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2019
08.08

僕だけが君の友達。『チャイルド・プレイ』感想。

Childs_Play
Child's Play / 2019年 アメリカ / 監督:ラース・クレブバーグ

あらすじ
死ぬまで友達だよね?



引越してまだ友達もいない少年アンディは、誕生日に様々なセンサーが内蔵された高機能な人形を母親からプレゼントされる。人形にチャッキーと名付けて面白がっていたアンディだったが、次第に周囲で恐ろしい異変が起こり始める……。人気ホラーシリーズ『チャイルド・プレイ』のリブート作。

殺人人形が襲ってくるという1988年の第1作目以降、7本のシリーズ作が製作された人気ホラー『チャイルド・プレイ』、その1作目がリブート。シングルマザーの母親と暮らす少年アンディが誕生日に母からもらった人形が襲ってくる、という基本ラインは同じですが、細部は大きく異なっていますね。主役とも言うべき人形チャッキー、今作では最新テクノロジーを駆使した超ハイスペックなスーパートイとなっており、音声と画像を認識してAIにより会話を成り立たせ、駆動する手足により物をつかんだり歩くことまで可能、表情も様々に変えることができるし、ネットワークでスマートスピーカーからネット家電まで操作できるという、もうそれアンドロイドじゃねーの?という代物に(でもおもちゃ)。そんなチャッキーの持ち主となる少年アンディ、オリジナル版では6歳の幼児でしたが、これが12歳の少年になったことで展開やアクションに幅が出ています。他にも対決の場が変わったり、呪いの人形から現代的なアプローチに変わっていたりしますが、なんでそうなるのという大雑把さもありつつしっかりスリリング。これは良いリメイクです。

アンディ少年を演じるのは『ライト/オフ』のガブリエル・ベイトマン。彼が一人でチャッキーと対峙する姿が良いです。もう人形で遊ぶ年でもないアンディがどのようにチャッキーと接していくかは工夫がありますよ。ちなみに主人公の名前がアンディなのは元々のオリジナルからそうなんだけど、『トイ・ストーリー』シリーズと被ってるのが面白い。アンディの母カレン役であるオーブリー・プラザはオリジナル版に比べて若干のビッチ感がありますが、それゆえにという展開もあるのが上手い。アンディと親しくなる同じアパートの警官マイク役で『ビール・ストリートの恋人たち』でも印象的だったブライアン・タイリー・ヘイリーがいい味出してくれます。そしてチャッキーの声を担当するのが『スター・ウォーズ 最後のジェダイ』マーク・ハミル!『ブリグズビー・ベア』でも見事なアテレコでしたがこちらも素晴らしい。マーク・ハミルならではのネタがあるのも愉快です。

独占欲と無自覚な悪趣味さで迫り来るチャッキーに、ハイテクすぎるという怖さも追加。顔がオリジナル版と全然違うので最初出てきたときは思わず「えっ」と声が出ちゃうんですが、どちらにしろ可愛くはないので大丈夫!(なんだそれ)怖さのポイントがホラーというより若干SF寄りになった気もしますが、R15+ならではのエグさもあるし、対決も楽しいです。

↓以下、ネタバレ含む。








オリジナル版では、ブードゥーの魔力によって殺人鬼の魂が乗り移った人形が凶行を繰り返す、という設定でしたが、今作ではそういったオカルト設定ではなくなっています。人形を作る工場の男がクビなった腹いせにあらゆる規制を外したことがチャッキー誕生の原因となっており、自殺したその男が乗り移るということもないですね。あくまでAIの暴走という発達した科学の話で、その辺りが実にSF的だったりします。そもそも規制を外したらヤバい機能がある時点でおもちゃとしてダメだろうと思うんですが、無人タクシーが走ってたりするので若干近未来が舞台でもあり、しかも使われる技術はそこまで現実味がないわけでもない。豊かな暮らしのための技術が一歩間違えれば恐怖に変わるというのが今作の怖さの中心にあるわけです。チャッキーは霊の力を借りなくても最初から表情も動くし、歩けるし、指も動かせるし、喋りまくる。ハイテクにもほどがありますが、そういう風に作られているのでおかしくはないんですね。おかしくはないんだけど、小さい子供の人形がまるで人間のような感情で動いているように思えるところに不気味さがあるわけです。

