2013
04.16

完全アウェイのサバイバル!『ジャッジ・ドレッド』感想。

dredd
Dredd / 2012年 アメリカ / 監督:ピート・トラヴィス

あらすじ
俺が法だ!



『ジャッジ・ドレッド』はアメコミを原作とし、スタローンによって1995年に一度実写化されています。ただこの実写化がすこぶる評判が悪く、ジャッジは決してヘルメットを脱がないはずがスタローン顔見せのためにバンバン脱ぐとは何事か、というようなダメ評価が多いです。僕は原作コミックは未見のためその点はよく分かりませんが、良くも悪くもスタローン映画だったなという印象はありました。また近未来SFというカテゴリのせいでウェズリー・スナイプスと激しくバトルする『デモリションマン』と混同したもんですよ。

さてこの新しい『ジャッジ・ドレッド』、原作に忠実だとのことですが、それを知らなくても全編通して貫かれる空気がスライ版とは全く異なることが分かります。冒頭の地を這うようなカメラワークによるバイクチェイスでアクションを期待させ、そのチェイス中に舞台設定も見せつつ、有無を言わせぬ法の執行者ぶりを見せつけてキャラを定義付け、同時にジャッジの武器の強力さまで紹介する。このイントロダクションだけでしょっぱなからアドレナリン出まくりです。

でも本筋はこんなもんじゃない。閉鎖空間に閉じ込められた最強のジャッジ、ドレッドと新米ジャッジ、アンダーソン。そこはヤクをさばく悪党が仕切る古びた吹き抜けの超高層マンション。周りは敵だらけの完全アウェイのなか、たった二人のジャッジのサバイバルな戦い。これが熱い。バディものとしては異例の「相棒が新人女子」という、まるでラブコメかよという要素を入れながら、実は彼女が持つ特異性も展開に関わってくるのが上手い。また敵の親玉であるママという女性の存在感も強烈。

そして超絶スゴい3D映像!飛び出すとか奥行きがあるとかそういう次元を越えた、今までになかった使い方の3Dです。

ドレッド役はカール・アーバンです。たぶん。一度もメットを脱がないので誰だかわかんないんだもん。でもクレジットにそう書いてます。カール・アーバンって『LOTR』の長髪のイメージが強いけど多分短髪のほうが多いですよね。『ボーン・スプレマシー』でもそうだったし。まあメット脱がないから髪型も分かんないんだけど。クールでワイルド!これは素晴らしい。

↓以下、ネタバレあり。








ドレッドが館内放送で言った決め台詞「ジャッジメント・タ~イム」がカッコよすぎて震えたわー。

さて、吹き抜けが最上階まで開けた超高層マンション、これが抜群にイイ。一つは敵の親玉のいる最上階に至るまで段階的に襲い来る試練、段差を考慮したやり取りなどのシナリオ的な効果。もう一つは吹き抜け越しにブチかます銃撃、落ちることの恐怖やそこで見せる映像など演出的な効果。この舞台設定だけで二重の効果を与えています。見事と言う他ないですね。

合わせて見事なのがスローモーというヤクを使ったときの映像。このとき服用者の感覚として周りの動きがスローになりそれは映像的にも反映されるわけですが、飛び散る血の滴、歪む肉体、割れ砕けるガラスの破片等がスローモーションで徐々に蠢く様は前衛芸術を観ているかのようで、暴力の中の美というなかなかお目にかかれないシーンを見せてくれます。さらにこのスローモーの効果が生きるのがラストの落下シーン。ママが滅びゆく自らの命を実感し、恍惚とした死への憧憬まで見せるようで凄まじい。これらのスローモー表現を3Dで観たときの衝撃はハンパじゃあなかったです。

ところでこのママという敵が魅力的なのは、リーダーとしての存在感ですね。 威圧感のある顔の傷もさることながら、全てを見通しているかのような余裕の表情。手下の統制を取りつつも自由奔放さを感じます。しかしそこにあるのは秩序なき自由です。

対するドレッドは基本一匹狼。そして法という名のガチガチのルールの下行動します。そもそもマスクを脱がないということが法の番人であることの象徴です。そこには自由や個性というものは感じられません。しかしドレッドの相棒であるアンダーソンはマスクを被らない。劇中では彼女の持つ特殊能力のためと言っていますが、同じジャッジでありながらこれはドレッドとは微妙に異なる存在。ドレッドは最初は彼女をひよっ子扱いしますが、一緒に行動を共にした結果そのブレない姿勢に最後は彼女を認めます。

統率された社会で、権力が秩序なき自由を倒す話なわけですが、そこにガチガチの統率とは少しズレた位相の正義が誕生したこと、これが希望的な終わり方を感じさせていて良いですね。

あとはママという呼称から母性と父性のぶつかり合いという見方も出来そうです。でもここまで書いといてなんですが、もうそんなことはどうでもいい!ともかくこの劇的シチュエーションでの強烈アクションを楽しむべきですよ!


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