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2020
07.06

科学者とメタル娘で甦り。『一度死んでみた』感想。

ichido_shindemita
2020年 日本 / 監督:浜崎慎治

あらすじ
まーさにー。



デスメタル女子大生の野畑七瀬が「死んでくれ!」と言い続けていた大嫌いな父親・計がある日本当に死んじゃった、という、悲劇かと思いきや完全なコメディ。七瀬は父の死に隠された秘密を巡り、父が経営する会社の社員で存在感の激薄い松岡と共にある計画に挑みます。

すんごい面白かった。コメディとしてのテンポが抜群に良いし、常に笑いを放り込んでくるので全く停滞しません。ギャグが伏線になってるというのが実に良くて、その張り巡らされた伏線の回収も気持ちいい。下手なミステリーよりも一本取られた感が随所にあります。父親は「一度死ぬ薬」というので完全に死んでいないという設定なのですが、そのリアリティのなさもむしろ可笑しい。

七瀬役の『ラストレター』広瀬すずは、それデスメタルかなあ……?というのはありますが、思い切ったハイテンションでさすがの切れ味、あとハイキックが見事です。計役の『俺はまだ本気出してないだけ』堤真一のコメディ演技はやはり抜群。もう、冴え渡ってます。リリーさんとのコンビなんて最高。そして松岡役の『キングダム』吉沢亮が、マジでオーラを全く感じさせないゴースト社員っぷりなのが凄い。本当にこの人は何やっても上手いな。小澤征悦や嶋田久作のクセのある感じも良いです。

あと無駄使いすぎる豪華カメオも笑います。なんでこんなに豪華なの??監督の浜崎慎治はauのCM「三太郎」シリーズの人で、これが長編初監督とのこと。ライトさとキャラ付けのスムーズさは確かに。父娘のこじれた関係に悲壮感がないというのはありますが、ヒャダインの音楽は軽快だし、徹底したコメディ志向は実に愉快。爆笑です。

↓以下、ネタバレ含む。








死ぬ薬は、要は仮死状態になるということなんでしょうが、科学的な根拠とか説明とか全く示されないのが潔い。霊体だと声が聞こえないのでジェスチャーでやり取りするのがマヌケだし、堤真一の死に顔は凄いし、三途の川が第一級河川になるという細かい笑いまであって、死を描きなからも全く辛気くさくないですね。クリスマスケーキを前に「アンチェインド・メロディ」を流して泣かせにきてもすぐに笑いに転じるし、社長の「まーさにー!」という口癖が役員たちに真似されてるとかも可笑しい。七瀬のキャラは完全にこじらせてるので、デスメタルというよりアイドル扱いなのもまあ許容できます。そんなに親父が嫌いなら普通は無視すると思うんですが、ファブリーズを駆使しながらもやり取りしてしまう辺りに、寂しさとか悲しみとか複雑な感情があるんですね。

コメディ演技については、広瀬すずはそこまで笑いの主体にはならないですが、代わりに堤真一と吉沢亮が抜群。脇を固める人たちも楽しくて、特にリリー・フランキーが堤真一と「トントントントン」言う(しかも役名が「火野」)という掛け合いには爆笑。CM畑の監督らしいネタです。チョイ役がやたら豪華で予想以上に出オチに使われてるのが愉快で、「これはライブだ」と感動する(ライブの定義が謎)妻夫木聡や、魂ズじゃなく「ズ」だと言う大友康平や、坊主ネタでまさかの二回登場の竹中直人辺りはまだ出てる方で、一瞬で出番が終わる佐藤健や、写真だけの池田エライザなどにはさすがに驚きました。他にも大量に有名俳優が出てるので気付くと楽しいです。

マヌケな笑いどころかと思いきやそれが伏線になっているというのが懲りまくってるのが凄い。すいへーりーべの化学式がパスワードだったり、アホっぽいと思っていた木村多江の「ここよー!あー!」がハイテク仏壇の場所を示してたり、中止になった郷ひろみのクリスマスショーが会場になったりと、実に枚挙にいとまがないです。しかも"薬さん"の「5分で集合」が最後に活きる、静電気体質が目覚めのキスに繋がる、宇宙服やロッカー内で着替える特技がラストの大ネタになるなど、話の根幹に関わるところまでそうなのだから感心します。人差し指立てての「デス!」が広まっていく高揚感、松田翔太の「じいさん」が藤井さんではなく文字通りだという驚き。最後までテイストを変えず飽きさせない、亡くした大切な人への思いでじんわりさせることも忘れない。軽々しく死ね!と言っちゃあダメってことですね。楽しませようという工夫に満ちていて良かったです。

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