2013
05.09

犯罪映画じゃなかったよ。『ジャッキー・コーガン』感想。

Killing_Them_Softly
Killing Them Softly / 2012年 アメリカ / 監督:アンドリュー・ドミニク

あらすじ
ギャングの賭場から金を奪ったアホを探せ!



予告を観て、ブラピがクールな殺し屋を演じるクライムサスペンスだな?という認識で観ましたよ。しかし、これが全くの予想外。

もちろんワルがワルを襲ったり、銃撃したりというシーンはありますよ。しかし賭場襲撃は計画自体が酷い。覆面も急場しのぎで鼻ひしゃげちゃってカッコ悪いし、欲を出して必要以上に盗って行こうとする。しかも盗んだ後の犯人達に緊張感が足りない。もう素人丸出しですよ。雇われる殺し屋もなんだかんだ理由付けてなかなか動かないし、殺しの代行を依頼したベテランは使い物にならない。

おまけに派手な撃ち合いはないし、クールなキメのシーンがあるわけでもない。ダラダラ続く無意味で長い会話がポップ感を出そうとしてるのは分かるけど、あまりにつまんない下ネタばかりでノレないし、ビビッドな殺しシーンは一箇所だけで、期待していた爽快感は皆無。え?何これ?

つまりこれ、別に殺し屋の話じゃないんですよ。表層的にはそうだけど、描くテーマはそこじゃない。というかクライムムービーでさえない。これは社会の縮図を描いたアイロニーです。

正直イマイチだな、と思いながら観てたんだけど、そういう視点で思い返してみると、おや?これって意外と面白いんじゃないか?と思えてきます。

↓以下、ネタバレ含む。








ギャングだ殺し屋だなどの前に、登場人物たちの立ち位置を社会の役割に当てはめてみるとこんな感じ。

貧しい者(ダメ強盗コンビ)が富める者(マーキー)に勝負をかけます。出た杭を打つためクライアント(組織の使いのおっさん)はプロの仕切り屋(ジャッキー)に依頼。仕切り屋は仕事の一部を代行者(ミッキー)にアウトソーシングするも、こいつが過去の栄光にしがみつくだけの老害のため解雇。結局仕切り屋自ら吸収合併し、仕事を成し遂げて金を手にする。元々の紹介者(ディロン)とは契約体系が違うので、金額も変わる、という話です、と。

もうこれアメリカの競争社会の構図を皮肉ったものじゃないか?と思うのですよ。頻繁に差し挟まれる金融ニュースや大統領声明はもろに経済問題や金融危機を際立たせるし。こう考えると、ダラダラ続く無意味で長い会話は、社会的事件の合間にあるごく普通の日常です。ラリってるときの意識が遠のく演出(これがしつこくて笑う)はその場限りの快楽。なんだかマーキーの自作自演の話まで裏がありそうに思えてきます。

そもそも「アメリカは国じゃなくビジネスだ」というセリフがまんま出てきますからね。つまり原題の『Killing Them Softly』の意味は、秩序をもたらし(優しく)、危機を回避する(殺す)。そしてそれこそがジャッキー・コーガンの役回りなのです。

しかしまさか予告で流れた映像がラストシーンそのままだったとはね……普通なら怒るところですが、予告で想像した内容がことごとく本編と異なってたからまあいいか。


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