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2020
03.09

天使には翼を、悪党には粛清を。『チャーリーズ・エンジェル』感想。

Charlies_Angels
Charlie's Angels / 2019年 アメリカ / 監督:エリザベス・バンクス

あらすじ
グッモーニン、エンジェルズ。



国際機密企業チャーリー・タウンゼント社の元に、兵器化可能な新エネルギー装置の危険性を訴える依頼が舞い込む。「チャーリーズ・エンジェル」と呼ばれるエージェントのサビーナとジェーンは、何者かに奪われた装置を取り戻すため、告発してきた女性研究員エレーナと共に装置の行方を探すが……。『チャーリーズ・エンジェル』を再映画化したサスペンス・アクション。

1970年代後半にテレビドラマとして人気を博し、2000年代にキャメロン・ディアス、ドリュー・バリモア、ルーシー・リューの主演で映画化もされた『チャーリーズ・エンジェル』が2003年のマックG監督『チャーリーズ・エンジェル フルスロットル』以来17年ぶりの続編として登場。自社で開発したエネルギー装置「カリスト」の不具合公表を上司に却下されたエンジニアのエレーナは、秘密組織チャーリー・タウンゼンド社に不正を暴くことを依頼するためカフェで司令塔のボスレーと会うものの、何者かに襲われることに。「エンジェル」と呼ばれるエージェントのサビーナとジェーンは、エレーナと共に「カリスト」の奪還に挑むものの、次々とピンチに見舞われていきます。ひたすらカッコいい女たちが男共をブチのめす、まさに現代的アップデートを施した新たなエンジェルたち。設定が組織的になったり意外とハードボイルドだったりと前作までとは結構テイストが異なるし、活劇や話に難はあるけど、個性的な三人の魅力にやられまくります。媚びない天使たちの勇姿が最高。

設定はマックG版の続編という形になっており、過去作を踏襲しつつ新たなエンジェルたちの活躍が描かれます。スタッフとキャストは一新。サビーナ役は『エージェント・ウルトラ』クリステン・スチュワート、個人的には久し振りに見たんですが、こんなにカッコよかったっけ?というくらいセクシーにしてワイルド。エレーナ役は『アラジン』ナオミ・スコット、MIT卒の才女ながら素人の彼女がエンジェルたちと奮闘する姿は愉快。ジェーン役は今回大抜擢されたエラ・バリンスカ、長身で長い手足を使ったアクションがとてもイイ。またチャーリーの指令を伝える役割だった「ボスレー」は役職の名前となり、その初代ボスレー役に『LOGAN ローガン』パトリック・スチュワート、サビーナたちの直属のボスレーに『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』ジャイモン・フンスーといった布陣。

監督・脚本は『ピッチ・パーフェクト』エリザベス・バンクスで、自身もボスレーの一人として出演。一見ガサツでもわりと気遣いなサビーナ、クールな佇まいと涙もろさが同居するジェーン、賑やかでもここぞの正義感を見せるエレーナと、三者三様のキャラ立ちは十分。フェミニスト指向はかなり強いけどそれほど気にならず、むっちゃ楽しいです。豪華なカメオも愉快。しかしクラヴマガ凄いな!

↓以下、ネタバレ含む。








何となくリブートかと思ってたので、続編というのは嬉しい誤算。探偵事務所だったのが世界的な組織となっていたり、ボスレーが階級名になっていてみんなボスレーだったりとちょっと戸惑いますが、キャメロン・ディアスら前エンジェルたちも写真で登場してマックG版とも繋がりを示します。ボスレー役のビル・マーレイがパトリック・スチュワートに代わってますが、今回のこの役をビル・マーレイがやってたらさすがに胸糞悪いので結果オーライ。また今作で特徴的なのは徹底して女性が主役ということ。冒頭のサビーナが相手のジョニーに対し女であることは有効な武器である、と宣言して叩きのめすのからして痛快。タイトル前に女性が活躍するモンタージュを流すことで、これが戦う女の話である、と明言しており、その後も男に媚びず肉体的にも精神的にも互角以上であると示します。振り返るとさすがにちょっと意識しすぎでは……とも思うんですが、そこまでやらないといけないのだ、というのが危機感ある実情としてあるのだと言えるでしょうね。

実際エレーナが上司のフレミングに直訴に行った時に、彼はエレーナが女性だからというナメた態度で手を握って言い含めようとしたり、強い口調で黙らせたりします。パトリック・スチュワートのジョン・ボスレーは今まで女性たちを育ててやったんだから美味い目に逢ってもいい、みたいなことを言って、やはり軽んじてる感がありますね。捕らえたエレーナに金の首輪を付けるというのはあからさまに隷属を思わせます。殺し屋ホダックはカーチェイスでガトリングをぶっ放すというのが愉快で、『ターミネーター2』のロバート・パトリックやマックG版『チャーリーズ・エンジェル』のクリスピン・グローヴァーみたいなサイコっぷりで良かったですが、エンジェルたちに理解のあったエドガー・ボスレーの仇ということで、思い切りぶっといので貫かれるというなかなかえげつない最期。他にも採石場の戦いで機械に砕かれる男とか、悪党には結構容赦ないです。ただ、警備員がカリストに巻き込まれて命を落とすのは、髪型服装を変えただけでエレーナを検査しようとしたイヤらしさはあるものの、さすがに極端な仕打ちな上にその後何のフォローもないので、ここだけは非常に後味が悪くて残念。

