2013
04.30

作る、着る、脱ぐ!『アイアンマン3』感想。

ironman3
Iron Man 3 / 2013年 アメリカ / 監督:シェーン・ブラック

あらすじ
私がアイアンマンだ。その3。



『アベンジャーズ』の戦いから1年。トニー・スタークは今日も元気にヒーローをやってる……と思いきや、なにやら過去を振り返るモノローグから物語は始まります。このオープニングが象徴するように、今作は今までで最もトニー・スタークという一人の男に迫る物語となっています。今回活躍するアイアンマンスーツはmk42。『アベンジャーズ』がmk7だったので、実に35体のスーツが新たに作られてるわけですが、それらがどうなっているのかも見もの。

トニー・スタークを演じるは当然この人、ロバート・ダウニーJr.。ベン・キングズレーやガイ・ピアースといった相手役もうまくハマってます。ドン・チードル演じるローズ中佐も大佐に昇進してますますトニーに翻弄されるし、もちろんグウィネス・パルトロウ演じる我らがペッパー・ポッツも大活躍!ペッパー・ポッツも大活躍!(大事なことなので2回言いました)

単独シリーズでは一番面白いです。前作(『アベンジャーズ』含む)までの積み重ねを踏まえ、新たな方向性を示したうえで完結編としても機能している。脚本がとてもよくできています。アクションも3Dを活かしてかなりの迫力。

――とかね、冷静に書いてますが、内心は「やってくれたなヒャッハー!」って感じで高揚しまくってますよ!やはりアイアンマンはカッコイイ、これに尽きます。もちろんエンドロール後のおまけもあるので、見逃しちゃダメよ?今回は大爆笑。あ、『アベンジャーズ』観てない人は観てから行ったほうがより楽しめます。

では物語のポイントを「アイアンマンスーツ」「トニー・スタークという男」「ペッパー・ポッツという女」「ヴィラン」と絞って今作を見てみます。

↓以下、ネタバレ含む。








・アイアンマンスーツ

これ言っちゃったら身も蓋もないんですが、『アイアンマン』シリーズ最大の見せ場はなんだかんだ言ってもやはりアイアンマンスーツだと思うんですよ。1作目でスーツを手作りするシーン、あれがもうワクワクしたわけですが、それがmk42開発シーンとして再度行われる。これが嬉しい。しかもバラバラのパーツが遠隔操作で飛んできて装着されるという、中二魂をガンガン刺激してくる設定に歓喜!

このバラバラパーツが飛んでくるというmk42の特性がシナリオにもすごく絡んできて、これが痛快。マンダリンの部隊がスターク邸を襲撃した際、ペッパーを守るためにトニーは明確にスーツを操作してペッパーに装着させますが、これはつまりトニー以外にも装着が可能ということ。これはラストのキリアンとのバトルの伏線になっています。さらにこのときスーツを付けたペッパーがトニーを落石から守った時にトニーが言う「私が先に守った」と言うセリフがラストにも繰り返されてるのが粋。

前作では敵の無人ロボット軍団が大量に出てきてトニーたちは二人でしたが、今作はその逆にアイアンマンスーツが大量に出てくるというのが実に思い切った逆転の発想でいいですね。しかもそれぞれ姿が異なり名前まで付いてるというのがまた男の子心をくすぐります。スーツをどんどん乗り換えて戦うのも燃えますね。

ただ、mk42が装着されるときの衝撃ってかなりスゴいと思うんだけど、大丈夫なのか?特に股間。一応冒頭でトニーがもっとゆっくりとか言うけど、どう見てもその後もゆっくりになってないんだが。あとこれは昔から気になってたけど、強い攻撃や高所からの落下とかってスーツは耐えても中身は衝撃でタダではすまないんじゃないだろうか。……超高性能のショックアブゾーバー的なものが備わってるんだと思っておきます。

