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2019
10.20

襲い来る全ての者に反撃を。『ジョン・ウィック:パラベラム』感想。

John_Wick_3
John Wick: Chapter 3 - Parabellum / 2019年 アメリカ / 監督:チャド・スタエルスキ

あらすじ
Year……!



掟を破り、コンチネンタル・ホテル内で殺しをしてしまったジョン・ウィックは、追放され懸賞金を掛けられてしまう。世界中の殺し屋に命を狙われるなか、ジョンはかつて「血の誓約」を交わしたソフィアに協力を求めようとするが……。アクション映画の新次元を切り開く『ジョン・ウィック』シリーズの第3弾。

伝説の元殺し屋ジョン・ウィックが超絶アクションで魅せるシリーズ第3弾。前作『ジョン・ウィック:チャプター2』で掟を破り、1時間の猶予の後に聖域からの追放処分を食らったジョン。もはやコンチネンタル・ホテルのサービスも受けられず、町中が敵状態から世界中が敵状態にランクアップしたなか、生き残るためにあらゆる敵と戦います。ジョン・ウィックと言えばまずはバラエティに富むアクション。一体どうやって撮ってるの?と思うくらい長いカットで見せまくり、様々なアイデアを具現化した壮絶さで、前2作を越える密度となったアクションシーンには驚嘆&興奮。銃にナイフに格闘にチェイス、馬や犬まで使い、全てが工夫に満ちた面白さ。そして殺し屋協会やサービスなどのあの独特な世界観はさらに国際的な拡がりを見せ、コンチネンタルNYでさえますます奥行きを見せてきてたまりません。エグさは増量し、音響は腹に響き、世界が敵に回る。最高です。

ジョン・ウィック役は『マトリックス』キアヌ・リーヴス。ジョンが昔を思い出してきたということなのか、キアヌは前2作より体のキレが増してるのでは、と思えるほどよく動きます(でも遅いって言われるけど)。コンチネンタルNYの支配人ウィンストン役の『ヘルボーイ』イアン・マクシェーンや、コンシェルジュのシャロン役であるランス・レディック、ホームレスのパワリー・キング役の『アントマン&ワスプ』ローレンス・フィッシュバーンらも続投。そしてジョンと関わることになる女性ソフィア役の『キングスマン:ゴールデン・サークル』ハル・ベリーが予想外すぎて目ん玉飛び出そうなアクションを披露、すんげーカッコいい!さらにジョンを狙う日系殺し屋ゼロ役には『ジェヴォーダンの獣』マーク・ダカスコス!激強い上に、面白おじさんっぷりがチャーミング。あと犬!犬もいいぞ!おりこうわんこ!

監督は前2作から引き続きチャド・スタエルスキ。この人は本当にアクションが好きなんだなと伝わる作りには好感しかないです。ジョンにやられる人たちの中には「あんたも出てるんかい!」と驚くような人も混じっていたりするし、それ以外のスタントの人たちも素晴らしい。そして復讐と報復と裏切りが入り混じる孤独な戦いの物語は、いよいよ佳境へと入っていきます。復讐を遂げた今、なぜジョンは戦い続けるのか?主席連合とはどういった組織なのか?銃とカンフーの融合で「ガン・フー」と呼んでるけど本当はカンフーじゃなくて柔術だよね?など様々な疑問をはらみつつ、果たしてジョンはどこへと向かうのか。タイトルの引用元である「Si vis pacem, para bellum(平和を求めるなら戦いに備えよ)」という言葉こそがそれを示しているのかもしれません。度肝を抜かれます。

↓以下、ネタバレ含む。








実際はわりと緩急に富んでるんですが、それでも最初から最後までアクションやってるんじゃないかと錯覚するほどのアクションの釣瓶打ち。しかもワンカットが連続する長回しも随所にあるなかで、あれだけの殺陣をどうやって撮ってるんだ凄いな。それがいちいち相手を倒すための実戦的な動きになっており、結果R15+も納得する残虐度もアップ。最初の図書館では自分よりデカい相手に本で対抗。本ですよ?これで防いだり殴ったり、最後は本に首を乗せて叩き折るという即席ギロチン。アジア系の人たちとの古美術店?での戦いでは、狭い通路で棚のガラスを割りながら次々とナイフを取り出して刺したり投げたり、最後は手斧まで出て来て刃物祭りです。目にナイフをじわじわブッ刺すのエグい~と思ってたら、その刺された人はどうやら『トリプル・スレット』のタイガー・チェンらしいです。マジか!ジョンは前作でも思い切り車にはねられてましたが、今作では2回連続。タフです。馬屋に逃げ込めば馬に蹴らせて倒すというビーストテイマーっぷりも見せるジョン、当然乗馬もお手のもので、レゴラスか!という横乗りアクションまでしながらバイク相手に馬チェイスです。

