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2020
02.18

その名は属性ではなく生き方。『バッドボーイズ フォー・ライフ』感想。

Bad_Boys_3
Bad Boys for Life / 2020年 アメリカ / 監督:アディル・エル・アルビ、ビラル・ファラー

あらすじ
メガネは大事。



マイアミ市警の名物コンビ、マイク・ローリーとマーカス・バーネットは相変わらずの暴れっぷり。しかしマーカスは家族のことを思い引退することを考えていた。そんなときマイクが何者かに命を狙われ……。バディアクション『バッドボーイズ』のシリーズ第3弾。

マイクとマーカスの刑事コンビがド派手なアクションで魅せる『バッドボーイズ』が、『バッドボーイズ2バッド』以来17年ぶりに復活。リッチでクール、ポルシェを駆りながら独身生活を謳歌するマイクと、家族優先な相棒のマーカス。マイアミの悪党を取っ捕まえてきた二人ながら、警察も世代交代が進んで若きエリートたちが活躍するようになり、マーカスは孫の誕生を機に常に危険が伴うこの仕事からの引退を決意します。しかしそんななか、マイクが何者かに命を狙われ、二人に最大の危機が訪れる、という話。よもや『バッドボーイズ』にまで続編ができるとは思いませんでしたが、でも年を取ってもまだ暴れるぜ!という17年ぶりの新作に期待する要素は予想以上。暴れっぷりより老いっぷりが目立つし、腕力は時代遅れでIT捜査の若造たちが台頭もしますが、それでもやはり一生バッドボーイズと言うマイクとマーカスのバディが熱い。怒涛のアクションには燃えます。

主演はもちろんこの二人、マイク・ローリー役に『アラジン』ウィル・スミス、マーカス・バーネット役にマーティン・ローレンス。もうボーイじゃないよね、とも思うんですが(そこは劇中でもツッコまれる)、まだまだ若い者には負けない豪腕ぶり。しかし加齢はごまかしてるものの、マーカスなんてもうお爺ちゃんだし、マイクは年を重ねたがゆえの人生の局面にぶつかることになります。またハワード警部役として『マトリックス』ジョー・パントリアーノ、マーカスの妻テレサ役のテレサ・ランドルもシリーズ続投。ほか、マイアミ・ハイテク捜査班(AMMO)のリーダー、リタ役にパオラ・ヌニェス、マイクを狙うテロリストのイサベル役にケイト・デル・カスティーリョ、イサベルの息子アルマンド役はジェイコブ・スキピオ。

監督はマイケル・ベイから『ギャングスタ』アディル・エル・アルビ&ビラル・ファラーに交代。ちょっと変わったカーチェイスや、廃ホテルでの立体アクションなどは秀逸。マーカスの孫爆誕やマイクが襲われる事件など驚く描写が続いて面白いんですが、前半のシビアな展開もまだライトな方で、中盤の驚きの事実から俄然シリアスさを増すのには意表を突かれます。少し納得いかない点もあるけど、まさに「人生」の名を冠するに相応しい話に。前作までの内容は正直ほとんど覚えてないですが、何となくわかるようにはなってます。

↓以下、ネタバレ含む。








1作目からだと25年、前作からでも17年という年月を経ての新作、ヒップホップに乗せて悪党どもをブチのめす型破り刑事、というイメージだったマイクとマーカスのコンビも、すっかり年を取りました。1作目ではまだ小さかったマーカスの娘も結婚して子供を生むまでになり、すっかり涙もろくなったマーカス。それに比べればマイクは相変わらず高級車を転がして現役感ありますが、実はヒゲの白髪を染めているというところに月日の経過を感じます。二人が合言葉のように言う「一生バッドボーイズ」も本当に一生ものになりそうなところまできており、そうなると二人がどんな幕引きを迎えるのかというのが気になるところ。『リーサル・ウェポン4』を思い浮かべますが、あるいは殉職という可能性もなくはない(と思ったけど既に続編決定みたいな報もあったのでそれはないんですが)。でもそこでいきなりマイクが死にかける、という予想外の展開に。必死で面倒を見るマーカス(ヒゲも染めてあげる)には熱いものがありますが、でもマーカスは復帰したマイクの誘いを断り引退を決め込みます。一旦コンビが解散するところから仕切り直すわけですね。

