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2019
09.30

その封印は全てを解き放つ。『アナベル 死霊博物館』感想。

Annabelle_Comes_Home
Annabelle Comes Home / 2019年 アメリカ / 監督:ゲイリー・ドーベルマン

あらすじ
アナベル来訪者。



超常現象研究家であるウォーレン夫妻の家の地下室に収容された呪いの人形アナベル。ある日夫妻が仕事で留守中に、娘のジュディとシッターのメアリーエレンを訪ねてきた友人のダニエラが、地下の「博物館」に入り込んでアナベルの封印を解いてしまい、他の封印されていた悪霊たちまでが襲いかかってくる……。「アナベル」シリーズの続編となるホラー。

『死霊館』シリーズに登場した呪いの人形アナベルを主体としたスピンオフ「アナベル」シリーズの、『アナベル 死霊館の人形』『アナベル 死霊人形の誕生』に続く3作目。アナベルがおうちにやってきた!というわけで、舞台をウォーレン家に絞ってそこで繰り広げる恐怖が描かれます。今までも何度か登場していたウォーレン家の地下室、別名「博物館」にアナベル人形を封印するところから始まる本作、気になっていたあの保管庫の全貌が明らかになるのもたまらんですが、そこにある呪いのアイテムや曰く付きの品々が解き放たれ、怪異見本市みたいなこれでもかというホラー描写の釣瓶打ちが怖楽しいったら。アナベル以外の呪いの品も色々ヤバいのが揃っていて、もはやホラーアベンジャーズという状況に。それらに襲われる三人の少女のキャラ立ても良くて、スリルとドラマの両面で魅せてくれます。

ウォーレン夫妻の娘であるジュディ役は『gifted ギフテッド』『キャプテン・マーベル』のマッケナ・グレイス。観るたびに順調に育ってるマッケナちゃんには慨深いものがありますが、やはりこの子は上手い。夫妻の姪っ子メアリーエレン役の『ジュマンジ ウェルカム・トゥ・ジャングル』マディソン・アイスマンは良いお姉さん感が出ているし、その友人ダニエラ役のケイティ・サリフがただの迷惑女子かと思ったら捻りがある、というのもイイ。『死霊館』シリーズでおなじみパトリック・ウィルソンとヴェラ・ファーミガのウォーレン夫妻も登場します。監督は『アナベル』シリーズや『IT イット “それ”が見えたら、終わり。』で脚本を務めたゲイリー・ドーベルマン。

本作について製作のジェームズ・ワンが「アナベル版ナイト・ミュージアムさ!」とか陽気に言ってますが、言いえて妙。悪魔憑きの話なのに日本の武者鎧があるのは違和感あったりもしますが、良い霊もいるという観点は多分今までのシリーズにはなかった良さだし、除霊シーンの工夫も上手い。ちょっとしたユーモアもあったりするし、こう言うと語弊があるかもですが、ちょうどいい怖さです。

↓以下、ネタバレ含む。








序盤で車が止まってしまい、様子見てたらどんどん霊が湧いてくる、しかもそこは墓場前だった、という怪談話のような掴みをウォーレン夫妻でやりつつ、アナベル人形が周囲の霊に及ぼす影響力を描き、ついでに夫妻が仲良しなのも描くという、コンパクトなまとめ技が上手い。メインでは様々な悪霊が登場しますが、この整理力があるために至極見やすく、その点よく出来ています。構成としては、序盤のウォーレン夫妻によるアナベル引き取りから夫妻が出掛けて帰ってくるまでの間に女の子たちが大変な目に遭うという、言ってみれば一夜のお留守番の話ですね。そしてこれが何とも長い夜になります。そもそもあの保管庫、封印したり清めたりしてるとはいえ、物置程度のスペースに呪われてるか霊が憑いてる品ばかりがズラリと並んでいて圧が凄いです。昼間のわりと明るいシーンでもどこかに目の届かない場所があるような構造だったり、ちょっと奥の方に目をやるとすぐアナベル人形が視界に入ったりと、雰囲気は言うことなし。

