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2019
08.15

太古の脅威!復活のナチス!『アイアン・スカイ 第三帝国の逆襲』感想。

Iron_Sky_2
Iron Sky: The Coming Race / 2019年 フィンランド、ドイツ、ベルギー / 監督:ティモ・ヴオレンソラ

あらすじ
マジ卍。



月面ナチスの侵略を地球人類が退けてから30年。月に移り住んでいた人類は資源の枯渇により絶滅の危機に瀕する。そこに地球から月へやってきた生き残りの人々。彼らから地球の地下深くにある豊富なエネルギー資源の話を聞いた月の指導者たちは地球へ向かうことを決意するが……。SF映画『アイアン・スカイ』の続編。

第二次大戦で敗れたはずのナチスが実は月の裏側に基地を作って生きており、UFOの大群を率いて地球を侵略しにやってくる!という、大胆というか頭悪いというかとにかくユニークな設定で侵略SFをやりきった『アイアン・スカイ』が、7年ぶりにまさかの続編!前作はクラウドファンディングで集めた資金で製作されましたが、今回もまたファンから募った資金で製作、その額は前作を凌ぐ1.5億円とのこと。マジか。すげーな。と言うわけで、前作で月のナチスを返り討ちにした地球人類は、あろうことか自ら引き起こした核戦争によって故郷である地球を死の星にしてしまうという、いきなりディストピアな始まり。しかもナチスが使っていた月面基地に移り住んで生き延びており、それでいいのかという展開。やがてエネルギー資源を求めて地球の深部に広がる未開の世界へと入り込んでいきます。予算が増えたためか、映像はかなりリッチ。しかしどこからツッコんでいいのか迷う展開は前作以上です。予想はしてたけど予想してた以上にボンクラ。ただ、それこそがこの続編に求められた味である、とは言えるでしょう。

ユリア・ディーツェの演じる前作の主人公レナーテ・リヒターは月の指導者となっており、ララ・ロッシ演じるレナーテの娘オビが今回の主人公ですね。オビは一介の機関士なんですが、なぜか月運営の中心にいるという不思議な立ち位置。ちなみにこのオビ、本名はオビアナって言うんですが、まさかオビ=ワンとアナキンから取ったのか?いやまさかな……。オビはキット・デイルの演じる軍人マルコムと、ウラジミール・ブルラコフの演じる地球からき来た男サーシャと共に、月の人々を救うため地球の地下へと潜っていくんですが、そこにはとんでもない奴らが待ち構えていた!

まあそこにナチスが出てくる、というのは予想はつくと思いますが、さらに予想の斜め上を行く展開には唖然。しかも地下世界は「ロスト・ワールド」と呼ばれているだけあって、太古の生態系が生き残ってるんですね。まるで小学生が考えたような話を躊躇なく繰り広げる胆力には驚嘆。先は読めないけど、読めなきゃいいというものでもないなあと実感します。恐竜大好きなのとアップル大嫌いなのは伝わりました。前作を越える珍作。

↓以下、ネタバレ含む。








月に避難した人類は元ナチスの基地で生活してるんですが、どういう体制でコミュニティが成り立ってるのかは微妙に謎だし、どうやって経済活動が行われているかも謎だし、食料ないとか言ってるのにマックで新製品の月面バーガー売ってるし(なんだそれ気になる)、オビが人類の代表みたいに振る舞うのに一機関士という設定も無理があるしと色々雑なんですが、まあ何となく頑張ってるんだな人類、というのは伝わりますかね。そのなかで異彩を放つのがジョブズ教で、ジョブジストの教祖が「オープン系か閉じてる系か」みたいに迫り、異端者は爆死させるというとんでもない集団なのが笑います。宗教の危うさを描こうとしてるのかもしれませんが、アニメ版『GODZILLA』に比べれば重さも救いもなく、アップル信者を小バカにしてるようにしか見えません。大丈夫か?そんななかサーシャたち生き残りが月にやってくるわけですが、ここでウド・キア演じるウォルフガング総統がまさかの再登場。なぜ生きてたのかは特に説明もなく、唐突に謎のエネルギーでレナーテの病を治し、ついでに若返るという謎効果まで加えてきます。ユリア・ディーツェの美しさを崇めよ!ということでしょう。

この謎エネルギーでどう人類を救うのかはよくわかりませんが、そりゃあ取りに行くしかない!というわけで、どんな危険があるかもわからない未踏の領域になぜか少人数で向かうことに。ジョブズ教とか来てもクソの役にも立ちそうにないですが権力あるのでしょうがなく同行。何となく宇宙船も起動に成功し、大気圏突入できるの?と言ってたのにいつの間にか大気圏も抜けて地球の地下へ。地球空洞説を大胆にアレンジし、隕石衝突の危機から免れた恐竜たちも元気に暴れまわり、かつての地球の指導者たちが最後の晩餐のようにテーブルについているという、もうツッコミが追い付かない怒濤のイマジネーションに翻弄されます。しかもエイリアンまで出しちゃって、何をやらかすか期待していたジョブズ教は何もしないうちに彼らに食われてしまいます。食うんかい。それでも彼らから逃れるオビのバイタリティがスゴい。地中世界にはなんか小さい太陽みたいなのがあってそれを聖杯のようなものから出る光で支えてるんですが、そんな超重要アイテムをあんなあっさり取っていいのか?まあいいか。

想像以上に恐竜がフィーチャーされているのも少年少女の心をくすぐります(実際PG12だった前作に対し今作は全年齢)。トリケラトプス戦車とかティラノ騎乗といった恐竜ライドでアトラクション的な見せ場も作り、冒険ものとしても頑張ります。そして為政者版FGOかと言わんばかりにサッチャーとかヴィン・ラディンとかスターリンという大物がガンガン襲ってくる。もちろん敵の頭はヒトラー!なぜかジョブズもいる!どれだけアップル嫌いなんだ!なんか政治的な皮肉を込めたのかと思いましたが、特にそういうのはなく皆あっけなく散っていきます。前作はまだ独裁政権に否を突きつける、という心意気も多少あった気がするんですけどね。そんなことないか。まあ政治色強かったらそれはそれで水を差す感じにもなったでしょう。そういえば前作の無責任アメリカ大統領までがエイリアンだったわけですが、せっかく再登場したのにあっさり死ぬのが何とも世知辛い。それを言ったらオビの父で前作のメインであるワシントンさんは最初から死んでますが……。

とにかくオビさんの活躍でヒトラー及びウォルフガングの愛憎溢れる内ゲバもケリがつき、母の死という悲劇はあったものの(あれ、生きてたっけ?なんか早くもうろ覚えに……)、オビとサーシャの別にくっつかなくてもいい二人もイイ雰囲気、三角関係と見せて実はゲイというオチなのでは、と思ったら本当にそうだったマルコムらと共に、オビたち人類はめでたく新たな居住地、火星へ。今度は『テラフォーマーズ』に襲われるのでは、と危惧していたら、まさかのソ連邦ですよ、すげーな!冒頭のプーチンぽいロシアの偉い人、その後出てきたのかよくわからなかったんですが(出てたらしいけど)、最初と最後が対になっていたわけですね。これは読めない!そして襲いくる脱力感!「アイアン・スカイ~♪」と歌う無駄にムーディーな主題歌を聴き、クラウドファンディングの出資者の名前でむっちゃ長くなってるエンドロールを眺めながら、宇宙を行く人類に幸あれ!と思うのです。……まさか第3弾はないだろうな?でもここまでやりたい放題やったシリーズが次にどうなるのかという興味はあるので、出資者の皆さんよろしくお願いします。

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