2013
06.18

戦慄の復讐、驚愕の贖罪。『オールド・ボーイ』感想。

oldboy
2003年 韓国 / 監督:パク・チャヌク

あらすじ
男が監禁され、そして解放された理由とは。



韓国映画は特に理由はないけど長いこと観てなかったんですよ。素晴らしいバカ映画『火山高』以来になりますが、パク・チャヌク監督が『イノセント・ガーデン』でハリウッドデビューのタイミングで、前々から気になってたこれをチョイスして観ました。原作は日本のコミックですが未読。

ある日いきなり監禁されて以来15年、突然解放された男が復讐に挑むバイオレンスなサスペンスです。これがもう、久々に「なぜもっと早く観なかったんだ!」と後悔するほどの作品。衝撃のためにエンドロールが始まっても動けないってのも久々です。とにかく凄いものを観た、という感じ。

わずかな手掛かりを元に監禁された理由を探していくミステリでありながら、その謎のさらに先を行く展開と、魅せる演出に2時間釘付け。かけた年月の理由が分かったときの凄まじい戦慄。恨みの形をそのまま返す構造、元凶を断ち切る驚愕の行動、成した後の結末、全て完璧。バイオレンスと映像美の融合も素晴らしい。

チェ・ミンシクの体を張った壮絶な演技も特筆もの。最初はただの鬱陶しい酔っ払いなのに、月日が経つにつれ体も顔付きさえも変化。壁を殴りすぎて拳の先が平たくなってるのが細かい。かなり痛い描写もあるけど、それさえも必要なシーンだと思わせる迫力があります。

滅多に言わないけど、これは傑作だ。

↓以下、ネタバレ含む。








監禁から解放までの計画の全ては、近親相姦の噂が元で姉を失ったイ・ウジンがその恨みをそのままの形で返す、つまり彼が元凶と考えるオ・デスに近親相姦に絡めて大事な人を失わせる(この場合は精神的に)ためにあります。解放されたオ・デスが復讐に来ることまでを見越し、それすらも計画に組み込む。15年という年月は大事な人の成長に必要な期間だったわけですが、同時にオ・デスの恨みを募らせ、復讐に必要な精神力と体力を身に着けさせる期間でもあったのです。そして彼が復讐に現れた時、イ・ウジンはあっさりと姿を現し、そして巧みに誘導します。クライマックスでオ・デスの前に箱が置かれたときは、まさか『セブン』じゃあるまいな!とビビりましたが、実際はそれ以上にえげつない。オ・デスは結局最後までイ・ウジンの手の平の上で踊るだけでした。

イ・ウジンの復讐は完遂されたものの、果たして彼の心はそれで満足したでしょうか。実際逆恨みに近い狂気とも言える復讐心をこれだけの長きに渡り持続するのは並大抵のことではないでしょう。もはや復讐することが生きる目的になってしまった彼は、全てを用意周到に進めながらも心のどこかでこの計画が破綻することさえ望んでいたでしょう。それは時に策略通りに行ってしまうことを嘆くことからも伺えます。結局復讐は成され、狂気から覚めたイ・ウジンは生きる目標を失って自ら命を絶つのです。

一方、オ・デスの復讐は想像を絶する贖罪に変わります。彼は元凶を断ち切る驚愕の行動、つまり昔自分がしゃべってしまったことに対する罰を、舌を切り取るという行為で受けます。それによりイ・ウジンの心を動かし最悪の事態は免れますが、もはやこれも狂気。しかしミドがいるという事実が、戻れなくなる狂気の一歩手前で彼を踏みとどまらせます。ラストは全てを忘れることができたのか表情が曖昧ですが、最後にミドと抱き合う姿にわずかながらの希望を残して幕を閉じるのです。

共に狂気に走った二人の男の異なる末路。圧倒されます。パク・チャヌクすげーな。


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(2006/03/24)
チェ・ミンシク、ユ・ジテ 他

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