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2019
11.12

飛んでるスマホに鉄拳を!『ロボット2.0』感想。

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2.0 / 2018年 インド / 監督:シャンカール

あらすじ
ドット(以上)!



インドの町で人々のスマートフォンがどこかへ飛び去るという謎の事態が発生、さらに携帯電話関連の人々が殺される事件も連発。やがて膨大な数のスマホが合体した巨大な怪鳥が現れて人々を襲い始める。事態を重く見た天才科学者バシー博士は、封印された伝説のロボット「チッティ」を復活させようとするが……。インドのSFアクション『ロボット』の続編。

インドのスーパースター、ラジニカーントが挑んだハイパー・メカ・アクション『ロボット』の続編。前作では科学者のバシー博士が作った自分そっくりのロボット「チッティ」が博士の彼女に横恋慕、挙げ句に大暴走して人々を殺しまくるという、あらすじだけでも正気を疑うものでしたが、今回もスゴい。インド中のスマホが勝手にどこかへ飛んで行き、その大量のスマホが合体してラドン級の大怪鳥ロボに。自分のスマホも飛んでいったバシー博士は助手のアンドロイド、ニラーと共にこの怪現象に挑むものの、謎の殺人事件まで起きてお手上げ状態。これはもうアイツを復活させるしかない!と、封印していたチッティを再起動することに。下手すりゃターミネーターなチッティをスマホのために動かすのもどうかしてますが、さらにスプラッターやら巨大ロボやら電磁波の弊害やら恨みのオーラやらが飛び交うカオスな展開には唖然。そしてそれらをまるごとブチのめすラジニのスターっぷりが観る者をもブチのめします。こいつはどうかしてるぜ。

バシーガラン博士とチッティの二役を演じる『ムトゥ 踊るマハラジャ』ラジニカーント、もう70近いお年のはずですが、スクリーンではとてもそうは思えない若々しさがさすがです。頭脳派の博士とワイルドなチッティの二面を『ジェミニマン』に負けじと披露。ちなみにいつものラジニ映画なら最初に「SUPER STAR RAJINI」の名前がビューンビューンドーン!と出るんですが、今回はそれがないまま近未来な本編映像が始まってしまったので、ラジニの名前出なくなったのかなあ寂しいなあと思ってたら、それ本編じゃなくてCGでむっちゃカッコよくなった「SUPER STAR RAJINI」ロゴでした。鍵を握る人物パクシ・ラジャン役はアクシャイ・クマール、まだ観てないんですが『パッドマン 5億人の女性を救った男』の人なんですね。博士の助手ニラー役のエイミー・ジャクソンもスーパーパワーでラジニをサポート。監督は前作同様シャンカール、音楽は『ムトゥ 踊るマハラジャ』『スラムドッグ$ミリオネア』の A・R・ラフマーンが続投。特殊メイクやアニマトロニクスを『アベンジャーズ』などのスタジオが手掛けているらしく、迫力の映像に貢献しています。

似たシーンがやたら続いてクドいとか、ダンスシーンがもっとほしかったとか不満はありますが、映像はCGっぽさが残りつつもひたすら数で勝負という物量作戦が凄まじいし、途中のタルさもラスト30分の怒濤の勢いで完全に吹き飛ばします。ロボットって何だろう?と自問してしまうほどブッ飛んだ展開の連続。劇場出たあとスマホを見るのが憚られるという、軽いトラウマまで植え付けられるおまけ付き。何かもう「スゴい」しか言えなくなるパワーがあります。

↓以下、ネタバレ含む。








スマホが重要な要素になると言えば『スマホを落としただけなのに』とかあるっちゃありますが、ここまでスマホという存在について言及した映画はないのでは。ただしスマホで何ができるとか誰かと繋がるとか、そういう特性についてはどうでもよいらしく、電磁波を出すという自然や生物への弊害のみがクローズアップされます。スマホの画面は映像を映すくらいの役目しかなく、あとはくっつけて何かを形作るというレゴのような使われ方という思い切りの良さ。全ては鳥を愛する生物学者のパクシが、スマホの電磁波が鳥に与える影響を世間に聞き入れてもらえず失意のうちに自殺、その怨念が負の力として集まり、生物も無機物も持つオーラによってスマホを操っていた、ということのようです。……まさかのオカルト!冒頭で塔から首を吊る画がなかなか印象的なショットですが、あれがパクシなんですね。スマホが鳥の群れみたいに飛び回ったり、巨大なタカの形だったりするのも鳥が好きすぎるから。言われてみれば確かに、最近はスズメの姿もあまり見ないような気がするな……結構切実な問題を描いているのかもしれません。あと人々がどれだけスマホに依存してるかという光景にも薄ら寒いものがあります。

