2013
05.27

これぞ冒険活劇!『レイダース 失われたアーク』感想。

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Raiders of the Lost Ark / 1981年 アメリカ / 監督:スティーヴン・スピルバーグ

あらすじ
考古学者のインディが秘宝を巡って大冒険!



ルーカス製作、スピルバーグ監督の、言わずと知れたインディ・ジョーンズシリーズの第1作目。これもう32年も前の作品なんですよね。ひょっとして若い人たちの中には観たことない人が増えてるんじゃなかろうか?「昔の映画でしょ」とか軽く見られているんじゃないか?ディズニーシーにアトラクションはあるけど、ひょっとしてあそこに出てくるおっさん(インディ)ってディズニーキャラだと思われてるんじゃなかろうか?などという不安に駆られます。まあ2008年には『クリスタル・スカルの王国』もやってたし、そんなことないとは思うんだけど。ないよね?

僕もタイムリーに観たわけではないですが、もう飽きるほど観てるしDVD-BOXも持ってるし、このたび新・午前十時の映画祭にて初めてスクリーンで観れて感激したこともあるので、今更ながら『レイダース』について書いてみます。

 ※

・アドベンチャー・ヒーローの誕生

『レイダース』はアドベンチャー映画のエポックメイキングと言っていいと思いますが、一口にアドベンチャーと言っても幅広いので、ここでは狭義で「お宝を巡る冒険もの」と定義します。この手のジャンルに当たるのは古くは『アルゴ探検隊の大冒険』『シンドバッド黄金の航海』あたりですかね。

しかし主人公に確固たるキャラクター性を持たせたのは『レイダース』が最初ではないでしょうか。大学の考古学教授でありながら、秘宝を求めて世界を飛び回るトレジャーハンターでもあるというギャップ。帽子に皮のジャケット、そして武器にも道具にもなるムチを携えたスタイル。主演には『スター・ウォーズ』でブレイクしたハリソン・フォードというスターを起用し、少しコメディ寄りの活劇と、ニヒルな笑顔で魅了する。基本的に悪党として描かれる対立相手と丁々発止の攻防を繰り広げ、ヒロインとも恋に落ちる姿はまさに主人公。

このヒーロー然とした主人公像があってこそなんですよ。そもそもオープニングで体の一部や影しか映さず命を狙う男をムチでスパーン!と撃退してから顔を見せる、この満を持して登場というのが実に主人公。コイツこれからやりおりますから!という気概に溢れています。続けざまに罠が張り巡らされたダンジョンに乗り込み、危機一髪のところでお宝をゲットするまでのシーケンスで更にそれを印象付けます。その後も危機また危機を潜り抜け、ロマンスも織り交ぜつつ大活躍のオンパレード。

シリーズ一作目の『レイダース』だけで十分確立された主人公像、そして繰り広げられる大冒険は、その後の多くの作品に影響を与えることになります。『ハムナプトラ』『トゥームレイダー』『ナショナル・トレジャー』など。『ロマンシング・ストーン 秘宝の谷』なんてのもありました。もちろん本続編の『魔宮の伝説』『最後の聖戦』も本家として高いクオリティを持続し、インディ・ジョーンズは最も有名なアドベンチャーヒーローとして、そのシルエットが浮かぶだけでテンションの上がる存在となったのです。

・実は超自然のファンタジー

アクションやサスペンスに気を取られて何となく忘れちゃうんですけど、インディ・ジョーンズシリーズってファンタジーなんですよね。

物語の舞台は1936年。第二次世界大戦前、ナチスドイツが台頭し、政情が不安定だったり価値観が揺らいでいたりする時代、色々と「隙間」を感じる時代なわけです。で、そこにねじ込まれるのがアークを探すという話。アークとは旧約聖書に登場する、モーセの十戒の書かれた石板を納めた聖櫃です。その実在は眉唾でしかなく、もうこの時点で既に現実ではない、ファンタジーなわけです。

それでも違和感は感じないのは、画作りや話運びで雰囲気を作り上げているのと、冒頭で手にするお宝やラーの杖のメダルのような重要アイテムを登場させて「あってもおかしくない」と観る者を誘導するからですね。冒険活劇だからこその飛躍した想像力、日常とは全く異なる驚きがあるからこそ面白いのです。それにしてもラストはさらにファンタジックで超自然現象。この超自然が描かれるパターンは続く『魔宮の伝説』『最後の聖戦』『クリスタル・スカルの王国』に至るまで共通しています。ちなみに『レイダース』は時系列としては『魔宮の伝説』のあとの話です(舞台は1935年)。

あと『レイダース』って実は意外と人が死ぬんだけど、根底がファンタジーだから許されるってのはあるかも。西部劇でバカスカ撃たれる人々と同じですね。

・物語を彩る要素

『レイダース』に登場するキャラクターについて改めて思い返すと、『LOTR』ギムリ役のジョン・リス=デイヴィスや、『スパイダーマン2』ドック・オク役のアルフレッド・モリーナが出てて、この二人はやはり存在感があります。マリオン役のカレン・アレンは気は強いけど可愛らしい。まさか『クリスタル・スカル』でまた出るとは思わなかったけど、あのキャスティングは良かったですね。思えばこのシリーズのヒロインは気の強い娘ばかり。『魔宮の伝説』のケイト・キャプショーなんかはスピルバーグの奥さんにまでなっちゃいましたからね。あと『レイダース』ではまだ紳士っぽい同僚のマーカス・ブロディですが、彼がその本領(マヌケさ)を発揮するのは『最後の聖戦』まで待たなければなりません。

要素のひとつとして重要な位置を占めるのがジョン・ウィリアムズの音楽。もうあのテーマ曲がかかるだけでアドレナリン噴出!そんな躍動感あるマーチも最高ですが、地図の間などでかかるミステリアスな曲も良いし、とにかくこの音楽なしでは全く違った印象になったことでしょう。

あと演出面、何といってもスピルバーグなので文句は何もないですが、ひとつ特筆したいのが、昔知り合いが「飛行機とか乗ったときに次の目的地まで地図上を赤い線がずずーって動く演出、あれが好きなんだ」って言ってまして、これには頷きました。いきなり場面を切り替えるのではなくあの映像を挟むことで、移動してる感がすごく出るんですよ。世界を駆け巡ってるというのが視角的にも分かって僕も好きです。ちょっとレトロな感じも雰囲気に合っていて良いですね。

ちなみにスクリーンで観てて初めて気付いたけど、終盤崖上からインディがロケット砲構えるシーンで、敵のベロック博士がアップになったときに唇に虫が付いてるんだけど、それが口の中に消えてしまうのです。あれは……食べちゃったのか……?でもその後も演技を続けてるのが凄かったです。こういうネタは他にもありそうですけどね。

 ※

というわけで『レイダース』、他にも印象深い場面や思いを語るとキリがないし、続編も含めるとシリーズ通しての感想やネタ話とかも出てきて終らないので、この辺で締めます。ずっと昔から好きな作品のひとつなのでいくらでも語れてしまうのですよ。でも個人的見解を抜きにしても、散々語られて愛されている『レイダース』は「娯楽の名作」と言ってしまってよいと思うのです。


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