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2019
11.26

恋の行方は師父におまかせ!『カンフーリーグ』感想。

Kung_Fu_League
功夫聯盟 Kung Fu League / 2018年 香港 / 監督:ジェフ・ラウ

あらすじ
洪家拳×秘宗拳×詠春拳!



漫画家志望の青年インションは同僚の女性バオアーに想いを寄せるも、社長のチェンに会社を追い出されてしまう。インションが自分の描いた漫画「カンフーリーグ」に登場するカンフーマスターたちに恋の手助けをしてほしいと願うと、なんと本当に時を越えて現れるマスターたち。彼らの指導により武術大会でバオアーにいいところを見せようとするインションだったが……。有名カンフーマスターが勢揃いする香港アクション・コメディ。「のむコレ3」上映作品。

伝説のカンフーマスター4人が集結するという、カンフー映画好きなら狂乱の設定!一体どんな戦いが見られるのかと思いきや!がっつりコメディでした!冴えない漫画家志望の青年インションが恋も仕事も上手く行かず、自身が描いた漫画「カンフーリーグ」に出てくる4人のカンフーマスターに願いを掛けたら、当の本人たちが時を越えてアッセンブル!インションの恋を成就させないと元の時代に帰れない!という屈辱的な条件のなか、インションを会社から追い出した恋のライバルでもあるチェン社長に勝たせるため、師匠たちの奮闘が始まります。登場するのは『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ』シリーズでジェット・リーが演じたウォン・フェイホン、『SPIRIT』でこれまたジェット・リーが演じたフォ・ユェンジャア、『ドラゴン怒りの鉄拳』でブルース・リーが演じたチェン・ジェン、そして『イップ・マン』シリーズでドニー・イェンが演じたイップ・マンというそうそうたる顔ぶれ。

しかもキャストがスゴい。ウォン・フェイホン役は『ワンチャイ』の4、5作目で実際にフェイフォンを演じたチウ・マンチェク。フォ・ユェンジャア役は『スペシャルID 特殊身分』アンディ・オン、チェン・ジェン役は『少林サッカー』や『イップ・マン 継承』でブルース・リーを演じたチャン・クォックワン、イップ・マン役は『イップ・マン 誕生』で同役を演じたデニス・トー。なんだこのメタ過ぎるキャスト陣!つーかよく出たな!さらに『カンフーハッスル』の無敵ジジイ、ブルース・リャンまで出るという、どうかしてる布陣がたまりません。ちなみにチェン・ジェンって架空の人物なんですが、どうやってタイムスリップしてきたんだ。英霊ということなのか?レイシフト?

わりとすんなりタイムスリップを受け入れる師匠たち、セルフパロディもなんのそのと前代未聞のドリームマッチが繰り広げられます。でもしっかりアクションもあるし、思いの外笑えるし、バカで愉快で最高。香港カンフー映画好きなら抱腹絶倒ですよ。若造の他力本願な恋などどうでもいい、師匠たちの涙ぐましい闘いを堪能するのだ!

↓以下、ネタバレ含む。








下手すりゃ「伝説のカンフーマスターたちを集めてこれかい!」となる人もいるかもしれません。僕も最初はカンフー・アベンジャーズみたいになるのでは、という期待も少しだけありました。ただ、いきなり既視感半端ない冒頭の水溜まりでの格闘シーン、『グランド・マスター』オマージュのようでありながら水が地面に溜まりすぎて浸水みたいになってるし、飛んだら相手の顔と超接近してキスシーンみたいになるしという時点で、これコメディだな?と予想できたので(観るまで知らなかった)、わりと受け入れられました。なのでインションが好きなあの娘と廊下でぶつかってああっ!みたいなヌルいラブコメ展開もまあ許します。ガラスを突き破って真顔で歩き去るのもスゴいし。いやスゴいね!?問題は、師匠たちが現代に来たのがインションが「たすけてよ~」と自分の漫画原稿ブン投げたからだという、SFとしてもファンタジーとしても全く理由になってないところですね。なんかせめてカンフー界にとって特別な日だったのだ、とか、原稿のインクに混じっていた格闘家の汗が描かれたマスターと呼応した、とかあってもいいような。でもまあこの先の展開を思えば些末なことです。

まずはウォン・フェイフォン(黄飛鴻)、2018年には『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ 南北英雄』(観れてないんですが)で24年ぶりに同役に返り咲いたチウ・マンチェクがまたフェイフォンを演ってるというのがスゴいんですが、『ワンチャイ 天地争覇』を彷彿とさせる獅子舞バトルに、おなじみのテーマ曲「男兒當自強」が流れてアガります。しかし婚約者のイーさんが実は浮気してて、その浮気相手とフェイフォンのどちらを取るか悩んでいる、というエグい展開。そしてイーさんがとんだビッチとも知らないまま舟に乗ってたらデカい魚に煽られて現代に飛ばされるウォン師父、現れたのが映画の撮影所だから騒ぎにならず(なるけど)、体術を見た監督に「チウ・マンチェクみたいにしてやる」とか言われる(本人ですが)という、のっけからバカ展開で最高です。片手を前に出す構えにはテンション上がるぜ。

