2013
06.14

気高さを持って取り返すもの。『エンド・オブ・ホワイトハウス』感想。

Olympus_Has_Fallen
Olympus Has Fallen / 2013年 アメリカ / 監督:アントワーン・フークア

あらすじ
占拠されたホワイトハウスから大統領を救い出せ!



テロリストにより瞬く間に占拠されたホワイトハウスに、人質となった大統領を救うため元シークレット・サービス、マイク・バニングが単身乗り込む、というお話。これがもう素晴らしい興奮度!キャラ設定とその関係性を流れるように描きつつ一気に現在まで繋げる冒頭シーン、これだけでもう虜。そしてド迫力の戦闘シーン。息をもつかせぬ緊張感。登場人物の掘り下げ方も無駄がなく、話の語り方にも淀みがないです。

設定だけ見ると「それって『ダイ・ハード』じゃないか」と思いますが、受ける印象はかなり違いました。巻き込まれてボヤきながらも正義感で動くジョン・マクレーンとは異なり、バニングは己の背負う様々なものに突き動かされて自ら死地に赴くからです。そう、まさに死地。いくらジェラルド・バトラーでももうダメじゃないか?ってくらいハードな状況が続きます。

ホワイトハウスは様々な映画で描かれているように、地下にシェルターがあって何か起こってもそこに籠ったまま政治的決定ができるある種の要塞です。そんなホワイトハウスが蹂躙され占拠されてしまう、この過程が凄まじい。実際はそんなにうまく行かないだろうと思いつつも、多方面から段階的に行う奇襲作戦を観ていると、僅かな時間で制圧される下りは現実に起こりうるようにしか思えません。映画的リアリティが抜群です。

ジェラルド・バトラー無双だって言われそうだけど、元特殊部隊としての持てる技術と、知り尽くしたホワイトハウスという地の利を活かしてるわけで、それほど不自然さは感じなかったです(まあ強すぎるけどね)。またアーロン・エッカートが検事から曹長、そして遂に大統領にまで上り詰めた(役柄で)というのも感慨深いですね。あくまでも大統領を救おうとするバニング、バニングを軽んじるフォーブスに「後悔するぞ」と呟く大統領。この二人の信頼感が素敵。あとモーガン・フリーマンが珍しくダメな人だと思ったのに意外とちゃんとしてたのがイイ。

友情、家族愛、愛国心、職務への誇り、銃撃戦、肉弾戦、墜落するヘリコ、とエンターテインメントのあらゆる要素が入っていて取りこぼしがない。これはもう最高に良かった!

↓以下、ネタバレ含む。








いろいろな点が徹底してリアルです。例えばやたらバタバタと人が死にますが、もはやホワイトハウスは戦場ですからね。これは半端にドンパチやっても説得力がない。ホワイトハウスから出てくる人が次々と掃討されていく姿も、あんな凄まじい物量の重火器で銃撃してきたら手も足も出ずにああなるという点で現実的(ちょっと無防備に出て来すぎだけど)。銃撃はヘッドショットで確実にキメるし、ナイフで刺すのは急所だし。また、大統領の息子を脱出させるシーン、ヘタに見つかって捕まりラストに人質にされるなんて展開にならないのがまたイイですね。哨戒の隙を突いて建物に近づき、無事少年を連れ出して保護されるまでの間がもうドキドキ。テロリストたちの容赦のなさもリアルです。ケルベロスコードを聞き出すための手段とか、ハウス内で虫の息の者にキッチリトドメを刺すところとか、交渉に不要な韓国大統領はとっとと射殺してしまうというのも凄い。そんなリアルの積み重ねが、単なる派手なヒーローアクションにしていないと思うのです。

もちろん基本の娯楽作としてのベースは守られていて、リアル指向とのバランスが良いですね。バニングが強いからこそ盛りあがるってのはあるし。ヘリコのローターが飛んでくるところとか「ヒーッ!」って感じですよ。フォーブスがバニングに正体バレちゃうところはさすがにベタだと思いますが、あれをあまり引っ張らなかったのは却って良かったし。うーん、なんかホメてばかりだな……それだけ入り込んで観てたのですよ。

世界のリーダーとしてのアメリカを描いているわけではなく他の国にも置き換え可能な話ではあるので、アメリカ万歳映画ではないですね。国家の存亡という未曽有の危機に立ち向かう話であり、その点シンボルとしてホワイトハウスは分かりやすい。愛国心にも通じる話です。

荒木飛呂彦『スティール・ボール・ラン』にこんなセリフがあります。

「愛国心」はこの世で最も美しい「徳」だ。子を守るため命をかけるのは動物も同じだが、国の誇りのため命をかける事が家族を守る事につながると考えるのは「人間の気高さ」だけだ。狂信者とは全く違う心。

バニングは家族を守るため、国の誇りを守るため戦います。一方のカンは守るべき国がない狂信者。気高さを持って戦うバニングは「守る者」としてカンの前に立ちはだかり、大事なものを取り返します。だからこそ、ラストに大統領と固い握手を交わし無言で視線を交わすバニングは、取り戻した誇りと信頼を実感して微笑むのです。


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