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2020
02.05

妖怪ハンターと悲恋の行方。『ナイト・オブ・シャドー 魔法拳』感想。

The_Knight_of_Shadows
神探蒲松齢 The Knight of Shadows: Between Yin and Yang / 2019年 中国 / 監督:バッシュ・ヤン

あらすじ
魔法拳とは。



学者を装いながら、実は邪悪な妖怪たちを封印していく妖怪ハンターであるプウは、村の少女たちが女妖怪に誘拐されるという事件に乗り出す。しかし謎の男イエンにより、その妖怪シャオチンがかつて人間だったことがわかり……。ジャッキー・チェン主演の伝奇ファンタジー。

太宰治や手塚治虫など日本の文化人にも影響を与えたといわれる、中国・清代の怪異短編集「聊斎志異(りょうさいしい)」。その作者である蒲松齢(ホ・ショウレイ)をモデルにした主人公プウの活躍を描く伝奇ファンタジーです。妖怪の世界と人間界の結界が破れたことにより妖怪たちが押し寄せ、彼らを捕らえるため人間界に送り込まれたのが「文豪妖怪ハンター」ことプウ・スンリン。妖怪を退治したり執筆に勤しんでいたところ、衛門府の役人(警察的な人)のヤンフェイが現れて、プウ先生を少女誘拐の容疑者扱い。事件が妖怪の仕業と見抜いたプウは、ヤンフェイを引き連れて「陰陽の筆」でその女怪を退治しようとするが、というお話。CGを駆使した映像で妖怪との戦いを描くという、ジャッキーとしては珍しい伝奇もの。手下にした妖怪たちを従え、妖力のある筆で敵を異世界へと追放するジャッキーは、にこやかさとは裏腹になかなか容赦ないです。山水画のような地形に張り付く村など、絵面がなかなか面白い。

プウ・スンリンを演じるのは『ザ・フォーリナー 復讐者』で新境地を見せた我らがジャッキー・チェンですが、陰陽の筆を使った派手なエフェクトの決めポーズや、コミカルな攻防などはあるものの、アクションらしいアクションはほとんどありません。代わりに人さらいの妖怪シャオチン役のエレイン・チョンが美しく舞い、彼女と縁のある謎の男イエン・チュイシャ役のイーサン・ルアンがワイヤーアクションを頑張ってます。"鏡の妖怪"を演じるリン・ポンも妖艶。あとヤンフェイ役のリン・ボーホンがコメディリリーフという感じで場を引っ掻き回します。

出来としては正直なかなかに微妙。若干子供向けの冒険活劇という感じなのかなーと思いきや、メインは若い男女のメロドラマだったりするのでちょっと困惑します。でもジャッキーの軽快さとおどけ顔とたまに見せる威圧感は堪能できます。エンドロールのメイキングは楽しそう。ちなみに邦題に「魔法拳」とありますが、そんな拳法は出て来ないので注意です。

↓以下、ネタバレ含む。








冒頭の巨大魚妖怪との戦いがCG感丸出しなのからしてヤバい気はしましたが、これが予想を軽く越えて香ばしい。CG感と言うよりは二次元感でしょうか、妖怪の形状などはマンガっぽくてどうも実写に馴染みません。プウ先生の使役する妖怪たちも、フワフワ浮いてるちっこいのは記憶を操るという能力を持っててなかなかチートですが、キュートな見た目にはあざとさしかないし、ミニキョンシーみたいな奴はキョンシーらしいアクションが皆無なのもいただけない。でもツタ状の手足が伸び縮みする、攻撃も飛行も可能なアイツはイイですけどね。どうも全体的にデザインがいまいち。高い円柱の山の崖に張り付くよう村の遠景は、古代中国っぽさがありつつどこか異世界感があって良いですが、なぜかラクダが出てきたり、なぜか日本的装いの踊り子が出てきたりと、世界観に統一性が欠けるのも目立ちます。あと魔法の筆、先端が光るんですけど、それだけで圧倒的に筆に見えない、という知見を得ました。

まあそこはよしとしましょう。しかしジャッキーの演じるプウが、ジャッキー力を持ってしても今一つ魅力的じゃないんですよ。本来は妖怪ハンターという肩書きだけでアガりそうなもんなんですが、自著を子供たちに売り付けようとするがめつさがあったり、やたら酒飲みなのはともかく酔ったところで大事な筆を奪われるというポカをするし、元は人間というシャオチンを有無を言わせず退治しようとするし。一応捕らえた物の怪の服の破れを縫ったりする優しさも見せますが、でもそのぶんコキ使ってますからね。ただ序盤で暴れるジャッキーの、CG処理により20代に若返った姿というのはちょっと嬉しいものがあって、ここは見もの。またプウと行動を共にするヤンフェイですが、最初は能力があるのに先輩にいびられて不遇だなあ、とか思ってたら、後半はどんどん役立たずになっていくのには脱力です。妖怪を誘き寄せる店で女装する意味もよくわからないし。ああ、でもそこはジャッキー映画っぽい要素かも。

メインは妖怪から人間になったイエンと、人間から妖怪になったシャオチンの悲恋物語です。元はヘビであるイエンが、人間のシャオチンの影に住まううちに人らしさを得て、逆にシャオチンはイエンを人間にするために自らは妖怪に身を落とす。二人の過去を語るアニメパートは味があってなかなか良いんですが、シャオチンが素直じゃなくて「私は妖怪に満足してる」みたいなこと言うもんだから話がどんどんこじれます。最初はイエンがプウに襲われたシャオチンに逃げろと言って逃がし、しかしシャオチンはプウの本に閉じ込められ、イエンが本に入ってまたシャオチンを逃がし、妖怪に戻って暴れたと思ったら、シャオチンが地獄みたいなところに吸い込まれそうになるのを追って灰になる。連続ドラマなみの追って追われてを濃縮した詰め込み具合でお涙頂戴が繰り広げられるんですが、なんかもうめんどくさいです。

書物のなかの世界はカオスな空間でちょっと面白いし、イエンの暴れっぷりも頑張ってます。若手の活躍を前面に出して自分は少し後ろに下がる、というのは最近のジャッキー作品には増えてますが、本作もそれを踏まえて観るべきなんでしょうね。プウが最後にヤンフェイを弟子と認める理由がさっぱりわかりませんが、若手と師匠のコンビ誕生、そして妖怪たちとの珍道中ビギンズ、というところなのでしょう……って、まさかこれシリーズ化するつもりなのか……?

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