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2019
12.02

孤独のなかで再び得るもの。『エンド・オブ・ステイツ』感想。

Angel_Has_Fallen
Angel Has Fallen / 2019年 アメリカ / 監督:リック・ローマン・ウォー

あらすじ
俺たちはライオンだ。



世界をテロ事件から救ったシークレットサービスのマイク・バニングは、しかし肉体の酷使が激しく引退も考えていた。そんななか休暇中のトランブル大統領の警備をしていたマイクたちは大量のドローンによって襲撃される。何とか大統領と逃げ出したものの、マイクは事件の容疑者として捕らえられてしまう……。マイク・バニング・シリーズの第3弾。

アメリカ大統領専属のシークレットサービスであるマイク・バニングの活躍を描く、『エンド・オブ・ホワイトハウス』『エンド・オブ・キングダム』に続くシリーズの第3弾。英雄として名を馳せ、大統領からの信頼も厚いマイク・バニング。旧友で軍事アドバイザーのジェニングスのチームとの模擬戦でも一人で全滅させるくらいの腕は健在ながら、過去の負傷などで肉体はもう限界。そんな時に休暇中のトランブル大統領を襲ったテロの容疑者としてFBIに拘束されてしまったバニングは、何者かによる陰謀を暴くため奔走します。前作までのアッシャー大統領が任期終了したのか、副大統領だったトランブルが大統領に交代しているため、前作までのブロマンス味はなくなってしまいましたが、硬派な物語性は変わらず。今作では事件の首謀者として濡れ衣で追われる逃亡者的展開となり、また一味違ったスリルが加味されます。こいつはマイク・バニング最大の受難(いつもだけど)!

主人公マイク・バニング役は『ハンターキラー 潜航せよ』『ザ・アウトロー』ジェラルド・バトラー。大統領を守るのが仕事なのになぜか毎回国際的な陰謀と戦う羽目になりますが、そこはジェラルド・バトラーなので相変わらずの無双っぷり……と言いたいところですが、今回のバニングさんは頭痛に不眠という筋肉ではどうしようもない敵も抱えているのが不安で、おまけに国中が敵に回ってしまい大変。そこを救うのが『ラン・オールナイト』ニック・ノルティ。年のせいかずいぶんと痩せ細ってしまいましたが、目で心情を語る演技がとても良いです。アーロン・エッカートのアッシャー大統領から引き継いだトランブル大統領役は過去作で副大統領だったモーガン・フリーマン、マイクの旧友ジェニングス役は『ワンダーウーマン』ダニー・ヒューストン、FBIのトンプソン役は『マトリックス』シリーズのナイオビことジェイダ・ピンケット・スミス、シークレット・サービス長官ジェントリー役は『ジョン・ウィック』シリーズのコンシェルジュことランス・レディックです。

正直話の展開は予想できるも、火力強すぎドローンの群れとか怖いし、そこをそんな見せ場にするか!という大爆発があったりしてエキサイティングなので飽きません。結構魅力的なショットもあり、これはこれでイイ。前作以上に家族関係を前面に出し、バニング本人を掘り下げる話にもなっています。

↓以下、ネタバレ含む。








いきなりバニングが一個中隊相手にサバイブしてるところから始まるので、一体何が起こったのかもわからぬまま戦場に放り込まれますね。これはジェニングスのところの訓練だったというのはほどなくわかるわけですが、後にバニング一人で戦う暗示にもなっていると言えるでしょう。国を守り大統領を守るためには鬼になるバニングだけにその無双ぶりを期待するところですが、しかし今作では偏頭痛と不眠症に悩み、シークレットサービス長官への昇進話も受ける自信をなくしていて、ちょっと大丈夫か?という要素が多いです。歴戦の傷からくる不調と老いからくる不安、というのがのし掛かってくるわけですね。そんな折に大統領暗殺未遂の犯人に仕立てられてしまうバニング。自分も巻き込まれて意識不明だったのに、あからさまに出た証拠に飛び付いてしまうFBIはどうなんだ、という気もしますが、それほど周到な計画ということでしょう。「地に堕ちた英雄」呼ばわりされるバニングは汚名を晴らすべく逃亡します。

