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2019
07.16

深き罪は因、長き罰は縁。『神と共に 第二章 因と縁』感想。

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Along with the Gods: The Last 49 Days / 2018年 韓国 / 監督:キム・ヨンファ

あらすじ
ファンドは上がる!



あと一人転生させれば自分たちも新しい生を得るところまできた冥界の使者カンニム、ヘウォンメク、ドクチュン。カンニムは怨霊だったジャホンの弟スホンに裁判を受けさせることにするが、そのための条件として閻魔大王からある老人を冥界に連れてくるよう言われる。下界に向かったヘウォンメクとドクチュンだったが、そこに老人を死から守ろうとするソンジュ神が立ちはだかる……。地獄を舞台にした韓国ファンタジー・アクション二部作の第二章。

韓国のウェブコミックを実写映画化したファンタジー・アクション『神と共に 第一章 罪と罰』の続編。前作でどうにかジャホンを導くことができたカンニム、ヘウォンメク、ドクチュンの冥界の使者トリオは、あと一人の転生者を出せば自分たちも転生できるところまでこぎ着け、前作で怨霊となったスホンを最後の対象にしようとします。しかし本来怨霊は消滅させなければならない、ということでスホンに裁判を受けさせるため閻魔大王が出した交換条件は、とっくに寿命を過ぎながらも野に下った冥界の神ソンジュに守られた老人チュンサムを冥界に連れてくること。かくして三人は再び転生ミッションに挑むことになります。冒頭に前作のあらすじが流れるので反芻しつつ、裁判組のカンニムとスホン、爺組のヘウォンメクとドクチュンに分かれて物語は進みます。それと同時に三人それぞれの過去が語られるという構成に工夫があります。前作以上に音楽がうるさく、泣きを煽ろうとする盛り上げ方には若干くどさもありますが、とは言えアクションに歴史物に人情話にコメディ要素と楽しませようとする心意気満載なので楽しい。

カンニム役の『お嬢さん』ハ・ジョンウ、ヘウォンメク役の『アシュラ』チュ・ジフン、ドクチュン役のキム・ヒャンギの三人は既におなじみ感があるので入り込みやすいですが、今回はそんな使者たちの過去の秘密が語られることになり、これが思った以上にドラマチック。閻魔大王役の『新しき世界』イ・ジョンジェも相変わらず鎖鬼を従えたシブさで圧力をかけてきます。そして何といっても今回新たに登場するソンジュ神役の『新感染 ファイナル・エクスプレス』『ファイティン!』マ・ドンソク、期待したようなアクションはないものの、心優しき強面ぶりが最高。監督は前作に続きキム・ヨンファ、ハッタリの効かせ方が上手いです。

調子こいたヘウォンメクは面白いし、ドクチュンは可愛いし、カンニムの抱える罪への千年の重みもなかなかに響きます。臆面もなく某恐竜映画をやるのには苦笑しつつも、これでもかというサービス精神が満載で愉快。結構狭い範囲への収束も、個々を描く話と考えればまとまりを感じます。

↓以下、ネタバレ含む。








物語はカンニムとスホンの裁判組と、ヘウォンメクとドクチュンのドンソク神追い出し&爺迎え組に分かれます。この二組の話がほとんど絡まないので最初は結構一貫性が欠けているように感じるんですが、カンニム側、ヘウォンメク&ドクチュン側でそれぞれの過去が語られるにつれ、この二組に分けることに必然性が出てくるんですね。千年前の王国で王の息子として研鑽していたカンニム、しかし父王が敵である女真族の孤児を養子にし、この子が優秀だったがために次第に劣等感と自尊心の狭間で苦しむようになり、何より父の愛情を奪われるのではという焦りを抱くようになります。この義理の弟こそがヘウォンメクなわけで、両者それぞれの過去を振り返るがために別行動になり、それが最後に繋がることで現在の彼らのドラマが描かれる、という構成です。ただヘウォンメクと兄弟だというのは途中から予想がついてしまうのでそこまで驚きはないですね。正直今回は前作ほど意外性というのはなく、スホンの死の真相に関しても曹長が生きてるのを知ってて埋めたというのがポイントなんでしょうが、それって前作では言ってないんだったっけ?という程度の認識だったので、単に前作で描いた事実を繰り返してる感じがしてしまいます。

それよりはヘウォンメクとドクチュンとの出会いの方が劇的。幼い子供たちを守るため健気に頑張るドクチュンが可愛らしいんですが、幼さが残ると思ったら本当に子供だったわけです。このドクチュンに、鬼の将軍として恐れられるヘウォンメクが心を開き面倒を見る、というのはベタのようにも思えますが、結構丁寧に描くので心情の推移としても自然。最後にドクチュンがカンニムを刺すというのも予想外です。罪を思い知らせるため記憶を残されたカンニムと、憐れさゆえに記憶を消されたヘウォンメクとドクチュンの差異も納得。現在のカンニムが二人と微妙に距離を取っているように見えるのはこのためだったわけですね。

一方の現代パートで、ソンジュ神がまだ小さい子が小学校に上がるまで爺さんを死から守るというのが、過去に子供たちを守っていたヘウォンメクと重なるのが上手いところ。完全に人情話ですが、過去の自分が将軍だと知ったヘウォンメクが調子にのったり、地上げ屋を華麗に叩きのめしたりとコミカルさも多いので愉快。特にソンジュ神が最初にヘウォンメクとスピードバトルするのが全然馴染んでなくて、でも最後は画面手前でキメポーズなのが笑えます。マ・ドンソクのアクションはそれくらいですが、顔は怖くも心は優しいという安心感に、二人に過去を語るという役割、なぜか財テクにハマるのなども可笑しく、言い続けていた「ファンドは上がる」がラストで本当に上がるのも心地よくて、見せ場はたっぷり。ヘウォンメクも結局爺さんを迎えないし、全くこいつらはお人好し人だな!

泣かせようとしすぎなのはちょっと気になるし、音楽がうるさいし、それ以上にキム・スホンが文句ばかりでうるさいんですけど、合流した三人の全てを知った上での結末にはじんわりしますよ。スホンらの母が爺さんと関わりがあったというちょっとしたリンクも良いし、『ジュラシック・ワールド』まんまにラプトルやティラノやモササウルスまで登場させるのにはブッ飛びますが、怖いものとして連想させて登場させるのは上手くやったなと。ラストで閻魔が兄弟の父だったというサプライズは前作でカンニムの前に現れた理由付けにもなっているし、まさに因と縁で繋ぐ物語。独特の世界観も楽しめるユニークな連作となっています。

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