2013
08.21

画期的なスピードと物量。『ワールド・ウォーZ』感想。

World_war_Z
World War Z / 2013年 アメリカ / 監督:マーク・フォースター

あらすじ
ゾンビ大戦勃発。あ、ゾンビって言っちゃった。



人間がゾンビ化するというパンデミックが世界規模で発生。感染源を調べ事態を食い止めるために元国連職員ジェリーが奔走するというパニックホラー。主演はブラッド・ピッド。音楽で徐々に煽りながら感染拡大状況を説明し、ジェリーの過去、一家の構成、娘の持病などを短時間で語るオープニング、そしてすぐさま始まるパニック、という流れがダラダラしてなくて実にイイですね。

文字通り波のように押し寄せるZの群れはかつてない迫力。『バイオハザード』(どれかは忘れた)などにもあった大量にひしめくゾンビと、『28日後…』などの走るゾンビ。これらを融合させたというのが意外と画期的。大量で速い。それが襲い来る様子を引きの画で見せることで、広い空間にもかかわらず逃げ場のない焦燥感に駆られます。寄りの画はスピード感がありすぎてとにかく何かが襲って来ているという認識だけで展開していき、これまたパニックを煽ります。特にイスラエルのシーン、ノンキこいて歌ってるところに殺到するシーン以降は圧巻。

ところが終盤は一転してスニーキングミッション。スピード重視・物量戦の前半とは別物のようですが、共に緊張感は抜群だしバリエーションとしてはイイですね。製作時に紆余曲折あったようで、本来はラストで大規模な攻防戦があったのがわざわざ撮り直したんだとか。それもあればさらに豊かになったのに残念。あと途中の韓国ではチャリンコでゾンビから逃げるというお茶目な展開も。

ただ、カットの繋ぎが激しすぎて何してるんだか分かりにくいシーンも多いですね。マンションの階段のシーンとか。見せない怖さを狙ったのかは分からないけど、見せなさすぎて噛まれたかどうかも分かりにくい。まあこれは粗いというより勢いと見てもいいですけど。あとゾンビもののセオリーを結構無視してるのも画期的。グロいシーンは全く映さない、全力で走りすぎる、12秒とか早すぎ、などなど。そもそもゾンビとは言ってますが、死んでるんだかどうかもよく分からず、その生態はおろか発生源もハッキリしない。音に反応するとか食い物がないと止まるとかその程度です。アップでじっくり見る顔もゾンビというよりなんだろう、魔界の住人みたいな。だからホラーというよりあくまでパニックものなんですよ。

主人公が国連職員というのも画期的。たった一人でこの騒動を止めるとかさすがに無理過ぎな設定ですが、そこらへんのヒロイックさはブラピが主役ということでかろうじてクリア。ご都合主義を感じさせない(ちょっと感じるけど)スピード感で、スケールも申し分ないし、世界中を巡る展開もラストの締め方もまさにワールド・ウォー。ゾンビ耐性のない人でも見やすいと思います。僕はトロいゾンビのほうが好きですけどね。たまに体傾けた勢いでちょっと早く動くくらいのヤツ。でもなんだかんだ言って面白いので、まあゾンビかどうかはとりあえずいいか、という気分にさえなります。

↓以下、ネタバレ含む。








観終わって振り返ると意外と笑える要素が多い気がします。ドヤ顔で調子こいてた博士の末路とか、いくらなんでも自殺行為な飛行機内で手榴弾とか、とっさのひらめきで腕スパーン!とか。チャリで逃げるというのもね、画期的ですね。全国民の歯を抜いたというジョーク(?)はあの国ならやりかねないという怖さがありますが(これを言ってるのはデヴィッド・モースだ!)。ぶっちゃけゾンビへの有効手段がアレというのもギリギリですね。あとペプシも。チャリ逃亡の際の携帯については、あれマナーCMより効き目あるんじゃなかろうか。ホントにね、上映中は携帯の電源をお切りくださいね。喰われるよ?

ゾンビ発生が限定された地域なら全部倒して終わりですが、ここまで世界規模で拡がった感染をどう収束させるか、というのは一つのポイントだったと思います。『バイオハザード』みたいにぶん投げるのか、それとも『ショーン・オブ・ザ・デッド』みたいな世界になるのか。結果的には収束ではなく希望を持たせた継続という『アイ・アム・レジェンド』タイプでした。ちょっと尻切れな感じもしますが、続編への含みもあるのでしょう。

追い詰められた人間たちが欲望むき出しにしたり他者を蹴落としたり、という「実は人間が一番怖い」という描写が少ないのも意外。侵攻が速すぎてそれどころじゃないのか?マンションに閉じこもっていた家族もあっさり助けてくれるし。そういえばあの家族の生き残りの少年はもう少し活かし方もあったんじゃないですかね、ちょっともったいないですね。

とはいえ、新たなゾンビ映画の魅せ方を示したという点で、これは価値ある一作と言ってもいいでしょう。


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ワールド・ウォーZ ブラッド・ピット /ブラピのがんばるパパ dot 映画・世界史から探る気になる人々dot 2014.02.21 18:53
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