しかし国中から敵視されるなか何も持たずに単独で逃げるのは限界があります。そんななかマイク・バニングが訪れるのが、かつて自分と母を置いて消えた父親のクレイ・バニング。唐突な登場ではありますが、戦争で負った心的外傷で家族に迷惑をかけないために一人引きこもるしかなかった父と、所在を知りながらずっと会わなかった息子との関係性がクローズアップされることで、単なる逃亡劇に家族の復旧という観点が加わり面白くなってきます。何よりこのクレイ爺さん、住居のある森に大量の爆弾を仕掛ける爆弾ジジイであり、敵に囲まれた際に見せる森中を震わせる大爆破は凄まじい迫力。いやどこからそんなに爆弾調達したんだ。囲まれてもうダメだとなるとドーン!で息子のマイクまで巻き込まれそうになるし、最後の一発をマイクが起動するシーンでは思わず笑っちゃいます。マイクを逃がして終わりかと思いきや、マイクの妻子を救うため家に来た悪漢をブチ殺すのとか最高。でも過去を責められ釈明しながらも贖罪しようとする悲哀もあって憎めません。演じるニック・ノルティの悲しげな目がスゴくイイ。最後に家族に囲まれて終わるのも暖かくて、かなり美味しいキャラです。

森の大爆発を始め、アクションの見せ場は意外とバラエティ豊か。序盤で無数のドローンが飛んでくるのは怖いものがあるし、しかもむっちゃ火力が強い上に狙いが正確で、どんどん殺されていくSPたちには戦慄します。また、移送中に襲われ拉致されたときや、民兵団という名の報償金目当てのゲスどもに囲まれたりもしますが、そこはさすがにマイクは負けません。未来の車でもないのに車がハッキングされて止まるとかあるの?とか、追い込まれた敵がそれでも大統領暗殺だけは成そうと襲ってくるのはリスク高すぎるのでは?とか、FBIのトンプソンが気付くの遅くない?などとは思うんですが、マイクが変装までして病院に潜り込み、ようやく大統領も目覚めてなんとか迎撃を整えてからのクライマックスは圧巻です。大統領を守るため部屋を固める部隊の激しい銃撃戦、それとは別行動で敵を屠っていくマイクには待ってました感があるし、またもや度肝を抜かれる大爆発で病院が崩壊するのなどはスペクタクル満点です。

暗殺未遂をロシアのせいにして戦争を起こそうとするというのは浅はかすぎますが、マイクのDNAが証拠となる経緯やジェニングスが軍事予算縮小に抗って犯行に及ぶ理由などは上手く機能してるんじゃないでしょうか。特にジェニングス、本心ではマイクの立場が羨ましく、それに対抗するかのように血の沸き立つ人生を望んだがための犯行、それが結果的に友との対決に至るというのが「ライバル」という感じで良いんですよ。序盤で「俺たちはライオンだ」と言う台詞が、その時とは違う立ち位置で最後に繰り返されるのがなんともせつない。今回ジェラルド・バトラー始め刻まれたシワがわかるほど顔面アップが多い印象ですが、それこそ老いてきた戦士たちの物語だということを表しているのでしょう。燃えるヘリをバックに並んで座る二人を背中から映すショットにはシビれます。

まあ怪しいと思う人は大体その通りで、副大統領が黒幕というのも今時それは……とは思いますが、最後に大統領本人が「古いな」と言うので許せます。シークレットサービス新長官の任命も結局受けるんかい、とは思いますが、モーガン・フリーマンに詰められたら仕方なし。現場からは離れるのかもしれませんが、そこはバニングさんなのでね、現場復帰はお手のものということでやろうと思えば続編もできそうな感じではありますが、それはそれとしてしっかり硬派な作りで期待を裏切らない出来でした。と思ったら、何ですか最後の親子漫才は!脱力にもほどがあって笑うんですが、製作側ももっとあの二人の絡みをやりたかったのかもしれないな、と思えて好感度が上がります。

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