観る前は普通に美女三人という感じでインパクトに欠けるのでは、などと思ってましたがとんでもない、実際はしっかりキャラ立ちしていて最高。サビーナはこちらを見る超セクシーな冒頭からの華麗な体技、実はショートカットという意外性まで含め魅力的でガッツリ心を掴んできます。わりと声も低いしワイルド、というかガサツで、でもウザいと思われてるという自覚もあり、知識をひけらかしてバカじゃないと示そうとするのが微笑ましく、子供に変顔をするサービス精神もあり、実はお嬢様、って盛りすぎだろう!良いな!元MI6のジェーンはクールな佇まいながら、サビーナが死にかけてると思って泣いちゃったり、サビーナの肩に頭乗せて寝たりして可愛い。エドガーの死に一番影響を受けているのもあり、人見知りだけど一度信用した人には心を開きまくるタイプなんでしょう。ホダックに「動きのパターンは7種類、覚えた」って言うのが超カッコいい。良いです!エレーナはMITを首席で卒業し、凄腕のハッカーでもあるという頭脳担当。彼女がエンジェルじゃない、というのが一番意外でもありました。まあ自分も手伝うと突然言い出す正義感の持ち主なので、エレーナがエンジェルになるのは予想はできますが、いつの間にか馴染んでる感が自然で、サビーナとジェーンの「もう仲間でしょ?」みたいなノリが素敵。クラヴマガというイスラエルの軍で開発された近接格闘術で敵を倒しちゃうのも楽しいです。良いぞ!

話的には粗さも多いです。特にレベッカ・ボスレー、実は黒幕なのではという含みを持たせるためとは言え、戦闘中のエンジェルたちに何も告げずに去るのは不自然すぎます(考えてみれば女性が黒幕というのはないだろうし)。せっかく取り戻したカリストが使い捨てというのもちょっと拍子抜けだし、ジョン・ボスレーがスポンサーであるブロックさんを脅したと思ったらその後は放置というのが半端だし、ちょいちょい引っ掛かります。世界的な組織になったというスケールアップはいいんですが、それでエージェントが女性しかいない説明がないので逆に不自然(企業理念ってことか?)。アクションの見せ方も特に序盤はカット割りが激しすぎたりして、もう少しじっくり見せてほしかった。でも同じくらい面白いシーンもあるので、トータルではそこまで気にならなかったです。三人が同じボウルカットで同じ服で会社に潜り込むのがなぜかと思ったら陽動であり、それがスリリングで楽しいし、採石場での丁々発止のやり取りもエキサイティング。『ワイルド・スピード』などのしつこい映画ネタも面白いし、黒幕の在り方はちょっと『ミッション・インポッシブル』1作目を思い出す捻りがあります(ドラマのファンには微妙かもですが)。

マックG版に比べると男女間の恋愛は鳴りを潜め、明らかに女同士の繋がりの方が中心になりますが、セイントという男女隔てなく接する者がサポートしたりもしますね。「口臭に効く」とか言って意外とデリカシーないけど。またエレーナの同僚ラングストンが、ジェーンのやろうとしてることを察して何も言わずグミを渡したり、ラストはジェーンとちょっとイイ雰囲気になったりするし、ジョニーがなかなかのコウモリ野郎ながら、追い詰められた場面でもサビーナを口説こうとするのが憎めなかったりして、男を徹底排除してるわけでもないんですね。マックG版にあったような底抜けの陽気さに欠けるのはちょっと残念ですが、それでも監視カメラの前で踊るサビーナとか、サビーナとジェーンがビシッとダンスをキメてプリクラ撮って残していくのなんかは最高だし、ラストに敵に囲まれたと思いきや、周りの女性が全てエンジェルで男たちは全員ノビてる、というのは痛快。あの人もエンジェルだったのか!というのが(予想はしたけど)良いですよ。

仲間の死のせつなさや功労者の裏切りなどの重さ、テーマ曲も陽気さが足りないなど、『チャーリーズ・エンジェル』らしさというのは若干スポイルされてますが、ハードさ増しの現代のエンジェルはこれはこれでありだと思うんですけどね。そしてエンドロール中のエレーナ訓練シーンは、そんなハードさを吹き飛ばすようなテンポと陽気さ。現チャーリーが初代エンジェルのジャクリーン・スミスだったり、格闘指南するのが『ワイルド・スピード SKY MISSION』『マイル22』のロンダ・ラウジーだったり、一緒にダイビングするのが『ピッチ・パーフェクト2』『バンブルビー』のヘイリー・スタインフェルドだったり、実はRBGことルース・ベイダー・キンズバーグ(人気の最高裁判所判事)もエンジェルだったなど、次々現れる豪華カメオやネタがまあ愉快。そして仲間の印のタトゥーを入れるエレーナが「翼をちょうだい」と、これこそが自分の羽ばたく道だとノリノリなのがイイんですよ。やはり女性がカッコよく輝く作品は最高です。興行成績が相当悪かったようで続編は難しそうなのが残念ですが、彼女たちの今後の活躍を想像すると楽しくなります。

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