2013
06.24

中学生のイタさと成長。『アフター・アース』感想。

after_earth
After Earth / 2013年 アメリカ / 監督:M・ナイト・シャマラン

あらすじ
不時着した1000年後の地球でサバイバル。



ウィル・スミス&ジェイデン・スミス親子が出て、シャマランが監督のSFというかアドベンチャーというか、なんなんだろう?と、のっけからクエスチョンマークが付く不思議な作品。しかもスミス親子が主演と思いきや、主役は完全にジェイデン君のほうでした。クレジットも最初にジェイデン、次にウィルだし。

んで、予告を見た限りスミス親子がジャングル化した地球を探検してまわるような、そうさ今こそアドベンチャーな話かと思ったらね、違いました。まあ違いますよね。そうだったいいなーと思ったんですが。ある意味アドベンチャーではあるんですけど、むしろサバイバル要素のほうが強いし。宇宙船とかも出るけど最初だけであとはバックボーンでしかないからSFって感じも薄いし。親子ドラマなんだろうなーってのは予想付きますけどね。

シャマラン監督作ということでね、「シャマランらしくない」って話も聞こえてきますけど、僕はそんなことはないと思うんですけどね。突然のサプライズでギャッと言わせるホラー趣向とかね。いかにもな「特殊な力」とか。これはベースがSFということで今回はさほど不自然ではないですけど。あとそんなにセリフで説明せずに画で見せてくれる監督だと思うのですよ。というかシャマランってその名前だけで話題になるくらい凄く有名な監督になっちゃいましたね。宣伝で監督の名前を一切出さないってのも名前がもたらす印象を避けるためなんでしょうけど、なぜマイナスイメージなんでしょうね。興業的によくないとか話がとんでもないとか、いわゆるどんでん返しがあるわけでもないので「『シックス・センス』の監督」とも言いにくいだろうし、まあ分かるんですけど、僕はシャマラン好きなのでちょっと悲しいですね。

じゃあ観てどうだったかと言うと、面白かったですよ。何が面白かったって、ジェイデンが激ブサイク顔になるところですね。ウィルも失血で超顔色悪くなるので、親子揃っての顔芸っていうのがポイントですね。

描いてるのは親子ドラマでありジェイデン演じるキタイ13歳の成長物語なんですけど、結局は人生で最も恥の多い時代である中学生時代、特に男子の中学生時代、そのイタさを描いてるわけですよ。すぐにテンパるし浅はかな行動するしキレるし、思春期ど真ん中。キタイはまさにそう。ついでに反抗期なもんで親父には逆らうし、でも普段あまり構ってもらえないから甘えたがったりして。中学生ってイタいですよね?そんなことない?僕は思い返すと悶絶しそうな恥ずかしいドラマが色々ありましたよ。とてもここでは書けません。あんなこととかこんなこととか、ああッ!(悶絶中)……でも中学生時代って最も成長する時期でもあるんですよね、肉体的にも精神的にも。そのイタさと成長をいいバランスで描いていると思うのですよ。当然「ウィル・スミスの親バカ映画だ」って声は多いんですけどね、僕はウィル・スミスも好きなのでちょっと悲しいですが、でもスミス親子が自分らを主役にして好き勝手やりたかったことを、シャマランが作品としてキッチリ仕上げてると思います。

個人的にはジェイデン・スミス推しなのは別にいいんだけど(別に好きでもないが)、舞台が地球であるというのに必然性がないほうが気になりました。どこかの未開の惑星でもいいんじゃないか?って思うのです(ウリ坊は可愛いけど)。ただ、SFにしては珍しく銃器が出てこないんですよ。変な棒みたいな武器しかなくて、それを槍のように構えたキタイの姿が太古の狩猟民族みたいで、むしろアフターというよりビフォーな感じがします。宇宙船などのデザインも局面や流線形を多用しててすごく虫っぽいというか人間の胎内っぽいというか、プリミティブなイメージが強い。そしてそんなイメージが、少年の持つ根源的な人間の力を想起させるのです。そう考えると「人間の故郷である地球」というのも意味を持ってくる。舞台も設定も小道具も、成長物語を支える一部になっているんですね。

↓以下、ネタバレ含む。








クライマックスでキタイが「覚醒」するのがやたら唐突だなという気はしますが、これは父が最初にゴーストを意識した話に酷似しているわけで、伏線として既にあるわけですね。最初は父の指示通り動いて、落ち着くときはまるで服従するかのようにひざまずいていたのが、途中からは自分の力だけで幾多の困難を乗り越え、なんとか成し遂げます。それは経験に裏打ちされた達成感であり、恐怖を凌駕する自信に繋がる。アーサは恐怖の象徴であり、恐怖心さえ持たなければ襲われることもない。だから覚醒が可能になったわけです。姉の死による後悔がトラウマとなっていたキタイに取って、かつての自分が何もできない弱い存在だったことを受け入れられたことも成長に繋がったのでしょう。シャマラン作品にとってこの「目覚める」というのは一つのキーワードだと思うので、そういう意味でもこれはシャマランの作品と言えると思うのですよ。

ただキタイの最後のセリフは「覚醒した意味ねーじゃん!」って感じですけどね。親父のあと引き継いで頑張るよ!くらい言って欲しかったですが。ちなみにジェイデンは横になって寝てるときの顔が親父のウィルに似てますね。

あとどうでもいいことですが、突然覚醒するシーンは『少林サッカー』でメンバーたちが悟りを開いたシーンを思い出して、とてもテンション上がりました。僕だけですか?


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