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2019
10.29

希望は拳で取り戻せ!『HiGH&LOW THE WORST』感想。

HiGH&LOW_THE_WORST
2019年 日本 / 監督:久保茂昭

あらすじ
全員ヤンキー!



各派が覇権を競う戦国時代を迎えた、鬼邪高校の全日制。転入生の花岡楓士雄もまたトップを狙っていた。一方で隣町にある鳳仙学園もリーダーの上田佐智雄のもと勢力を強める。そんななか双方で負傷者が出て、両校とも殺気立っていくが……。『HiGH&LOW』シリーズと高橋ヒロシのコミックが融合するアクション。

『HiGH&LOW』シリーズ、通称『ハイロー』でSWORD地区の一角を担う鬼邪高校と、高橋ヒロシ原作のコミック『クローズ』『WORST』がまさかのクロスオーバー!生まれた町に戻り、定時制の村山良樹が頭を張る鬼邪高に転入してきた楓士雄は、幼馴染みの友人たちと再会する一方で、派閥に分かれた全日制をまとめ村山にタイマン勝負を挑むことを目指す。同じ頃、隣町の戸亜留市にある鳳仙学園ではリーダーの上田佐智雄が頭を張る鳳仙学院が歴代最強の世代と呼ばれていた。そんな折り、レッドラムという麻薬が若者の間に広まり、それを売り捌く組織ギドラが台頭。やがて両校を巻き込んだ争いへと発展していきます。『ハイロー』としてはメインのSWORDではないためスピンオフという感じですが、『クローズ』『WORST』の鳳仙を絡めたことで一大ヤンキーアクションに。次世代の若者たちを中心に、男たちの友情と闘いを邦画最高峰のアクションで描きます。いやもう熱い!エキサイティング!

『HiGH&LOW THE WORST Episode.0』というドラマ版で前日譚が語られているんですが、そちらは観れなかったので轟以外は知らない状況での鑑賞。最初はポッと出の知らない人がトップ獲るとか言ってて戸惑うものの、鬼邪高次世代組も鳳仙もキャラ立ちまくりでほどなく馴染めます。バカだが熱くて仲間思いというヤンキー漫画の主人公然とした楓士雄役の川村壱馬、全日制最強でありながら村山に勝てない轟役の前田公輝、楓士雄の友人で司一派を仕切る司役の吉野北人らを始めとした鬼邪校組、スキンヘッド軍団をまとめる佐智雄役の志尊淳と四天王たちの鳳仙組、楓士雄の幼馴染みなど、多くのキャラが登場。これだけ出てても混乱なく観れるのは大したものです。もちろん山田裕貴の演じるみんな大好き村山さんも登場、飄々としながらもはや伝説という存在感、最高です。

転校生に勢力を説明することで観客にも状況をわからせ、すぐさまその中心人物を集めて印象付けたうえでドラマを展開、ケンカバトルで各人の戦いと組合せもしっかり見せるので、のめり込み度が尋常じゃないです。無理すんなジャム男!とか、挫けるな轟!などと思いながら観てました。アクションから激熱ラストまで血沸き肉踊るぜ!あと小沢仁志は偉大。

↓以下、ネタバレ含む。








冒頭いきなり鬼邪高と鳳仙が橋桁を挟んで睨み合う、という初っぱなからのクライマックス感にいきなりブチ上げてきます。このシーンは向こうにいる鬼邪高メンバーが一幅の絵のようにも見えて美しいんですよ。また最初は知らない顔ばかり(かろうじて轟を知ってる)なのに、後でまたこのシーンに戻るときにはそれぞれのドラマや強さが描かれているので、そこにいたのアイツか!ここにコイツがいた!みたいに分かるようになってて全く違う印象になるし、ドラマ版観た人なら最初から勢揃いなのにシビれるだろうしで、上手い導入です。鬼邪高は色んな派閥のある戦国時代であり、司一派、轟一派、泰清一派、中中一派といきなり大量に提示されますが、出し惜しみせず中心人物を集めてお披露目する上に、ビジュアルも名前も個性的なのですぐ覚えますね。ジャム男というコミカルなキャラによって状況から定時制と全日制の違いまで説明するから飲み込みやすいし、このジャム男のキャッチーさが後々まで活きるのも面白い(演じる福山康平は陣内孝則に似てるなあ)。こうした語り方が秀逸なのでキャラが多くても混乱しないです。

序盤の楓士雄が追いかけられるシーンで尾々地真也と正也のオロチ兄弟(ちょっと雨宮兄弟っぽい)、誠司という優等生キャラに、佐智雄の妹を除けばまさに紅一点の富田望生のマドカなど、希望ヶ丘団地メンバーの登場もすんなり。近況を語り合うシーンは若干説明くさいですがまあ許容範囲でしょう。この希望ヶ丘団地、いまや廃墟となって絶望団地と呼ばれてますが、派閥の頭たちが絶望団地の元住人という共通項を持たせたり、最後のフィールドがこの団地だったりして、多少強引ながら繋がりを持たせてまとめやすくしています。「HOPE HILL」の文字が欠けて「HELL」になってるのはちょっと笑うけど。あとキュウリですね。これは終盤の団地での戦いと、教師に友をバカにされて反抗する誠司を交互に描くシーンでも台詞に出てきます。キュウリに例えるのは冷静に見ればちょっとどうなのという感じですが、ここまでの団地組の積み重ねや新太との関係もあって受け入れちゃいますね。少々ウェットに過ぎるシーンですが、まあハイローにはよくあることなので良し。

