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2020
07.22

裏切りの先にあるミッション。『ANNA アナ』感想。

Anna
Anna / 2019年 フランス、アメリカ / 監督:リュック・ベッソン

あらすじ
モデルをナメると怖い。



ソ連の諜報機関KGBにより殺し屋に仕立てられた女性、アナを描いたアクション。1990年にファッションモデルとして活動しながら国家の敵を葬るアナが、アメリカCIAの罠にハメられ窮地に陥っていく。

リュック・ベッソンが『ニキータ』『レオン』『LUCY ルーシー』と描いてきた戦う女性の物語に、新たな1ページ。タイトルも主人公の名前まんまというシンプルさが復活です。リュック・ベッソンで女スパイものとくると既視感が半端ないような気がしますが、いやいやこれが面白い。時系列を複雑に入れ替えた先の読めない展開がスピーディで、一人の女性が辿る数奇な人生には翻弄されます。そしてアナの多人数相手にスピード感で圧倒する二丁拳銃アクション、返り血を浴びながら次々倒す超クールな佇まいがカッコいい。二重三重の捻りの行く末、選択による自由への逆転も良いです。

アナ役はロシア出身のスーパーモデル、サッシャ・ルス。『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』にも出演してたらしいですが、本作で大抜擢。長身が映えるモデルとしての役柄はもちろん、一人血まみれで戦う姿が凄惨な美しさ。ミラ・ジョヴォビッチを思い起こさせますが、時々ジェシカ・アルバに見えるキュートさもあってとてもイイ。KGBでアナを見出すアレクセイ役に『ホビット 決戦のゆくえ』ルーク・エヴァンス、アナを追うCIAのレナード役に『ダンケルク』キリアン・マーフィーと、彼女を挟んで色男二人が対峙する構図も面白い。さらにアナを育てたKGBオルガ役の『ワイルド・スピード スーパーコンボ』ヘレン・ミレンが見せる冷徹な鬼上司っぷりも見もの。

アナのモデル仲間であるモード役の子も魅力的で目を引くし、『T-34 レジェンド・オブ・ウォー』のイヴシュキンことアレクサンドル・ペトロフが『アトラクション 制圧』に負けないクズっぷりを見せたりと、役者陣は皆イイ。時系列が混乱すると思ったのか、わかりやすく同じシーンの繰り返しを見せるのが若干くどいですが、まあ許容できる範囲でしょう。新鮮味は薄いものの、いつもの味より予想外に美味かった、という感じで満足です。

↓以下、ネタバレ含む。








まずはとにかくアナ役のサッシャ・ルスですね。クズ男に振り回されるドン底の女から、ゴージャスなコートを纏って撃ちまくる殺し屋、ハニートラップを仕掛ける娼婦にあっという間に登り詰めるトップモデル、とバリエーションが凄い。美貌とスタイル、頭の回転の早さに加え、上司に逆らう胆力やカメラマンにキレてブチのめす茶目っ気(?)などキャラクターもなかなか面白いです。アクションはやはりレストランのシーンが白眉。相当激しいのに結構な長い時間を、どこから湧いたんだってくらいの敵を倒しまくるので大したものです。『ジョン・ウィック』『アトミック・ブロンド』にも負けてないですよ。KGBからの脱出シーンなどはほんのちょっともたつきを感じましたが、総じて満足できるレベルです。

ストーリーはスパイもの的な裏切りの応酬で、『ソルト』とか『レッド・スパロー』とか色々思い出すので斬新さには欠けますが、本作の特徴である時系列で翻弄するというのが効いています。ここから始まったのかと思いきやそれはもう任務の一部だったり、どれが出自なのかがわからなかったり、実際はKGBなのかCIAなのかというのも混乱します。そういったエピソードがどれもスリリングなので、上手く乗せられる感じがします。それらを絡み合わせながら、実はアナは自分自身のためのミッションを遂行していくわけです。

男たちとの関係は笑えるような怖いような。ルーク・エヴァンスとキリアン・マーフィどちら相手でも演技ではないようなので、裏切りとはちょっと違うんですよね。最後にどちらかを選ぶのではなく、アナが二人を「家族だ」と言うように、家族の元を離れ自分自身の道を選んだ、ということなのでしょう。とは言え終盤の三人の会合は、傍から見れば元カレ今カレまとめて話を付けてるようにしか見えないのが面白いです。あとはヘレン・ミレンの容赦ない上司が、善人とも悪人とも言い切れない揺れ方をしてアナを救ったと思ったら、ちゃっかりKGB長官の座を手に入れるラストが『裏切りのサーカス』みたいで愉快。そして自由を手にしたアナがようやく人生を始めるのだと余韻を感じさせる終わり方も思いがけず良かった。やったぜリュック・ベッソン。サッシャ・ルスの今後の活躍にも期待したいところです。

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