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2020
01.10

いつでも「好き」の気持ちを。『劇場版 新幹線変形ロボ シンカリオン 未来からきた神速のALFA-X』感想。

shinkalion
2019年 日本 / 監督:池添隆博

あらすじ
チェンジ!シンカリオン!



キトラルザスとの戦いに勝利したハヤトたちチーム・シンカリオンだったが、新たな敵ナハネが地球を襲撃。そのなかでハヤトの父ホクトが行方不明になってしまう。心配が募るなか、ハヤトたちの前に謎の少年が現れる……。テレビアニメ『新幹線変形ロボ シンカリオン』の劇場版。

実在する新幹線が変形し、巨大ロボットとなって戦う『新幹線変形ロボ シンカリオン』。シンカリオンを操縦する子供たちが、サポートする大人たちと共に敵に立ち向かうのが熱いロボットアニメ(しかもJR全面協力!)が、劇場用長編として登場です。テレビシリーズは全部観てたし、プラレールのE5とドクターイエローも持ってる身としては、シンカリオンがついにスクリーンで観られるのは嬉しい(正確には『映画ドライブヘッド 機動救急警察』でゲスト出演済み)。そしてテレビ版を観てきた者にはご褒美みたいな映画になっています。宇宙から来る今までとは別の敵、姿を消した父、謎のシンカリオン"ALFA-X"といったサスペンス要素に、あの人がこんなことを!とか、あれとこれが共闘!というまさかの熱い連携。運転士や超進化研究所の面々も総出演だし、デカいスクリーンで観るシンカリオンの変形シーンは迫力です。

そして予想外の作品とのコラボには興奮。ありそうでなかったボーカロイド・オンステージ!製作が東宝だからってあの巨大生物が出てきちゃう!テレビ版でも登場して話題になったあの汎用人型決戦兵器まで!などサービス満点。他にも子供たちにはわからないであろうネタがちらほらあって超愉快。いいのか?とは思うものの、これも本作のテーマに沿っていると言えるでしょう。ゲスト声優としては謎の少年役に釘宮理恵、ナハネ役に伊藤健太郎、その参謀オハネフ役で吉田鋼太郎らが出演。

新型シンカリオンであるALFA-Xの「X」が強調された造形もなんとも熱いし、やっぱシンカリオン自体がカッコいいんですよ。位置付けとしてはキッズ向けのアニメではありますが、話もよく練られているし演出も気合い入ってるしで大人も楽しい。父と子の話としても観れるので、テレビ版未見でも何となくわかると思います。

↓以下、ネタバレ含む。








この『シンカリオン』という作品は色々と考えられていて、基本は人類を脅かす敵キトラルザスと戦うわけですが、適合率が子供にしか合わないためにシンカリオンを子供たちが操縦するものの、それをやらせる大人たちが常に子供らの心配をし、大人として最大限のサポートや気遣いを忘れないというのが好ましいし、"捕縛フィールド"で戦場を別次元で囲むことで現実に被害を出さないとか、敵であるキトラルザスが人間の文明に触れ共存を目指すようになったりなど、しっかりした設定で作品内リアリティを持たせ確固たる世界観を構築しているのが良いんですよ。そのなかで新幹線が大好きな主人公速杉ハヤトの電車うんちくの愉快さ、仲間たちとの関係性の築き方、子供ならではの悩みなどが描かれ、同時に大人たちにもドラマがあるので、老若男女楽しめる作品になっています。これらの特徴は映画版である本作にも引き継がれていますね。また電車やスイーツやらの好きなものを通して敵だった者と関係を築いていったように、本作でも「好きなものは好きなままでいよう」というストレートながら大事なメッセージが込められていて、この「多様性を受け入れよう」というテーマが響きます。