恐怖表現もオーソドックスな驚かし系からじわじわ迫りくるような不気味さまでバラエティ豊か。音がして見たら人形が動いていたとか、いるかと思ったらいないが間を置いて出てくるというのも効果的に使われているし、玄関から覗いたら少女の霊がアナベルの名を呼んだり、呪いの花嫁が部屋の周囲を窓や鏡を通ってぐるりと回ってくるという実に『死霊館』的な見せ方など、真っ昼間でも関係なく姿を見せる霊たちには戦慄です。イザベラが弾いてるピアノに不意に誰かの手が伸びてくるのにはビビりますよ。武者鎧から日本語で阿鼻叫喚の声が聞こえる現象は実に日本のホラー的だったり、箱に手を入れるゲームなどは何だか愉快に思えてきたり、悪魔の黒犬が狼男にまでなるというのはサービス精神が過剰で、怖いけど楽しい。銀貨を渡さないと黄泉の国に連れ去るというフェリーマン、怖いけどむっちゃコインくれるな!とか思いますね。あと少し未来を映すテレビ?あれは変わってて面白いです。

事態の発端である全部おさわり娘ことイザベラ、彼女がやらかすのは好奇心からだとばかり思っていたので、実は死んだ父に一言謝りたいからだ、というのが思いの外効いてきます。一人であの保管庫にずっと閉じ込められたら気が狂いそうですが、それこそイザベラが物語の中心であることを示しますね。父の写真をそこにあるロケットにそっとしまう彼女には、ウザいとか思ってゴメンね、と思わず反省。上手いのは、イザベラにだけ焦点を当てる作りでも十分行けそうなのに、三人共にエピソードがちゃんとあるところなんですよ。ジュディは母親の血を引いたのか霊が見える体質に悩みながら、それを誰にも相談できずにいます。チューリップ柄のセーターが幼さを感じさせ、ローラースケートに素直に喜ぶ姿は本当に可愛らしくて、それだけに気の毒、と思わせるマッケナちゃんの存在感ですよ。ベッドではアナベルが添い寝してくるし、ライトの色が変わるたびにアナベルが変化していくのもイヤーンな感じ。でもジュディにまとわりついていた霊が導いてくれるという、いい幽霊もいるという観点が良いですね。

メアリーエレンはジュディを本当に可愛がるしとても良い娘さんですが、喘息持ちのために吸入器を取りにいってピンチ、というのがやはり大変。花嫁霊に憑依されたのを、エドが除霊するビデオの映像を重ねて退けるというのは伏線が効いてて上手いです。ちなみにあの部屋は『死霊館 エンフィールド事件』でエドがトラウマ級の絵を描く部屋ですね。あの部屋の奥に予想外の異世界空間が広がっているというのがまた怖い。メアリーエレンの場合は仄かな恋愛エピソードが絡んできますが、お相手の玉ありボブがなかなかのヘタレなのが笑わせてくれます。ボブはなんとかメアリーエレンにアタックしようとしてるのに、自分は黒犬に猛烈にアタックされるのが不憫。笑うけど。つーか玉ありボブってなんだよ。つーかボブはもっとギターを練習してください。あとあのピザ屋が本当にひと切れ食ったのかが気になります。

なぜ部屋の電気を点けないのか、なぜバラバラに行動するのかという疑問もそこまで感じさせないようにはなってるし、ラストは魂を奪いに悪魔までが登場するという大盤振る舞い。しかも結局女子三人とボブだけでなんとかするわけですが、その展開も無理矢理な感じはあまりない、というのは秀逸ですよ。ジュディの誕生日パーティに彼女を避けていた級友たちもやって来るし、ジュディをいじめていていたイザベラの弟も改心し、イザベラはロレインに救われて言うことなし。最後はエドがまた調子乗ってギターで歌う、というおまけ付きでなんとも爽やかな終わり方なのも良かったです。エンドロールで、本物のロレイン・ウォーレンさんが今年2019年に亡くなったと示されるのは何気にショッキングですが、映画のなかでまた会えることを期待してます。

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