2013
05.24

あっちゃんが良い。『クロユリ団地』感想。

kuroyuridanchi
くろゆりだんち / 2013年 日本 / 監督:中田秀夫

あらすじ
謎の死人が出る黒百合団地。ここには何かが潜んでいる。



『リング』の中田秀夫監督が前田敦子、成宮寛貴主演で挑むホラー。人と霊との関係性という観点から、孤独な魂が引かれ合って生まれるドラマが語られます。過去の後悔を引きずる女性が死者に依存することで救われようとするものの、はたして時間軸の違う者同士で魂の救済は可能なのか?というテーマ性。それは良いと思います。

Jホラー特有の湿っぽさは保ちつつも、ドンと出てギャー!というびっくりサプライズ系には走らない。あからさまな恐怖表現はむしろ抑えてるんでしょう、全編じわじわくる感じの恐ろしさで描かれます。あっちゃんもあからさまな恐怖顔はしません。中田監督は『リング2』では深キョンにものスゴい恐怖顔をさせているので、今回は敢えてやってないのでしょう。それも良いと思います。

それにしても明日香役のあっちゃんがカワイイな!ほぼ全編出ずっぱりですが、抑え目の演技や病んだ表情、纏っている雰囲気がとてもいい感じです。それも良いと思います。

以上を踏まえたうえで、中田監督のインタビューも読んで脚本の三宅氏のポッドキャストも聴いて、だがしかし解せないことが山のようにあるのですよ。

↓以下、ネタバレ含む。長いうえに文句しか書いてないので注意。








とにかく脚本が粗い。ホラーとしての理不尽さは別にいいのですよ。最後に成宮がああなっちゃうのは『リング』の真田広之と同じ系譜だし(あそこはどこ?ってのはあるけど。精神世界か?)。終わり方があっさりしてるのも別にいいのです。何とも言えない余韻を残すし、恐怖がまだ終わってないと思わせる効果もあるから。ホラーを下敷きに使って何かを語るのも別によいのです。

問題は話を進めるためか不自然な展開が多すぎること。なぜそこでそうするの?それはおかしくない?という疑問の連続なのです。

・職場で孤独死の話を聞くという前フリはあるものの、なぜ夜中に人の家にズカズカと入り込むのか。玄関先ならまだしも奥の方まで。しかも電気付かないのに。
・夜に子供が一人で遊びに来た時点でおかしいと思わないのか。一応お母さんはいないみたいなことを言ってたけど、それでも普通は保護者の人が心配するのでは、ということを考えるのではないか。
・なぜ一度会っただけの遺品整理の業者・笹原にあんなことを相談するのか。「死者は時間が止まっているんだ」とかそれっぽいこと言っただけなのに職場にまで訪ねてくるのか。彼が霊能者にでも見えたのか。
・危険な霊だって分かってるのに、なんで明日香はドアに近づくのか。その前に笹原は彼女をドアから遠ざけろよ。あとなんで笹原にまで取り憑けるのか。会ったの初めてなのにミノル君すげーな!そして自分で開けちゃダメだって言ってるのになぜドアを開けるのか。バカなのか。
・序盤の山場である爺さんの死に、ミノルがどう関わったかが不明確。あの爪痕を見るに取り憑かれて苦しんで死んだのだろうけど、爺さんは立場的に明日香と同じだと思われるのになぜ笹原のような非業の死に方をしたのか。ミノル君容赦ねーな!
・手塚理美、意味ねえ!登場時は現実的な霊能力者としていい感じだったのに、手下6人も引き連れて来てずっとナントカソワカー言っておいて、結局血吐いて終わる。爺さんのときはフッて吹くだけで済んだのに。ミノル君強いな!つーかあんたらどこで祈祷してたのか。
・そもそも明日香はなんであの団地に越して来たのか。昔家族と住んでたのか。なぜ伯父夫婦はそこに住むことを認めたのか。病んでることが分からなかったんだろうか。

などなど。文脈が破綻していることが気になって物語に入り込めないのです。だから正直怖くもない。

それから中盤のサプライズである明日香の抱える秘密、同じ台詞を繰り返す時点で他では時間は進んでいるんだから「ああこれは記憶のリフレインだな」ってなんとなく検討が付いちゃいます。最初はね、なぜ引越しの挨拶を親が行かずに娘一人に行かせるんだろうという疑念や、幼い弟の「(年が)そんなに変わらないくせに」という不可解な台詞にミステリ性を感じて「おっ」って期待しちゃうんだけど。イヤいいんですよ?自分だけが生き残っていることに罪悪感を覚えるというのも寂しいというのも分かるし。それはいいけど、でもそれが肝心のミノル君の件とうまく絡んでるとは思えないのです。弟の面影を重ねてしまうからミノル君に声をかけたと言うなら、部屋で弟が生きているかのように会話をするのはおかしいのです。それが幻想と気付いてから声をかけるなら分かるけど。

そのミノル君、なぜ関わってくる邪魔者を排除しようとするのか?寂しいからというのは分かるけど、あそこまで超絶すごい怨霊になる根拠がよく分からない。ミノル君を新たなJホラースターにするつもりなんでしょうか。でも小さい男の子の霊なら『呪怨』の俊雄君という強烈なのが既にいるしなあ。そもそも「人に憑く」って言ってるわりには団地内限定みたいだし、だからあそこの団地はヤバいって噂になってるんだろうし、それって地縛霊じゃないのか?まあ、どこに逃げても追ってくると言ってはいるか。

もっとつまんなかったり破綻してたりするホラーは他にいっぱいあると思うし観るべきところもあるんだけど、思わずぶちまけてしまいました。たぶん期待しすぎてたんでしょう。あっちゃんが良かったからいいや、ということにします。


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