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2020
07.09

エイリアン打倒へ、引き継がれる信念。『囚われた国家』感想。

Captavie_State.
Captive State / 2019年 アメリカ / 監督:ルパート・ワイアット

あらすじ
グローリー、ハレルヤ。



「統治者」と呼ばれるエイリアンの支配下に置かれた2027年のアメリカを舞台に、自由を求めて地下活動を行うレジスタンスたちを描いた近未来SFサスペンス。身体に埋め込まれたGPSで監視され、貧富の差は拡大し、荒廃した街で虚ろに暮らす人々。そんななか、統治者たちを倒すべく、ある計画が密かに進行します。

侵略SFものなんですが、エイリアンに統治された世界でのレジスタンスの地下活動という、「侵略後」を描いたちょっと変化球な作品。かつ群像劇でもあります。管理され監視されたディストピア感のなか、立場も年齢性別も様々な多くの人々が思いがけない手段で連携していく様には手に汗だし、とある兄弟に焦点を当てたサスペンスの行く末には涙。エイリアンたちの支配という状況に適応した日常生活というのがやけにリアルで、逆らえば殺されるも役に立てば権力も手に入るというのが、現実の戦争後の世界を描いているかのよう。遠大な計画が行き着くラスト5分の興奮と深みは素晴らしいです。

監督は『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』のルパート・ワイアットで、製作・脚本も兼任。演出は臨場感があってスリリングです。警察の上層部マリガン役の『10 クローバーフィールド・レーン』ジョン・グッドマンは貫録で魅せ、謎の女ジェーン役の『死霊館』シリーズのベラ・ファーミガはどこか憂いを抱えながらも謎めいた色っぽさが抜群。ほか、兄との関係がキーとなる青年ガブリエル役に『ムーンライト』アシュトン・サンダースらが出演。

一件地味に思えるかもしれないけど、人類を滅ぼすのではなく支配する異星人の統治には閉塞感があり、圧政者に立ち向かう名もなき者たちのドラマには熱くなります。登場人物たちの不可解な行動が伏線となっており、ミステリーとしても秀逸。刺々しさが独特なエイリアンや透明爆弾などのSF要素もイイ感じ。これは良作です。

↓以下、ネタバレ含む。








エイリアンがなかなか姿を見せないという"じらし"があるので、そのぶん不意に異星人に関わる描写があると非現実感が凄いです。真っ黒な塊からウニのような針だらけの姿で襲い来るエイリアンは文字通り刺々しいし、夜のスタジアム上空を巨大な影が覆うという宇宙船登場シーンなどはシビれます。この宇宙船が岩塊みたいに無骨なので、それがまたカキみたいで海産物っぽさが増すんですが。そんなSF的ガジェットはなかなかに独創的で、人体に埋め込まれた発信器が有機的でグロいとか、あと透明になる有機爆弾などは非常に重要な役割もあって面白いです。予告で流れた巨大二足歩行ロボ(?)が遠目に一瞬映るだけで終わるのは肩透かしですけど。通訳を交えた聴取シーンなどはなかなかに新鮮です。

人類に自治を任せながらも実質支配し、根こそぎ資源を採掘しようとするエイリアン。それに対し人類が取る行動は「個」での成果を求めるのではなく、それらを束ね、鍛え上げ、例え犠牲になったとしても反撃のチャンスを引き継いでいくというもの。序盤に次々と連絡経路をリレーしていく周到さには驚きますが、そんなところにもこの「引き継ぐ」という形が表われています。それは彼らが共通で抱える信念とも言うべきものです。

マリガンのガブリエルを助けたかと思えば片棒担がせたりといった不可解な行動、ガブリエルの兄貴ラファエルを拷問にかけたはずがなぜか外にいる不思議、マリガンが敵を信じるなという意味や、なぜか初対面のはずのガブリエルの名を知っているジェーン。様々な謎がさらに謎を呼び、終盤一気に収束していくのは圧巻です。マリガンがジェーンに「もう君を守れない」と言うのから、ただ娼婦に入れ上げてるわけではないというのは予想できますが、レジスタンスのトップであるジェーンがあっさり退場するのも驚くし、ジェーンがマリガンに告げる「あなたにはやるべき任務がある」の意味がわかるのは本当に最後の最後。ガブリエル誕生パーティの映像は真相をわからせるに十分で、「未来は君に掛かっている」というマリガンの言葉に泣き、証拠を消すガブリエルのせつなさが胸に響きます。

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