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2019
11.06

小粋に領主、痛快に義賊。『フッド ザ・ビギニング』感想。

Robin_Hood
Robin Hood / 2018年 アメリカ / 監督:オットー・バサースト

あらすじ
フッド?フード?



イングランドの一領主ロビン・ロクスリーは若いがゆえに苦労も知らずにきたが、十字軍に徴兵されて異国で戦うことに。4年が経ち帰ってくると、ロビンは戦死したものとして領地も財産も州長官に没収されていた。そんななかロビンは敵として戦った異国の戦士ジョンに再会し、共に腐敗した政府と教会へ反旗を翻す……。ロビン・フッド誕生を描く歴史アクション。

中世イングランドの伝説的英雄、ロビン・フッドが誕生する秘話を描いたアクション・ドラマ。ケビン・コスナーやらラッセル・クロウやらで何度も映画化されてきた題材ですが、民を苦しめる権力者に立ち向かう英雄譚はやはり人気ということでしょう。昼は領主として権力者に近付き、夜は頭巾(フッド)で顔を隠した義賊として政府の金を盗み出す。こう言うとバットマンのようなヒーローものやヴィジランテものに近い感じですね。ロビン、顔見せすぎでは?とか、時代考証はいいのか?といった気になる点はあるものの、『マスク・オブ・ゾロ』などの90年代の冒険活劇を彷彿とさせるヒロイックなファンタジーに徹しているのが楽しい。序盤は悲壮感もあるものの、多彩な弓矢アクションや撃ち込まれる轟音の迫力、馬車チェイス、そしてバディものの愉快さなど、いやあ景気よくて面白いです。

ロブことロビン・ロクスリー役は『キングスマン』シリーズ『ロケットマン』のタロン・エジャトン。冒頭いきなり女盗賊を口説き始める領主様には「だ、大丈夫?」と不安になるんですが、しっかり挽回してカッコいいので満足。弓矢を使ったアクションは見事です。他のキャストは知らずに観たんですが、敵として登場するヤキヤことジョン、なんか強いと思ったら『アメイジング・スパイダーマン2』ジェイミー・フォックスだし、州長官ノッティンガム役が誰かと思ったら『レディ・プレイヤー1』ベン・メンデルソーンだしで、なかなかたまらんキャスティング。ほか、ウィル役に『ルイの9番目の人生』ジェイミー・ドーナン、マリアン役にイヴ・ヒューソン。

製作にはディカプリオの名もありますが、これが初の長編映画監督作というオットー・バサーストの堅実で見やすい作りは良かったですよ。色々都合のいいところもあるものの、テンポがよいので乗せられてしまうし、歴史ものとしてよりも痛快さを求めるのがいいじゃないですか。タロンの半裸もサービスだ!

↓以下、ネタバレ含む。








歴史ものと言いましたが、そもそもロビン・フッドは実在したわけではなく伝説上の人物であり、複数の人物の伝承が合わさってできた英雄像と言われてます。そういう点では元々が勧善懲悪の忠臣蔵みたいなものなので、ヒロイックな活劇に寄せるのは間違ってないんでしょうね。ただ過去のロビン・フッドものでは民衆のためにとか国を救えとかそれなりにシリアスな感じだった気がしますが(うろ覚え)、本作はそれをさらにエンターテインメントに特化させたような出来。一言で言えばライトです。いや悲壮なシーンもあるんですよ。序盤の十字軍での戦闘シーンなどは、弓矢ってこんなに轟音出すの?というほどの音響の迫力も相まって緊張感が凄いし、ジョンが目の前で息子の首を切られるのにはキツいものがあります。人々は重税で苦しみ、鉱山では食うや食わずの者たちが暮らしながら、権力者はきらびやかな教会で贅を尽くす。とは言えそれ以上踏み込んだえげつなさは描かれないし、戦闘シーンで無惨な死に様が出てくるわけでもないです。

何よりタロン・エジャトンの演じるキャラクターが軽快なのが大きい。彼がどういう領主だったのかはハッキリ描かれませんが、まあ民が平和に暮らしてそうなので善人ではあるのでしょう。そんな彼が十字軍で地獄を見て、帰郷したら死んだことにされてて領地も富もなくし、ラブラブだったマリアンは他の男と引っ付いている。ドン底です。これはやさぐれて『ロケットマン』のような自暴自棄になるのかと思いきや、ほどなく昼は領主、夜は義賊となって活躍し出すし、マリアンとの関係も彼氏のウィルがロビンに懐疑的なところで何となく回復の兆しを見せるので、そこまで重くはならないです。それが悪いというわけではなく、ライトな方に振り切る作劇だということですね。それをさらに推し進めるのがジョンとの関係、そして派手なアクションです。

アラビア勢なのにわざわざノッティンガムに潜り込むジョンはキリスト教勢への復讐に燃えるのかと思いきや、人々の惨めな暮らしに同情したのかロビンを鍛えて共に悪党を倒そうとします。ロビンが息子を救おうとしたというのが効いているので、すんなり仲間になるのもそれほど違和感はなく、そんな顔見せてたらバレるのではというのも心配無用。ロビンもフードを被ってるわりにすぐ顔見せするので二人揃ってセキュリティ意識低いんですが、この二人の師弟感と言うかバディ感がまた軽快で良い感じ。ジョンに鍛えられ次々に弓矢技を習得していくロブにはワクワクするし、捻ったり飛んだりしながらまさに矢継ぎ早に攻撃を繰り出すのにはシビれます。弓矢アクションと言えば『ロード・オブ・ザ・リング』のレゴラスとか『バーフバリ 王の凱旋』などを思い出しますが、矢を四本持つのは同時撃ちではなく矢筒から抜く手間を省くため、という現実的なテクもあったりして良いですよ。街路を馬車チェイスでブッ飛ばすときの迫力とか、馬に乗っての屋上ライドを見せるなどアクションは全般的に楽しいです。

あと州長官役のベン・メンデルソーンがやはりイイ。威圧感漂わせながらも、反乱起こされ上司には責められ自分の立場を守るのに必死、というのがまんま『ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー』と同じ役柄なんですが、幼い頃に助祭司に虐待されても耐えてきた、という叩き上げなので手強いんですよ。彼は本当に周りが敵だらけな上に信頼してたロブに裏切られることがわかってるのでもはや気の毒になってくるんですが、中年の悲哀を一心に背負う姿はさすがです。最期も見事。あとはジョンの息子を殺した処刑隊長とジョンとの因縁とかもありますが、こちらはちょっとインパクト弱めか。まあ一番の悪党は州長官の上司ですけどね。あれは憎々しい。そんな悪党を倒さんとするロビンを見て、民衆はそこら中にフードを打ち付け、正体を明かしたロビンと共に戦うことを決意していきます。演説シーンは本当ならアガるところですが、後にウィルが闇落ちする伏線か、ウィルとの意見の衝突みたいなのまで描くのでそこまでいかないのは惜しいかな。

城でのパーティーシーンではビートの効いた音楽でクラブやカジノのような上に何か淫靡であったり、ロビン・フッドの根城として有名なシャーウッドの森が登場するのがほぼ最後だったりと、過去作との差異も微笑ましい。ヨリを戻した二人のキスシーンで締めるのなどはまあご愛嬌ですが。そして時代を反映した美術を背景にバトルやドラマをテンポよく重ねていくので飽きないです。さすがに続編はちょっと難しいかな?でもアップテンポな中世アクション・ムービーとして楽しめました。

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