2013
05.10

汁を吸いだせ!『ビトレイヤー』感想。

WELCOME_TO_THE_PUNCH
WELCOME TO THE PUNCH / 2013年 アメリカ・イギリス / 監督:エラン・クリーヴィー

あらすじ
熱血刑事と彼の追う悪党が、とある陰謀に巻き込まれる。



リドリー・スコット製作による、新鋭エラン・クリーヴィー脚本・監督によるクライム・サスペンス。青みがかった色調のアジアンノワールを思わせる絵作りに、迫力の音響。夜中の無人のビル街を走る数台のバイクとか、クラブやコンテナ置き場での銃撃戦など、アクションをスタイリッシュに魅せてくれます。

ひげがカッコいい(ちょっとムッチリしてるが)刑事マックス役のジェームズ・マカヴォイはもちろん主役だけど、マックスの追う犯罪者スターンウッド役のマーク・ストロングの存在感が抜群すぎて、ダブル主演と言ってもいいくらい。これはひげマカヴォイ敵わないんじゃないかと思わせるストロングの貫録がシブすぎてシビれる!頑張れひげヴォイ!そんな二人の関係が変わる中盤からの展開が熱いです。

ただ、どうも全体的にあっさりしてる印象が否めません。かと思うとセリフで真相を一気に説明しちゃうとか少し野暮ったい個所も。ちょっと尺が足りなかったか?でも短い時間でよくまとめてると思うし、トータルでは面白かったです。あらすじは知らないで観たほうが断然楽しめます。

ちなみに舞台はロンドンのようですが、スコットランドヤードは許可を得ない限りは基本的に銃を携帯しないようです。だからマックスは最初丸腰なわけですね。もうひとつ「影の政府」ってのが出てくるんだけど、これは与党内閣に対立する組織として野党内で作られる内閣のような組織のことだそうです。これは知っとかないと、ひょっとしてパラレルワールドのSF話か?とか思ってしまいますね。(←思ってた)

↓以下、ネタバレ含む。








マックスとサラの関係性の描写が薄いんですよ。二人が恋人同士なのかさえあやふやなままサラは退場してしまう。スターンウッドと息子の関係も同様で、仲がいいのかそれとも確執があったのかよく分からない。そのせいで二人の悲しみの大きさがいまいち伝わってこないのです。もっとドラマチックにもできたと思うんだけど。

スターンウッドに至っては「超ヤバイ悪人」みたいな扱いのわりにはそれを感じさせるのが冒頭の逃走シーンくらいしかなく、むしろクールなプロだけど結構いい人、みたいな印象を抱いてしまうのです。敵役のウォーンズの「自己犠牲の精神」というのも、戦争行ってどうこう言ってるけど、誰のためにどう犠牲になろうというのか意味が分からない。こういう説得力に欠ける個所は残念。

とはいえ、細かいところでは結構ニクイ演出があります。例えば逃げたバイクを探すために車を降りてエンジン音に耳を澄ますシーンは、突っ走るだけではないマックスのクレバーさを見せてくれるし、古傷にたまる汁を注射器で吸い出すシーンは、マックスの現状をスターンウッドに暗に伝えるのに役立っています。あと暗いコンテナの中から戸口に見える人影が浮かぶシーンは、逃げようのないピンチをよく表していてイイ。

ところで『ビトレイヤー(Betrayer)』とは「裏切者」という意味で、警察内部の裏切りを指してるんでしょうが、どうもタイトルとしては微妙に外している。これは邦題なんですが、原題はというと全く異なる『WELCOME TO THE PUNCH』。コンテナ区画の名前が「パンチ」であるというのは分かりますが、これまた微妙な感じ。なぜパンチ?かつてロンドンに風刺漫画雑誌「パンチ」というのがあったらしいので、ひょっとしたら警察の不祥事を皮肉るという意味を掛けてるのかもしれないですけどね。平凡パンチじゃないよ?


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