そういえばアイアン・パトリオットは戦闘では何の役にも立ってなかったな……


・トニー・スタークという男

登場時のトニー・スタークは大企業社長で大金持ちでウィットに富んで女好きで天才、窮地に追われてお手製ヒーロースーツを作ってホントにヒーローになっちゃたという、いろんな属性を盛っちゃってる人物です。前作まではそれだけでエピソードには事欠かなかったし、『アベンジャーズ』でもその性格や立場から関わっていました。『2』では父親との関係性などもありましたが、今作ではトニーの内面に切り込みます。

でも茶化したりはぐらかしたりしてなかなか内面を見せないので、いくら『アベンジャーズ』での激闘があったとしても、あの我が道を行きまくりでストレスなんてなさそうなトニー・スタークが不眠症やらパニック障害というのがどうもスッと入ってこないんですよ。だからペッパーも最初はそこまで気付いてなくて、挙句スーツに依存してるわ云々とか言っちゃうんですよ。実際はスーツに依存していたというより、スーツ作りで自分に向き合うことを避けていたのではないかと思うんですが。わずか1年でスーツ35体、しかもそれぞれ用途や特徴が違うという病的な制作意欲は、趣味に没頭することで何かから逃げていたようにも見えるのです。それを依存というならそうですけど。

そして本気でパニック障害の症状を出して苦しむトニーを見てやっと、観客さえもああ本当なんだって思う。強大な敵を相手に思い知った自分の無力さとどうしても守りたい存在ができたことがここまでトニーを追い詰めてたわけですね。

そんななかトニーは一人北の地に飛ばされて単独行動するわけですが、身一つと即席の武器やアイテムだけで冒険することになります。ペッパーにさえまともに連絡が取れない孤立無援状態。しかしスーツを着ないで自身の肉体と頭脳プレイだけで女戦闘員との戦いに挑みます。さすが部屋に置いてるカンフー用の木人をパパパーン!とか打ってカンフー好きまで興奮させたトニー。このバトルは新鮮で刺激的です。そしてメカ好きの少年と出会い、モノを作る本来の楽しさを思い出したことで、逃げに使っていたモノ作りから一歩踏み出します。このシーケンスは結果的に他のヒーローとも連絡取りようがないという理由にもなってます。


・ペッパー・ポッツという女

『1』では有能な美人秘書として僕らのよからぬ妄想を刺激しまくったペッパー・ポッツですが、『2』で女社長になってしまい「いつかペッパーのような秘書を付けたい」という僕らの仕事に対するモチベーションを奪ってしまいました。ああでも「この女社長の下で働きたい」という別のモチベーションは沸いたがな。

そんなことはどうでもよくて(個人的には非常に重要なんだが)、シリーズで一番成長したのはトニーではなくこのペッパー・ポッツでしょう。単なる巻き込まれキャラだったのが、『2』で会社を仕切るようになり、トニーとの関係を明確にした後、今回は誘拐されエクストリミスを投与されるも、その能力使ってラストのトニーの見せ場をを奪ってしまうという仕事ぶり。

正直『アベンジャーズ』のように魅惑のホットパンツ姿を披露してまたもや僕らの妄想を刺激してくれるだけでもよかったのですが、トニーが揺れながらも基本は変わらないのに対し、ペッパーは成長している、というかトニーに近づいていってる気がします。守るべき恋人が強くなることは、守らなければという強迫観念のために逆に弱くなるというヒーローの弱点を解消します。トニーの心配事はひとつ減ったのかもしれません。

ラストはペッパーがアベンジャーズのヒーローの序列に加わるのかとハラハラしましたが、あっさり元に戻ってしまってそれはそれで残念(原作ではペッパーはレスキューというヒーローになるらしいですが)。しかしめったに見れないグウィネスのバキバキの腹筋が見れたのでよしとしましょう。

ところでペッパーよりさらに成長がすごかったですね、ジャーヴィスは。普通なら「システムに重大なエラーが発生したためシャットダウンします」と言いそうなところを「ちょっと休ませてください」と言って沈黙するとか、やたら人間くさい。トニーが最後に屋敷を後にする際、ジャーヴィスだけは持っていったのが微笑ましかったです。


