2013
07.22

そのアクションには理由がある。『ベルリンファイル』感想。

berlin_file
THE BERLIN FILE / 2013年 韓国 /監督:リュ・スンワン

あらすじ
北と南のスパイが陰謀に巻き込まれます。



韓国、北朝鮮を中心に各国の諜報員がベルリンを舞台に諜報戦を繰り広げるスパイ映画。とにかくスパイ(というか諜報員)がいっぱい出てきます。

ロシアの仲介で北朝鮮とアラブ某国が取引してるところにモサドや韓国が乗り込み、その情報を知らなかったアメリカが後で悔しがる、という冒頭からもう何だか良く分からないややこしさ。少し混乱しかけますが、その最初のゴチャゴチャしたシーケンスが終り人物の整理が付いてくると、そこに駆け引き、裏切り、秘めた思いが交錯するドラマが浮かび上がってきます。このドラマがなかなかの歯応え。祖国のためにと汚い仕事もしていた北の諜報員ジョンソンとその妻リョンが謀略にハメられ、それを追っていた南のジンスも巻き込んで熾烈な戦いに突入していきます。舞台がベルリンである必要性はあまり感じないけど、乾いた堅めの雰囲気はドラマの雰囲気にマッチしているかも。

そしてそんなドラマ性を超えて展開するアクションが実に骨太。銃撃、格闘、車、爆発とアクション全部乗せの豪華版なのです。格闘シーンなどはスピーディなうえにガシガシ音がする重厚感。また、特にイイと思ったポイントが、アクションに理由付けを感じるところ。見どころの一つ、部屋での銃撃戦と壁伝いの脱出、そこから落下までのシーケンスが実に見事なんですが、ここで「高所から落ちても助かるのは相応の痛い目に会っているからだ」というのが出てるんですよ。また、個人的に昔から「弾が切れたからって銃を捨てるのはどうなの?」と思ってたんですが、その疑問を払拭するような対決シーンなんかが出てきて「うおお!」ってなりました。これは非常に素晴らしい!相手を投げて落とすなら、柔らかい地面の上よりダメージの高い岩の上だ、とかね。そういうアクションに深みを感じられる点がとてもイイです。

ちなみにジンス役ハン・ソッキュを観たのは『シュリ』以来でした。リョン役チョン・ジヒョンは『10人の泥棒たち』で会ったばかりですが、どちらかというとあのセクシー小悪魔のほうが好きかな。でも、これはこれで。これはこれで!(大事なことなので2回)ジョンソン役ハ・ジョンウの出演作は初めて観たんですが、カッコいいんだけど時々どうしても大鶴義丹に見えてしょうがなかったです。意外だったのはミョンス役のリュ・スンボムで、こすっからい小悪党かと思いきや堂々たるラスボスの存在感で驚きます。

持てるスキルをフルに使い、敵を出しぬき、時には強行突破して目的を果たす。これは『ボーン・アイデンティティ』等のジェイソン・ボーンシリーズに通じるものもあります。悲哀を伴うカッコよさという点でもそうですね。

↓以下、少し内容に触れます。








ドイツの組織も絡みはするものの、物語の主要な国家としてあまり関係のないベルリンを舞台にすることで、母国から切り離された状態で孤独に戦う世界が強調されます。この孤立感は、支援を望めないどころか二重スパイの嫌疑をかけられることでさらに増加。ジェイソンにしてみれば、妻が本当に二重スパイなのかも疑心暗鬼。国家に盲目的に従う男の悲しい運命ですが、その四面楚歌状態で協力し合うのが敵国の諜報員だというのが皮肉。そこには友情はなくとも同じ任務に就く者として何か通じるものがあったのでしょう。ラストのジンスの行動は「男の世界」ですね。

前総書記の隠し財産とか秘密口座とか亡命とかいかにもスパイもののエッセンスを散りばめながら、雌雄を決するラストでは肉弾戦。一見潔く見える対決は、相手を倒さなければ先がないからこその人生をかけたぶつかり合い。だからラストの格闘は相手を殺すためのアクションの連続であり、ここにもアクションの理由付けがなされてますね。大切な者を守ろうとする者と、己の利権を守ろうとする者それぞれが、国家も任務もかなぐり捨てて対決する、そこに美学を感じます。そんな美学を伴っているからこそさらなる迫力を持っているのでしょう。良かったです。


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