アンディはYouTubeでしょうもない動画を面白がったりする普通の少年ですが、引っ越したばかりで積極的に友達を作るタイプでもなく、母親は働きに出ていてあまり一緒にいられず、そのうえ母親が付き合っているのがなかなかのクズ男だったりして、孤独な日々を送っています。さすがに人形で遊ぶ年ではないものの、バディ人形が話し相手や遊び相手になるくらい高性能なこともあって、孤独を癒すために連れ歩いたりもするようになり、そのうちファリンやパグといいう一緒に遊ぶ仲間もできます。この辺りの展開が自然で上手い。そのうちアンディの負の感情を読み取ったチャッキーの凶行に走ったことで閉じ込めたり捨てたり、終いには戦ったりするわけですが、あまりにも無力な6歳に比べて知恵も体力もあるのでその辺りの攻防も膨らませることができるし、仲間たちとの共闘という熱い展開も描けるのがよくできてます。終盤に子供たちが協力して立ち上がるのはもっとガッツリやってほしかったですけどね。でも女の子のファリンが強くてみんなついていくというのが笑えてイイ。

それにしてもチャッキーの怖さですよ。僕たち友達だよねの精神で邪魔する者は片っ端から屠っていくその行動力と、人形の非力さを感じさせない周到な手段がヤバい。自分のしたことは君のためだと言わんばかりに、猫を殺したときの音を聞かせる無自覚な悪趣味さ。君が望んだから殺したんだと責任転化するかのように、アンディの呪詛の言葉を聞かせる押し付けがましさ。そうしておきながら「死ぬまで友達」と歌う恐ろしさ。あの小さな体で悪質なストーカー以上の危険さを持つ、しかも道徳や善悪の心などは持たない、そもそもプログラムだから心などないので、サイコキラーよりタチが悪い。クズ野郎の首プレゼント(中身はスイカ)というのもまあ趣味が悪くて最高です。アンディが名前を付けようと「ハン・ソロ」と呼んだとき、即座に別の名を提案する中の人(ルーク・スカイウォーカーさん)には笑いますけど。ただ、ママ彼のクズ野郎が頭ひっぺがされるのも覗き野郎のゲス管理人が切り裂かれるのもいいんだけど、アンディを「親友」と言ったばかりにマイクの母ドリーンが死ぬのはかわいそう。チャッキーの無慈悲さが表れてはいるものの、さすがに後味悪いです。

クライマックスのおもちゃ屋では、大量の新型バディ人形がズラリと並ぶヤバさに加え、チャッキーがネット接続してしまうという無敵さ、そして始まるジェノサイドが思った以上のパニック感。ドローンまで操り、軍事に転用したら本当にヤバいレベルで煽ってきます。まあ補聴器からまで声が聞こえるというのはさすがに無理やりな気もするし、そもそも補聴器を付けてるという設定がそこまで活かされてないんですけどね。あといくら器用に動けるといってもカレンを縄で縛ったり運んだりはどうやったんだとは思います。とは言え狂った友情の果てに見境がなくなり、友達の母親までも殺そうとするチャッキーの恐ろしさはかなりのもの。そして6歳の子よりも断然有利と思われた新アンディが、それでもやはり子供であるがために敗北しそうになるというピンチ。そこを母親を殺された警官マイクが放つ逆転の一撃が、まるで『ダイ・ハード』のようで熱い。殺戮の現場でテクノロジーの夢を語るおもちゃ会社トップの映像が愚かしく流れるのも効いてます。

というわけで、霊的+殺人鬼の恐怖から暴走AI+技術の悪用の恐怖という転換はあるものの、たかが人形とナメていたら殺しまくるヤバさという点は上手く継承し、見事なアップデートをしてみせた本作、粗いところもあるもののポイントは外さずしっかり楽しめる出来で満足です。

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