2013
08.03

「和」で描く。『SHORT PEACE』感想。

short_peace
しょーとぴーす / 2013年 日本 / 監督:森本晃司、森田修平、大友克洋、安藤裕章、カトキハジメ

あらすじ
日本が舞台の4つの物語。



日本が舞台というコンセプトの、ショートストーリー4編のアニメ・オムニバス。どれも15分かそこらしかない短さなので若干食い足りなさはあるものの、映像的には美しかったり精細だったりとかなり高レベルです。3編が時代もの(江戸期と室町期に分かれますが)で、1編だけ近未来というのは若干バランスは悪いけど、それぞれテイストは異なるからいいでしょう。

↓以下、各編の感想。


・オープニング
森本晃司監督作。ウサギに付いて行ったら変で楽しいところに来た、という、これは『不思議の国のアリス』のアレンジですね。映像的には面白いけど、オープニングというのを差し引いてももう少しなんとかならなかったかな、という感じです。PVだと思えばいいか。

・『九十九』
森田修平監督作。立体感あふれる映像でテンポよく魅せる日本むかし話という感じです。豪胆で職人な主人公がイイ。ミステリアスな幕開けから色彩豊かな展開、ラストのキレもよくて、4編のなかではこれが一番好き。物には魂が宿るという付喪神信仰を、起承転結も鮮やかに描き出しています。これはショート形式の作品としては完璧なバランス。

・『火要鎮』
大友克弘監督作。「かようちん」かと思ってたら「ひのようじん」と読むのね。これは「悲恋物語である」というのが主題と理解しないと、あまりにあっけなく終わるのでポカーンとします。前半は日本画のような斜め見下ろし型の画で、巻物の中で語るという独特の構図が面白い。なめるように、ぬアアアめるよォオオオオにィィィィ(エンヤ婆風)襲い来る炎の作画が素晴らしい。江戸の大火という一大スペクタクルですね。ただ、どうしても大友監督に求めてるものと違うので物足りなさが残ります。扇子が火に入った時のお若の何かを思いつめるような表情とか、ラスト松吉を見たときのハッとする表情とか良いです。

・『GAMBO』
安藤裕章監督作。原案脚本は石井克人、キャラデザは『エヴァ』の貞本義行。伝承の存在と実在の生物の戦いが重量感あって迫力ですが、しかしこれはエグい。超武闘派の鬼が恐すぎる。鬼にさらわれた娘がどうなるか、鬼を倒すのがいかに困難かを執拗に描写してます。「金太郎」をリアルに描くとこんな感じではないでしょうか。ただ尺が足りなかったか、色々と説明はしょりすぎで分かりづらい。最初なんで看病みたいなのをしてたのかな?野武士が若干ビジュアル系入ってます。

・『武器よさらば』
カトキハジメ監督作。メカデザインという印象しかないので監督やるとは意外。しかしそこはさすがカトキハジメ、メカやギミック、プロテクションスーツといった機械系の精緻さがスゴい。危険ながらもいつもの作業、のはずが窮地に追い込まれる武器処理班。近未来SFで描く『ハート・ロッカー』ですね。『ターミネーター』とも言える。武器に別れを告げるなら全てを脱ぎ捨てるんだ!ということでしょうか。

 ※

短いからこそ構成力を求められるという意味で結構冒険な企画だと思いますが、そこはアニメならではの表現があるし、バラエティに富んでいるので良いのではないでしょうか。でも短いなあ。もう1編あっても良かったかも。エンディングの「夢で会いましょう」には化かされた感がありますね。

タイトルにある「PEACE」という観点で何か言えそうですが、そもそもタイトルの由来は大友克洋監督の作品集によるらしいのでやめときます。むしろ「SHORT」のほうがポイントかな。こういうオムニバスはどういう話があるか自体が面白いし、クリエーターのチャンスになるのでどんどんやってほしいですね。


SHORT PEACE 通常版 [Blu-ray]SHORT PEACE 通常版 [Blu-ray]
(2014/01/16)
早見沙織、森田成一 他

商品詳細を見る


SHORT PEACE [DVD]SHORT PEACE [DVD]
(2014/01/16)
早見沙織、森田成一 他

商品詳細を見る

スポンサーサイト
トラックバックURL
http://cinemaisland.blog77.fc2.com/tb.php/687-2d9646ef
トラックバック
back-to-top