鳳仙はスキンヘッドだらけで区別がつきませんが、佐智雄と四天王だけは特徴あるルックスにしていて必要十分な感じ。サッチーこと佐智雄は序盤で妹を連れ戻す際に一人でギドラをブチのめすシーンで強さを見せます。演じる志尊淳は少し線は細いものの身体能力の高さとクールな佇まいで魅せますね。ちょっとなー声が軽いなーというのはありますが、楓士雄とのほのぼのした出会いで昨日の友は今日の敵をやるのがラストの共闘へと繋がっているし、やんちゃな楓士雄と冷静な佐智雄というのも対比になってたりして、ベタだけど熱い。あと四天王、頭文字を取って「小沢仁志」とか爆笑です。その前に小沢仁志本人が出てるし!小沢仁志と言えばVシネでの活躍はもちろん、元祖ヤンキー映画『ビーバップ・ハイスクール』にも出てましたからね。とか言うとスゴい文脈だな。あと四天王の一人、沢村を演じる葵揚が『少林寺三十六房』のリュー・チャーフィーにそっくり!と思いながら観てました。サバカン役の坂口涼太郎が『ちはやふる』のヒョロ君まんまの偉そうな感じなのも愉快です。

アクション設計はとにかく巧み。序盤の村山vs轟の人の間を抜けながらの戦いとか、オロチ兄弟の自転車の前輪を前から蹴って倒すとか、ちょっと見たことないです。ワンカットの長いアクションはハイローではお馴染みですが、川原での鬼邪高vs鳳仙ではドローンを使って狭所や高所でも映像を繋いでいくダイナミックなワンカットがスリリング。CGを使った合戦シーンなんかではよくありますが、ノンストップの実写ケンカシーンで見せるのは凄い。あとバトルのなかで各キャラの戦いっぷりや、対決の組合せなどもしっかり見せてきます。クライマックスの団地戦では狭い通路を駆け抜けたり手すりを乗り越えたりするのがちょっとルード・ボーイズっぽさもありますね。そして籠城するギドラに対して様々な物を使って攻め入ろうとするのなどは、まさに城攻めですよ。時代劇の要素まで入ってると言えるんじゃないでしょうか。学生ではないだけにヤク集団相手には遠慮なく暴れるドカタ兄弟の助太刀や、全日の喧嘩には首を突っ込まないと言っていたのに「クスリやったら殺すよ」の村山の言葉通り援軍に現れる定時制など、順番に畳み掛けて相乗的に盛り上げていくのがたまりません。いやもうアクションについては語りきれないです。

そんななか、遠距離ではピカイチなコントロールで石を投げて倒したり、飛び蹴りのジャンプ力がとんでもなかったりと、轟の強さは凄いです。あれだけ凄いのに誰も付いていかないの、ドラマ版で色々あったからとはいえかわいそすぎる……村山に「お前に足りないものがあいつ(楓士雄)にはある」とか言われちゃうし。ついにはギドラ討ち入りの際に「今度はお誘いなしか?」と自ら参加しちゃうの、よっぽど寂しかったんかな……頑張れよ。そして村山です。今回は一応脇に徹しますが、それでも決めるときは決めるし、と言うかおいしいとこ持っていくし、飄々としたキャラはやはりイイ。「鬼邪高の祭りは村山通せや」ってどこかで聞いた台詞をパクっちゃうのとか、指ピッと指して「行くぞてめえらー!」とかね、やはり最高にアガりますね。そして今回は重しとしての役割も担っていて成長を見せます。意外と真面目に仕事しそうだし。兄弟が「オス」って言うのに「ハイ」っていうのとか、コブラに電話しちゃって「今度話聞いてー」とか、愛らしさも抜群ですよ村山さん!

ラストに新太が戻ってきて皆で墓参りして大団円、ってやっぱりウェットすぎるんですけど、そう思いながらもじんわりしてしまうハイローマジック。実写のドラマとコミックがコラボして違和感ないどころか新たな世界を作っちゃった、というのがとんでもなくて、凄いよHIROさん!と思うんですが、村山がまさかの卒業!というのがショッキング。とは言え本編は『THE MOVIE 3』で一旦完結していることを思えば、本作はハイローを次世代へと託すバトンのような作品でもあるのでしょう。今後も意外な方向に拡がりを見せてほしいですね。村山がブラック企業ブッ潰しては転職する、というのでもいいよ?

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