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2019
08.14

怨念シャッターチャンス。『ポラロイド』感想。

polaroid
Polaroid / 2019年 アメリカ / 監督:ラース・クレブバーグ

あらすじ
キュイィィィン……



カメラ好きの女子高生バードが偶然手に入れた年代物のポラロイドカメラ。しかしそのカメラで写真を撮られた者が次々と謎の死を遂げていく。自身も写真に写り込んでいることがわかったバードはカメラの謎を追い始めるが……。『IT イット “それ”が見えたら、終わり。』の製作陣によるホラー。

そのポラロイドカメラで写されたら死ぬ、という設定がわかりやすいホラーです。バイト先のアンティークショップの同僚からガレージセールで入手したというポラロイドカメラをもらった女子高生のバードが、そのカメラで何気なく友人を撮った写真に写る不気味な影。やがて撮られた者が惨殺され、身の危険を感じたバードや友人たちはポラロイドの出自を調べ始めます。驚かし描写多めの心霊系ホラーで、怖いと言うより不気味さの方が強い印象。とは言え、ポラロイド独自のキュイーンというチャージ音での煽り方や、出てきた写真がすぐには見れず徐々に浮かんでくるというのもハラハラ感があって、今の時代では逆に新鮮かも。恐怖を感じさせる良いショットも多いし、何気ない伏線と捻りが効いた真相のサスペンスもなかなか面白いです。

バード役は『僕のワンダフル・ジャーニー』の予告でも見かけるキャスリン・プレスコット。地味めな存在感ながら古いカメラの型番までわかるカメラオタで、自信のなさを乗り越えて恐怖に立ち向かいます。キュートでありつつ、芯の強さも見せる主人公としてイイ。タイラー・ヤングの演じる、バードが想いを寄せるコナーが調子こいた若者かと思いきや意外と誠実なのも好印象。監督はリブート版『チャイルド・プレイ』のラース・クレブバーグで、自身の短編ホラーを元にした長編初監督作品とのことでこちらの方が先のようです。

心霊写真の怖さみたいなのは思ったよりなくて、ポラロイドカメラという古めかしいガジェットが醸し出す得体の知れなさと、予想以上に物理で襲いくる霊の恐ろしさがメイン。目新しくはないものの、バードの抱える過去の傷なども上手く取り入れ、しっかりしたまとまりがあります。あとジョジョ好きなら吉良の親父を思い出すこと間違いなし。よしかげ~ッ!

↓以下、ネタバレ含む。








冒頭で女子二人がポラロイドをいじりながらキャッキャしてるのが『リング』を彷彿とさせてちょっと面白い。こういう恐怖の遺物が巡り巡って主人公たちの手元にくるというのは常套手段ではありますが、それがポラロイドカメラといういまや年代物であることが物珍しさとノスタルジーを感じさせつつ、古いからこそ蓄積された恨みパワーというのが説得力ありますね。写真に写った者の後ろになかったはずの影が写り、それが死刑宣告のようになるわけですが、写真を処分しようと火をつけたら被写体の女性の体にも火がついたり、写真を破けば被写体も裂ける、というのはまさにアトム・アット・ファーザー。一度写ると手の出しようがなくじわじわ追い詰められるスリルがあります。ただその影が見てる目の前で動く、というのはちょっと微妙ではあります。ふと目を離した隙に動いていた、の方が不気味で良いと思うんですけどね。

写真を撮る係のバードは無事かと思ったら窓の反射で写り込んでいたために、バード自身も当事者に。成すすべなく死んでいく仲間たち(特にあのカップルは気の毒)を見て自分を責めるバードは、過去に父親が事故で死んだのも自分のせいで、今回もそうだと自分を責めます。しかしコナーに新聞記者だった彼女の父なら真相を探ろうとするはずだ、と言われて調べ始めるのが、乗り越えるべき過去として活かされていて良いです。バードが赤ずきんの格好をするというのが、食われそうな予感があって不安にさせられます。ミステリー的にも捻りがあって、かつて写真を教えていた男が殺人鬼でありそれが霊の正体という結論に一旦は行き着くものの、実はその娘が写真の教え子たちに辱しめを受けたのだ、という話を男の妻から聞かされたがために、その恨みがカメラに憑いたという風に真逆に転じます。保安官が「あの家に近付くな」とよく知ってるかのように言うところであれ?と思う伏線も効いてますね。しかし真相の重さにやるせない気分になった、と思ったら、妻の逆恨みというさらにもう一捻り。ミスリードもあって騙されます。

ただ、ポラロイドの悪霊は霊かと思ったら思い切り物理化して首を掴んだりするし、手を尖らせて刺したりまでするので、霊的な怖さとしては半減と言うか、むしろバイオレンス。殺戮シーンも映らないし、ゴア描写は唯一保安官が裂かれるくらいなので、もっと攻めてもよかったかなという気はします。あと引っ掛かるのは、なぜ霊が後から撮った写真の方に移るのか、というのがよくわからないこと。一人の方が襲いやすいからか?またバードが首にスカーフを巻いてるのは何か傷があって隠すためかと思ったら、特に首には何もない(少なくとも強調はされない)のはちょっと肩透かし。一応スカーフ引っ掛かってピンチ!というのはありますけどね。などと少々の物足りなさはあるものの、本作はラストが良いんですよ。写真への攻撃は被写体に跳ね返るというのを逆手にとった、だけではなく、写真に自分の指も二本写り込んでしまうというのが秀逸。最初の攻撃でくしゃくしゃにされた霊がぐねぐねしながら迫ってくるのも良かったし、痛みに絶叫しながら、指を犠牲にしてでも倒そうとするバードが熱い。

その状態で海にカメラを捨てに行くんかい、とは思うものの、最後まで責任を持って行動するというのが良いんですよ。すぐさま写真を撮るのが当たり前のこのご時世に、たった一枚の写真がもたらす恐怖。シンプルながら楽しめました。

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