワクするし泣けるもんね。オリジナルをアレンジした音楽に、あの人の再登場や意表を突いた過去キャラ復活でオールドファンも納得。3Dで観ればよかったと若干後悔する映像もイイ(2Dで観ちゃったの)。既存のフォーマットを正規にアップデートしたみたいな真っ直ぐさが気持ちいいです。『SUPER8』を『未知との遭遇』や『E.T.』のアップデートに感じたのと同じ感覚ですね。このあたりは良くも悪くもJJ作品だなあと思います。カッチリしすぎてる感がむしろ気になるという人もいるでしょうが、安定感は抜群。

ちなみにバッチさんの出演ばかり取りざたされるけど、ロボコップことピーター・ウェラーが出てるのも僕としては熱かったですよ。

↓以下、ネタバレ含む。








前作に比べシビれるシーンが多いです。特にバッチさんが拘留中に涙を流しながら語るシーン、あの演技にはシビれました。カーンの過去や思いをあのシーンだけで表現してますからね。カウントダウンものとしてのシビれるスリルもね、マッコイの魚雷解除、宇宙空間の突貫、エンジンの位置直し、と3回はあるのも「カウントしすぎじゃね?」とは思いつつサービス満点ですね。自ら死地に飛び込むような熱い男が「死ぬのが怖い」と言い、冷静な男が涙を流すシーンとかね、泣けます。キャロルちゃんの下着姿サービスもシビれますね!(声を大)あと一番シビれた名セリフは「あいつの前髪をむしりたい」です。

自分が相手の対場ならどうするか、というのがテーマとしてはあると思うんですよ。カークが「スポックが同じ立場だったらどうするだろう」とか、逆にスポックがカークの立場で考えたりする。これは相手の気持ちになって考える、ということであり、それが信頼につながるということですね。こういった場面は随所にみられます。例えばスポックが死に行くパイク提督の思いを読み取りその無念や恐怖を理解するところや、ウフーラがスポックを心配する気持ちとスポックが誤解だという気持ちのやり取り。ウフーラがクリンゴン(凶悪さ増し増し)を説得しているとき、渡された銃を手に取らないスポック。カーンの仲間を救いたいという気持ちに動かされてしまうカーク。スールーが艦長代理になったときのなりきりっぷりも艦長ならどうするかという思いがあった、と言えなくもない……イヤこれは単に性格かも。

だから「クルーだけは救ってくれ」と必死なカークに対し攻撃したマーカス提督、仲間を思う気持ちは同じなはずなのに結局は自分たちのことだけを考えたカーン、彼らとは敵対してしまいます。カークたちはパイク提督を殺された恨みがありながらも、戦うことには逡巡し真っ当な報いを受けさせようとする。最新型の戦艦や有性人類を相手にそんな態度を取るのは甘いと見えるかもしれません。そう考えると「人類最大の弱点は、愛だ」という、一見本編に全く絡まなそうなキャッチも、あながち間違ってはいないのかも。

それでも自分が他人の立場で考えることを経て、信頼やら愛やらを最大の武器として彼らは戦います。そして父親と敵対しながらも正しいと思う道を選んだキャロル・マーカスを新たなファミリーとして受け入れます。このベタではあるが普遍的な展開、そして平和的解決の模索こそが、宇宙探査の人間ドラマとして続いてきた『スター・トレック』らしいところですね。まあ今回はバトルや爆発も盛りだくさんですが、軸はブレてないし、新たな旅立ち(ドラマ版の一番最初の状態!)で幕を閉じるというのが、最後まで王道を貫いていて実にイイです。


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