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2019
08.01

明日のための誕生日。『ハッピー・デス・デイ 2U』感想。

Happy_Death_Day_2U
Happy Death Day 2U / 2019年 アメリカ / 監督:クリストファー・ランドン

あらすじ
死んだら驚いた!



誕生日に殺されるという繰り返し現象から脱出できた大学生のツリー。しかし新たな人生に歩み出そうとした矢先、またもやタイムループに巻き込まれてしまう。しかし今までの繰り返しとは何かが違い、思いもかけない出来事が……。タイムループ・ホラー『ハッピー・デス・デイ』の続編。

誕生日に謎の殺人鬼に殺された!と思ったらその日の朝に戻っていた!という現象が繰り返されるループもの+スラッシャーホラー『ハッピー・デス・デイ』の第2弾。前作で真犯人も判明し、何とかループから抜け出し主人公のツリーが、再び死を繰り返すループに逆戻り。またもや「あの朝」がやってきたときの絶望感と徒労感たるや半端ないんですが、一体なぜ?という疑問と、前作と比べて何かがおかしいという違和感、そして予想もしなかった捻りで目が離せません。前作が最高に面白かった上にキレイにケリをつけたので蛇足になってないか不安もありましたが、もう全然!超面白い!そうくるか!と思いきや、そうなるの!?え、マジか!という驚きの連続。しかも今度は『恋はデ・ジャブ』に加えSF要素まで。スリルと衝撃と笑いと涙が満載です。

ジェシカ・ロースの演じるツリーは前作で散々な目にあってようやく抜け出せたと思ったらコレなので、枕に顔を当てて叫ぶ気持ちもわかります(笑うけど)。イスラエル・ブルサードの演じるカーターは相変わらず好青年なのに、まさかの関係の変化。ダニエル役のレイチェル・マシューズや、ロリ役のルビー・モディーンももちろん続投ですが、今回はカーターのルームメイトで前作のチョイ役だったファイ・ブの演じるライアンにまさかのフォーカス。脇役に至るまでキャラ立ちも見事です。

これだけの様々なジャンル要素をブチ込みながら、破綻せず混乱もあまりしないという、恐ろしいほどよくできた脚本、細かいところまで気の効いた演出。監督・脚本のクリストファー・ランドンはただ者ではないです。とにかく楽しい!スリリング!それでいてテーマが真っ直ぐなのも気持ちいい。タイトルが2作目にかかっているのもイイです。前作を越えてくる面白さなので、ホラーというだけで敬遠するのはもったいないぞ。

↓以下、ネタバレ含む。








冒頭のユニバーサルロゴが、今度は三つにスプリット!これが多元宇宙、つまりパラレルワールドを示してるわけですがこの時点ではまだわからず、またツリーが目覚めるところから始まるのかなーなどと思っていたら、まさかのライアンがループ!こういった大なり小なりの意外性が常にあって、また同じ事を繰り返すかと思いきや少しずつ違うというのが興味を持続させます。しかも変化による別のドラマがまた面白く、何かおかしい、何が起きるんだという違和感がスリリング。この辺りは前作ありきではあるんですが、前編後編と考えればこれ以上ない作りです。ライアンの作った装置がアレしてコレしてという、なんかわかんないけどまたもやループにハマるツリー。しかも今度は多元宇宙の扉が開いてパラレルワールドになってしまう、ということによるズラしが最高なんですよ。

前作では最後までわからなかった犯人の顔が明らかに!と思ったらその正体がとんでもなくて、かつパラレルワールドの存在をこれ以上ないほど画で納得させるし、恋人関係になったはずのカーターがダニエルとキスするという衝撃、そして死んだはずの母が生きているというさらなる衝撃。前作での父との感動シーンが台無しになるのでは、という予感を見事に裏切ってくれます。驚くのはロリの扱いで、この世界では違う真相が待っているわけです。しかも最後に犯人をわからず終いにするのかと思いきや、なんとロリを救うために病院へ向かうツリー。ロリの不倫に自分を重ねて共感したのでしょう、前作でのロリの扱いのフォローにもなっているし、グレゴリーの引き出しに入っていたマスクが伏線としてしっかり回収もされるし、おまけに奥さんまで付いてくるという、もはやサービスかというほどの繋げっぷりです。

のっぴきならない状況なのに妙にコミカルなのも面白い。姿を隠すために紛れたバスケ会場がベビーマスクだらけとか、ダニエルの盲目の人演技が役立つとか、あと銃を突き付けられた警官の尿が長いというしょうもない小ネタまでまあ愉快。特にツリーは前作でも見せた見事な死にっぷりがさらにふざけていて、頭爆発というドリフのコントみたいなのをやったり、『ファーゴ』のアレみたいなのに自ら飛び込んだり、ノーパラシュートでカーターとダニエルのキスシーン現場に落ちたりと絶好調(死ぬけど)。ループを繰り返すうちにいかにも勉強ダメそうなツリーが複雑な数式を覚えるのも笑えるし、飛び降りたらそのままベッドに繋がる演出とか良いですねえ。繰り返しによる体力の低下でループには限度があるというのが無限には続けられないという歯止めになっているし、変電所に突っ込んでの自殺には手に汗のタイムリミット要素も。『バック・トゥ・ザ・フューチャー2』を引き合いに出す映画ネタも楽しいし(ツリー知らないんかい!)、自分の次元かどうかを「ダニエル」という台詞だけでカーターに確認するのはスマートで笑います。

前作ではループを繰り返すうちに母親の喪失が自身のひねくれた生き方に影響していることを認識したツリーだけに、その母親が生きている世界と、カーターと結ばれる本来の自分の世界との選択を迫られることに。でもいくら求める世界であっても自分の記憶と違う違和感は残るし、それは偽りの世界なんですね。「悲しみや苦しみを経て今の君がある」というカーターの言葉は染みます。そしてカーターの「別れを告げることができる」という言葉は、前作の父との会話シーンに代わり母との別れのシーンとなって泣かせにきます。ループの「やり直すことができる」というメリットにパラレルワールドの「もしも」のシチュエーションを重ねてくるのが上手い。最後にはロリにも「ごめんなさい」と言いますが、これも現実ではもう会えないロリとの別れになっています。

会って数日間(実際は一日なんだけど)の仲間たちとの絆も暖かいです。ライアンなどは最初は頼りないのに、後半ではツリーの言葉に「正しい」と言って協力してくれる姿が頼もしい。多元宇宙のもう一人のライアンの件が若干うやむやになってる感はありますが、そこはループを閉じることで解決したってことですかね。ラストの飛び散る電気の光の中でのキスシーンは、およそ想像しえなかった美しさ。「死」の一日というタイトルに対し、エンディング曲がアレンジされた『ステイン・アライブ』という「生」を表すものであるのもイイです。それにしてもライアンのあの発明は天才すぎるのでは、と思ったらしっかり政府機関が絡んでくるというオチも愉快。被験者がダニエルになりそうですが、ちゃっかりカーターと付き合いながら他の男を連れ込んでたり、あとなんかウザいしでまあいいか、打たれ強そうだし。キレイに終わった前作に比べてそんなイタズラっぽいおまけを付けるのもニクいです。並行世界のSFかと思わせてしっかりホラーミステリー、しかも二部作としての構造も文句なし。最高です。

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