・ヴィラン

今作の敵であるマンダリン。演じるはサー・ベン・キングズレーです。あの怪しげで威厳ある風貌は敵ボスにバッチリ。と思いきや思いがけない正体が明かされるわけですが、ベン・キングズレーに対しなんと贅沢な使い方!でもどちらも実に似合ってるというのがある意味スゴい。マンダリンは原作ではファンタジックな設定を持つもっと重厚なキャラだと嘆く声も多いようですが、キングズレーに免じて許してあげましょう。とか言いながらキングズレーは『ヒューゴ』をやりながらも『ブラッドレイン』とか『プリンス・オブ・ペルシャ』とか結構仕事選ばないほうですけど。

そしてキリアン。悪役としてはちょっとインパクトが薄い気もしますが、アイアンマンスーツの装甲まで溶かす3000度の高熱は脅威だし、同じ能力者が何人もいるわけですからね。まあキリアンは体の一部が光って口から火を吐くとか「ゴジラかよ!」とは思いましたが。演じるガイ・ピアースはホントに胡散臭い役柄が増えましたがこれまた似合います。出演作は『メメント』とか『ハート・ロッカー』を思い出しますが、僕は『タイムマシン』を忘れてませんよ!最近は『プロメテウス』にも脇役で出てましたね。

このシリーズは『1』のジェフ・ブリッジスといい『2』のミッキー・ロークやサム・ロックウェルといい、悪役が存在感あっていいです。


・総括

先に脚本がよくできていると書きましたが、気になる点はあるんですよ。まず勢いで住所を教えてしまうというトニーの大失態。特に迎え撃つ準備をしていた風でもなくアホ丸出しです。これは予想以上にマンダリンの動きが早かったのと、まさかヘリでミサイル打ち込んでくるとまでは予想していなかったから、かもしれませんが。つーか住所なんか晒したらファンが押し寄せてツイッターで写真アップされた揚句「スターク邸なう」とかつぶやかれるぞ。

あとラストのスーツを爆発させて花火に見立ててペッパーが「キレイ」とか言うところ。それがスーツと別れ一から出直すための儀式ってのは分かる。分かるけど、でも、もったいないよ!そんなにキレイでもないしよ!爆破するくらいなら1体くれよ!(でももらってもトニー専用なので使えないが)

とはいえ、その不満を差し引いても今作には満足。『アベンジャーズ』で若干ファンタジーに寄った世界、他にもヒーローがいるとわかっている世界でどのようにアイアンマンの活躍を描くのか。これは今作のキモだったわけですが、正当な『アイアンマン』シリーズ続編でありながら『アベンジャーズ』のその後でもあるというのがそれほど違和感なく描かれていましたしね。

アクションシーンも文句なし。目玉であるスーツの脱着はmk42を始め、次々入れ替わるラストバトルでもこれでもかと出てきます。飛行機からの救出シーンは特にイイ!ここは3D効果も最も表れてて迫力抜群でした。皆が手をつないでクモの巣のように広がった形は、なんとなく『スパイダーマン2』で暴走電車を止めるシーンを思い出して涙腺が緩みます(大好きなシーンなので)。

マンダリンの行方を追うため情報を集めるところから、マンダリンの正体が分かって対峙する構造が変わる2段構えのミステリという点は秀逸だし、ユーモアも色々と散りばめられていて結構笑えるのがいい。トニーファンのTVクルーがイレズミまで入れてるのは爆笑。やはりよく出来てます。

マーベル・シネマティック・ユニバースとしてはともかく、『アイアンマン』シリーズとしては一応完結のようですが、ラストに「トニー・スタークは戻ってくる」とあるし、バナー博士に悩みも聞いてもらったし(聞いてなかったけど)、またアイアンマンの雄姿が観れることを心待ちにするのみです。だってアイアンマン好きなんだもん。


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