前作のイタリアに続き今作ではモロッコはカサブランカへ飛びますが、もちろんここにもコンチネンタル・ホテルは健在。前作では支配人がフランコ・ネロでしたが、今回はハル・ベリー。このハル・ベリーがまさかの超絶アクションを見せるのが最高。かつて娘を安全な地に逃がしたジョンの誓印により不本意ながら協力するソフィアですが、犬を撃たれて激昂。撃たれたわんこは防弾チョッキで無事だったにも関わらず全力で報復を開始するのにシビれます。1作目のジョン同様、犬殺しは絶対許さんと言わんばかりに(死んでないけど)ジョンを食うほどの格闘+銃、そして合図するとすかさず腕か股間に食い付くわんこたちがおりこう!でもジョンの犬も戻ってきたらむっちゃペロペロしてジョン好きすぎてカワイイ。ソフィアとの別れ際には、いつものように相手の名前を呼んで別れようとするジョンに対し、口を思い切りゆすいだ水だけ渡して砂漠に追いやるという怒りの度合いも凄い。でもハル・ベリーが口ゆすいだ水ならまあ、ありだな……?(変態か)

アクションそのものもさることながら、細かい描写にまでこだわりが見られます。凄いスピーディーなショットガンへの弾の込め方とか、弾切れした銃を向けあいながら止まって同時にリロードして勝つとかいちいちカッコいい。弾の口径が合わないからって銃を分解して組立て直すとかひっくり返りますよ。冒頭の追放が執行されるまでのタイム・サスペンスでの煽りや、傷を縫ったドクが「疑われるから撃て」と言ったら躊躇なく(でも正確に)撃つジョンなどアクション以外の盛り上げ方も面白いですが、コンチネンタル・ホテルを始めとしたこのシリーズ独自の殺し屋社会がさらに広がるのも愉快。コンチネンタルNYではデカい釜場みたいな場所(死体あり)やガラスと鏡の特別な部屋、銃器部屋などまだまだ奥があり、カサブランカではコイン製造の地が披露され、ロシア人たちのバレエ場ではアンジェリカ・ヒューストンの"ディレクター"と「チケット」という新たな制度が出てきたり、ジョンがロシアで孤児だったみたいな逸話まで。

エイジア・ケイト・ディロンの演じる裁定人がまばたきもせず淡々と「裁定」していくのには、主席連合どんだけ情報持ってるんだと恐れ入るし、毒のあるフグを食って平気なのも恐れ入ります(と言うか何だあのくだり?)。砂漠で出会うサイード・タグマウイの演じる彼が首領ということなんですかね。砂漠を放浪しないと辿り着けないとかもはや『アラジン』の魔法のランプと同じレベルのレア度。そしてゼロを演じるマーク・ダカスコスですよ!「にんじゃりばんばん」がかかる陽気なオープンエア寿司屋、というだけでどうかしてるのに、ジョンの大ファンだし日本語も頑張ってるし手下たちが忍者チックで強いし刀持ってのバイクチェイスとか『ブラック・レイン』みたいだし、どんだけ盛ってくるんだ。しかもホテルに招かれた後にジョンの隣にちょこんと座るの何なんだ可愛いな!

最後の戦いはまさかのコンチネンタルNYが舞台。ジョンの「銃をくれ、ありったけ」(『マトリックス』のキアヌの台詞!)、ついに戦いに参加するコンシェルジュのシャロン、ジョンとシャロンが一旦出直すほど防弾装備が凄い敵部隊など、ここまでの積み重ねでの熱さとさらにブチ込む新たな見せ方で畳み掛けてくるのには手抜きがないなあと感心。そしてゼロの手下として『ザ・レイド GOKUDO』のヤヤン・ルヒアンとチェチェップ・アリフ・ラフマン登場とかもうお腹いっぱいです。ガラスをガンガン突き破って吹っ飛ばすくせに、わざわざ助け起こしてから戦いを挑むほどジョンのファンというのがもう楽しくてしょうがないし、「また会おう」で二人が負けを認めるのも気持ちいい。

そしてゼロとのラストバトル。ゼロはジョンに「俺たちは同じだ」と殺人マシーンとしての共感を得ようとしますが、ジョンはこれを否定します。ジョンが生き続けるのは、妻と二人の思い出を記憶しておくため。指を詰めて結婚指輪を渡してしまってでもその記憶をとどめようとするのは、マシーンではなく人間でい続けるための意地なのでしょう。ジョンと同じにはなれなかったものの、それでも最後に「いい戦いだった」と言ってジョンに「Year」って言われたゼロが嬉しそうに「今息を整えてる」と言って一緒に行こうとするのにはちょっと泣けますよ。「無理だ」って言われちゃうのがせつないけど。ジョンが忠誠を捨ててウィンストンと共に戦うのも人間らしさの一端であるのでしょうが、ウィンストンにとっては裁定人を協議の席につかせるための反乱でしかなく、ジョンは屋上から撃ち落とされるという手酷い裏切りに会います。ここまでジョンをかばってきたウィンストンのこの行動が本当に地位を守るためなのか、本意は他にあるのか、ともかくこれはショッキング。

と言うかですね、てっきり今作で主席連合を壊滅させてシリーズ完結か、くらい思ってたので、まだ続くんかい!というのに驚きましたけどね!もう何のために戦うのかわからなくなってきそうですが、7回斬られたキングの「俺は怒っている、お前はどうだ」という言葉に「Year!」と返すジョンには新たな怒りが宿っています。怒ったジョン・ウィックの強さは1、2作目を観れば明らか。キアヌの体がちょっと心配ですが、世界に狙われたジョン・ウィックが今度は世界を狙うのか?そしてさらなるアクションの進化が見られるのか?期待です。

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