そんなウォン師父が出会うのが『レジェンド・オブ・フィスト 怒りの鉄拳』でドニー・イェンも演じたチェン・ジェン(陳真)。とは言え演じるのが『少林サッカー』の"魔の手"ことチャン・クオックワンなので、完全にブルース・リーに寄せてきてます。キメ顔とか怪鳥音とか激似すぎて笑うぞ。そしてチェンの師匠であるフォ・ユェンジャア(霍元甲)とイップ・マン(葉問)が食事しながらはしで争うという贅沢な場面に。フォ師父は食事のためなら男同士のキスも厭わず、何か困ると弟子のチェンに答えさせるという困った師匠ですが、師匠の意を汲み取って上手く答えるチェンのできた弟子っぷりが愉快。汲み取りすぎてフォがウォンのことを好きなのだとか言っちゃいますが、ひょっとしてわざとか?フォの秘宗拳は超スピードなのが魅せてくれますが、後半壁が崩れて負傷してしまうので見せ場がサッカーしかないというのはもったいない(笑うけど)。イップ・マンは一人冷静、かと思いきや結構ヘタレだったりもして掴めない人物。詠春拳の構えを見せるところではイップ師父ー!と燃えますが、どこかおかしいという違和感がありますね。

かくして顔を合わせた4人のマスター、危うく三国志のキャラまで登場かというヒヤヒヤを乗り越え、自分たちを呼んだ男を探しに町へ。違う時代にいる、というのはすぐに受け入れる臨機応変なマスターたち(なじみすぎだが)、見つけた呼び主インションが愛しのバオアーと付き合えるよう協力するはめに。なぜカンフーマスターがそんなことをしなければならんのかとは思いますが、武術大会を絡めることで無理やり存在意義を確立するので大丈夫です。恋敵のチャン社長というのが、幼なじみのバオアーのために漫画の会社を作ったり武術大会を開いたりと公私混同もいいところな上に「インションが好きなんだろ」とかわかっていながら権力使って迫り、挙げ句バオアーを拉致ってAIカンフースーツという反則技で戦うとか、クズにもほどがあります。でもインションも、格差により彼女を諦めなければいけないという悲壮さはあるものの、自分の漫画のキャラ頼みという他力本願野郎だし、しかも呼び出しておきながら勝手にバオアーと両思いになってるし、そもそも原稿を放り投げたりして漫画に対する愛情が感じられないしで、全く応援する気にならないですね。なにプールでラブラブしてんの?師匠たちは酔っ払って修羅場だぞ?

そんなインションの恋路より、イーさんとの浮気を必死で隠そうとするフォ師父と、浮気を知って荒れるウォン師父の方がよっぽどスリリングだし笑えます(笑うんかい)。またブルース・リャンの演じるチャオ・シャンフー、イーさんの相手がフォだと知って試合で死のうとするウォン師父がマジでやられそうになるパワーや、いきなり『X-MEN』のビースト張りに四つん這いで走り出したりして怖いです。あと顔が怖いです。ちなみにブルース・リャンもドラマなどでチェン・ジェン演じてたらしいですね。それを言うならチウ・マンチェクもフォ・ユェンジャアを演じたりしてるので、もう何がなんだか。あとイップ・マンの正体も何がなんだか。確かに最初から「ビット・マン」と名乗ってましたが、過去から来た偽者なのか、現代の人のコスプレなのかよくわかりません。でもそう言えば、序盤で余裕で屋上から降りる三人とは別に遅れてやっと降り立ったりとか、秘孔を突いて麻痺させるのもできないし戻せないし、十人組手専門だとか言って大会も出ずになんか舞台下に隠れてますね。あれ、チンピラたちとも戦ってないんだっけ?つーかあんた誰??

ウォン師父とシャンフーの金網デスマッチには燃えるものの、AIカンフースーツには手も足もでないマスターたち。そこでインションがあえて攻撃を受けて師匠たちの教えである七つのチャクラを開くことで逆転。途中魔人ブウなみに膨れるのは何なのか、あと無双化したインションのドヤ顔が超ムカつく、など言いたいことはありますが、バオアーちゃんが無事だったのでめでたし。談笑する師匠たちが不意に消えてしまうのには寂しささえ感じますが、無事に元の時代に戻った3人(イップ・マンは不明)、イーさんの相手がチェンだとわかってこれまためでたし。いやもうメチャクチャですが、実に楽しいアクション・コメディでした。

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