そうするとマイクがどれだけ傍若無人かが見えてくるという、考えてみればそりゃそうだなという展開に。特に若手の多いAMMOはマイクを押し付けられてとんだ迷惑ですが、そんなもんマイクは気にせず突き進むわけで「若手になんか負けない」ではなく「他者を気にしてない」なんだな、というのがわかります。マイクのように暴力で脅して口を割らせるというのは時代遅れになりつつあり、正直AMMOのメンバーだけでも解決できるんじゃないか、と思わせるのはちょっと危ういバランス。でもマーカスが引退を一旦撤回して合流することで、マイクが徐々にAMMOの面子とも打ち解けていくところにマーカスの真骨頂がありますね。同時に若手たちもキャラが立ってくるのが面白い。むっちゃマッチョでいかにもパワーファイターなのに、専門はハッキングやドローンなどIT全般というドーン、DJやったり女の子と知り合いだったりと顔が広く、マイクに母親をからかわれたことを根にもつのが愉快なレイフ、結構素直ないい子だけど、股の間に滑り込んで腹にガンガンブチ込むとか倒し方がえげつないケリー、そして管理者としての苦悩が絶えないマイクの元カノのリタ。彼らもまたマイクの影響を受けることで成長して(と言うか無謀さの影響を受けて)いくわけです。

悪党がAMMOのハイテク捜査だけでは歯が立たない武闘派なのもマイクとマーカスが必要となる根拠になっています。魔術を使うとさえ言われる容赦なき復讐者イサベルと、母の言いなりかと思いきやたった一人でメキシコの組織を乗っ取るほど激強い息子のアルマンド。二人が次々にある事件にかかわった者を消していくのが事件の根幹です。まだこの二人の上司やってんのかと気の毒にさえなるハワード警部が、まさかの命を落とすことにも。しかもイサベル親子とマイクとの関係が明かされるのにはブッ飛びます。てっきりマイクはリタと復縁してチャンチャンかなーとか思ってたら、なにこの激重い展開!息子と戦うことになる、ってなんか『ジェミニマン』でも似たようなことやってなかったかウィル・スミス?とは思いますが、この過去が追いかけてくるかのようなシリアスさは、今までにないほどマイクの人間くささを際立たせます。

映像的にはわりとオーソドックスかなと思ってると時折グッと来るショットが放り込まれてなかなか油断なりません。マーカスが「最後の一度だ」と言ってマイクと拳を合わせるシーンでは、その屋上の風景からカメラがどんどん引いていきマイアミの街並まで映すのがイイ。アクションでもサイドカーでのチェイスというちょっとフレッシュな趣向で、すんでのところで切り離したり、直後のピンチでそこからサポートしたりと面白いです。クライマックスの廃ホテルは、独特な吹き抜け構造を立体的に使っての攻防が実に愉快で、高低差に横の動きまで加えてきます。ヘリが吹き抜けに墜落してくるのには驚愕で、その後の火災で最後のスリルにも繋げるのは上手い。ただ、たまに変なところでスローになるんですよ。マーカスがマイクの投げた銃を受け取ろうとしたら取れない、というのをスローでやるのには、なぜそこで?とちょっと笑います。マーカスがメガネかけたら復活するのも可笑しい。あと丸いテーブルを転がして銃撃の盾にするという、何だか懐かしいアクションまでやってて逆に新鮮です。

マイクといがみ合ってたレイフが最後の作戦前にマイクとグータッチしたり、リタがマイクと親しげに話してるイサベルを見て「殺してやる」と本音が漏れたり、ドーンがついにマッチョを活かした肉弾戦を見せたりと終盤にきてようやくチーム感も出てきます。問題はマイクとイサベル親子とのケリの付け方なんですが、ついにマイクに「お前は俺の息子だ」と告げられたアルマンドが「本当なのか」と母に詰め寄る、そこからの生き残る者、落ちていく者という分かれ道は、なし崩し的とも見えるし、やるせないとも言えるしで、何ともスッキリしない終わり方。アルマンドは母の命令とは言え殺しまくってるし、その母を殺されながらもマイクを受け入れているように見えるし、マイクはハワード警部を殺されてることはいいのか?とも思うし、それで最後に仲間たちが集まって一件落着な雰囲気を出すのは少々強引でモヤモヤします。エンドクレジット後にマイクが息子に「償う気があるなら力になる」と言うのは続編への布石なのか?なども引っ掛かるところ。とは言え、若い世代との邂逅を果たし、家族という観点を強め、赤子に対して久々に「バッドボーイズ」を歌うマイクとマーカス、という締め方は決して悪くはないですよ。一生バッドボーイズでいてほしいナイスなバディです。

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