今回は全く新しい敵、地球征服を目論むナハネが登場。見た感じ、ナハネと参謀のオハネフしかいないように見えますがまあそれは置いといて、時空を操る?というよくわからないけどチートな技術で翻弄される超進化研究所の皆さん、シンカリオンがまさかの敗退、おまけに速杉指導長が行方不明になってしまうという事態に。そこに現れる謎の少年が、実は時空を超えて顕現してしまった9歳の頃の速杉ホクト、つまりハヤトの父であるという不意の名探偵コナン的展開。今回ハヤトたちは6年生になってるようなので、父親が自分より年下になってしまうわけです(しかも口調が妹ハルカと同じ)。これにより、ホクトもまたハヤトと同じように電車が大好きであったこと、超スピードの電車が登場してより進化した未来を夢見ていたことなど、今まで知らなかった父の一面を知ることになります。息子が父のことをより深く理解していくという話なんですね。これがじんわりと暖かいです。

ロボットものとしてのアクションも豊富。今回は次世代新幹線開発のための試験車両「ALFA-X」を元にした新型"シンカリオンALFA-X"が登場、まだ開発中のはずなのに未来から来たために動かすことができる、しかもホクトにだけ、ということでその活躍を魅せてくれます。もちろん他のシンカリオンや運転士たちも揃って登場、テレビ版でも見せた全機アッセンブルにはアガります。残念ながら"ドクターイエロー"と"500こだま"は出ないんですが("923ドクターイエロー"は出る)、その代わり夢の共闘が次々と実現。ハヤトの乗る"E5はやぶさMkⅡ"のピンチに初代"E5"が現れ、しかもこれに乗るのがなんとゲンブ!「シンカリオン、いいものだ……」とたそがれてた元敵役のゲンブがまさかのシンカリオンデビューですよ。ダブル・グランクロス!さらにセイリュウの駆る"ブラックシンカリオン紅"の元に駆けつけるのがテレビ版のラスボス機である"ブラックシンカリオン・オウガ"、操縦するのはなんとビャッコ!そして"E5 MkⅡ"と"ALFA-X"のクロス合体によるハヤトとホクトの子供親子共闘(ややこしい)!と予想を遥かに越える熱さ。

そして目を疑う豪華コラボの数々ですよ。"H5はやぶさ"の運転士である発音ミクはそもそもがボーカロイド「初音ミク」とのコラボキャラですが、ついにボカロらしく歌い踊るというステージデビュー。しかも曲は山寺宏一の歌うオリジナル版をアレンジした「チェンジ!シンカリオン」だというのがイイ。剣道ばっかりやってるようでちゃんとシンガーだったようです。そしてそこに現れる謎の巨大生物……いや謎じゃないよ完全にゴジラだよ!つーかゴジラって呼んじゃってるよ!しかも「雪のゴジラ」というオリジナル外装な上に、全長161メートルだっけ?別格であるアニメ版『GODZILLA 怪獣惑星』のゴジラアースを除けば、史上最もデカいゴジラなのでは。さらに別の次元と行き来するという設定を活かして『新世紀エヴァンゲリオン』の碇シンジがまたもやジョイナス!愛機はもちろんエヴァ初号機、ではなく"シンカリオン500 TYPE EVA"!綾波にアスカに委員長も出てくるし、まさか「残酷な天使のテーゼ」を劇場で聴ける日がこようとは!さらにさらに、謎の少年に名前を尋ねる、時を越えてきた、と来ての『君の名は。』オマージュに、ホクトという名前からの『北斗の拳』(しかも漫画の方)のカット!なんかもうやりたい放題か、とも思いますが、スタッフの「好きなものは好きなままでいよう」という思いの表れでもあるんじゃないですかね。最高です。

そのぶん敵役があまり印象に残ってないという弊害はあるし、他のメンバーの出番が減ってるのでは、という気もしますけどね。特に西日本チームはちょっと気の毒。でもそこはもうね、テレビ版を観てくださいということでね。それでもアキタの「話は読めた(読めない)」はあるし、ツラヌキの「俺の好きな四字熟語」が「満員御礼」とか最高です。そして自分と同じ「好き」を共有したホクト少年との別れ、帰って来た父ホクトとの再会に、また一回り成長したハヤトが眩しいです。受け継がれていく「好き」という思いに、戦うのではなくわかり合うことが大事だという着地が心地いい。愉快で熱くてエキサイト、期待を裏切らない出来でした。

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