しかしあまりにとんでもない展開が目白押しなので、そんな真面目なテーマに台無し感が漂います。パクシは怨霊なのかエネルギー体なのかよくわかりませんが、インド中のスマホをオーラ(?)で集める能力を手に入れ、それを操ってスマホ販売店長や通信会社社長を葬っていくというスーパーヴィラン化。大量のスマホが体内に入って爆裂とかえげつないですねえ。バシー博士が事態の解明に立ち上がるのは、そもそも恋人と話し中に電話を奪われて彼女激怒、というのが理由なので微妙に緊張感には欠けますが、科学の力で原因を究明!ラジニ映画には大体ちょっとしたキメのアクションがありますが、今回は「以上(ドット)!」と言って空中を突っつくのがイカします。その勢いでチッティ復活も認めさせ、かつての大量虐殺マシンが世に出ることに。いいんでしょうか。しかし今回のチッティはヒーロー的な活躍で、結果的にはタカ型ロボを撃退するのでOK。しかしこのバシー博士、自分そっくりのロボットを作るという辺り自己顕示欲の塊な感じですな。あと助手アンドロイドのニラーはなぜずっとあんなGANTZみたいな格好なのか。博士の趣味なのか。

インド中のスマホが集まってるんじゃないかというほどの映像的物量は圧巻ですが、質感というよりは動きの不自然さでCG感を感じちゃうところはあります。また、色んな人のスマホがどんどん飛んでいく序盤とか、車が持ち上げられるピンチを全方位から繰り返すとか、パクシの鳥への思いと活動を延々と映すなど、あまりにしつこい描写には辟易するし、テンポも削がれます。しかしそんな気だるさもラストの怒濤の30分で雲散霧消。いきなりチッティの受注500体!しかも全部手製!スタジアムでは復活したパクシが自分を解放したバシー博士のライバルをスタジアムど真ん中で消し炭に!そんな修羅場に向かうべく、チッティ・リローデッド!衣装も髪型もグレードアップのバージョン2.0!スタジアムに降り立ったチッティたちは、前作のように球型になって銃撃ちまくり。あれ絶対客席に巻き添え出てるな?対するパクシも2.0を一体ずつ念入りに虐殺。スゴいことになってきます。

それでもめげないチッティは「タカ野郎はもう終わりだ」みたいな、鳥の減少に痛めかけた心を踏みにじる景気のイイ曲に乗って大暴れ。なんですかあの羽ばたく鳥が縊られるポーズ、ナメきってます。しかも双方まさかの巨大化!「バードマン」と「アイアンマン」を名乗るという、まさかのヒーロー映画ネタ!というかむしろ『パシフィック・リム』!さらには最終兵器、チッティ3.0が起動だと!?ってあのちっこいヤツかい!この3.0もまた鳩を人質に、もとい鳩質にしてパクシを脅すなど良心の欠片もない攻め口。ついには完全勝利を収めるチッティズ。いやあ……なんかもう倫理観とか道徳観とか神の教えとか全てを超越して、機械の目的遂行への容赦なさとスマホの怖さ(主に物量)を突き付けられます。

最後に「電磁波を減らせ、鳥を救え」と突然説教くさくなったり、ラジニはスーパースターだよね?ネタにされてるわけじゃないよね?と心配になったりもしますが、様々なジャンルをクロスするサービス精神とラジニの濃すぎる存在感にやられますよ。エンドロールでやっとこさ歌とダンスが流れるなか、若干テンポがズレ気味ながらも踊りまくるラジニに感服です。

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