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2019
06.18

愛という名の劇薬。『LUPIN THE ⅢRD 峰不二子の嘘』感想。

lupin_the_3rd_fujiko_uso
2019年 日本 / 監督:小池健

あらすじ
ふ、ふ~じこちゃ~ん!(虜)



横領した5億ドルを隠し持つランディと息子のジーンに協力する峰不二子は、横領先の企業コドフリー・マイニングが雇った殺し屋ビンカムから、鍵を握るジーンを守るため逃避行を行う。しかし不可思議な呪いの力を使うビンカムに追い詰められていき……。『ルパン三世』のスピンオフ的なシリーズである『LUPIN THE ⅢRD』の第3作。

『ルパン三世』のキャラクターの一人を主人公とし、レーティングも辞さないハードさ(今作もPG12指定)で描く小池健監督の『LUPIN THE ⅢRD』シリーズ。『次元大介の墓標』『血煙の石川五ェ門』に続くは、抜群の美貌とプロポーション、優れた頭脳と身体能力と話術で、男を惑わし獲物を奪う、ふ~じこちゃ~んこと峰不二子が登場。5億ドルを手にするため図らずも子守りをすることになった不二子が、襲い来る殺し屋ビンカムによる危機に陥っていきます。主役回ということで、エロくて非情で強い峰不二子の魅力が凄まじいほど詰まってるんですが、今回は色気も話術も通用しないという意外な弱点を見ることに。敵役ビンカムの非人間性が醸し出す不気味さとスリルもインパクトがあり、それに対抗すべく女の武器を自在に使いこなす不二子という女がハードボイルド満点で描かれます。

不二子役の沢城みゆきは最もセクシーな沢城みゆきとして素晴らしい演技。この人がゲゲゲの鬼太郎の声もやってるとかホント信じがたいんだが……。栗田貫一のルパン三世、小林清志の次元大介も登場し、腐れ縁というだけではない関わり方で不二子というキャラクターをより際立たせます。また殺し屋ビンカム役には『スパイダーマン:スパイダーバース』宮野真守が存在感を発揮。監督の小池健は従来とは全く異なるテレビシリーズ『LUPIN the Third -峰不二子という女-』でもキャラクターデザインと作画監督を勤めましたが、そういう意味では満を持しての不二子回です。

今作で登場する不二子以外のレギュラーとしてはルパンと次元だけですが、それでもスケール感を損なわず、かつハードなルパンとして見せきるクオリティはさすが。カーチェイスや格闘などアクションも見応えがあり、とある秘密が明かされるのには驚きます。そして目的のためには手段も選ばぬ女がついた嘘。タイトルの意味するところを知ったときに改めて思い知る、不二子のなんとイイ女っぷり。ホレます。

↓以下、ネタバレ含む。








不二子の弱点は色気も話術も通じない子供である、というのは言われてみればそうだなと思うんですが、子供相手だと不二子が映えないというのもあるのか、そのシチュエーション自体がわりと珍しい気がします。ジーン少年は年の頃7、8歳くらいですかね、色恋には興味はなく、かといって愚かでもないので、一応不二子が金目当てじゃないかと疑うところも見せます。暗証番号を教えないジーンに苛ついたせいか、どうも調子が出ない不二子。モーテルの親父がうっふんより保身を選ぶのが信じがたいんですが、ジーンのために不二子のチャームが減ってたのかも。でもジーンは力なき子供なので寂しさと危険に逢ったことで不二子を信じるしかなくなります。というよりは自分がママになるという言葉には抗えなかったと見るべきか。不二子は理由はどうあれ子供を守ることになるわけですが、だからと言って不二子の母性を描くという展開にはしておらず、ジーンに考えること、決断することを促して一人の男として成長させようとしているように見えます。「記憶はあなたの唯一の武器なのよ」とジーンに言うのは、自身の武器を最大限に活かすという自らの生き方を示すことでもあって、そこからもそれは窺えます。

不二子のおっぱい描写が凄くて、ありがちなプルン♪みたいなのではなく、柔軟性と弾力が伝わってくる見事なリアリティ。これは体を武器にする不二子を語る上で不可欠な表現であり、それをエロいと思う奴は既に彼女の術中にいるのですよ。ふ、ふ~じこちゃ~ん!(術中)入浴シーンなどはバスタブに張られたお湯になりたい!と思うこと必至(完全に術中)。ラストバトルもあんな防御低そうな格好でやる必要はなさそうに思うけど、悩殺することも目的なのでよいのですよ。ちらちら乳首を見せながらも出しっぱなしではないのが余計エロいです。それでもジーンのことは守ろうとする不二子に対し、ルパンと次元は敵討ちを願う少年の前で金の話をする辺り、いつもよりちょっと悪党っぽさがあるというのが対比となっています。次元がグラサンだったりスーツじゃなかったりと珍しい格好をしてるのが新鮮。不二子の決意を知り、次元に「今回はこれで勘弁してくれ」と赤ラークを差し出すルパンなど、脱出の手助けなどの派手な活躍をしつつもあくまで脇に回ってシブいやり取りをするのがとても良いバランスです。

ビンカムは手足が異様に長く歯が牙のように尖り、というシルエットが独特で、実にモンキー・パンチ的なキャラ。普段は眠らされて必要なときだけ起こされ、撃たれても痛みを感じず戦い続けるというサイボーグ的な不気味さとヤバさがあります。「止血しろ」と言われることから不死身というわけではないようで、バリバリ食べる木の実に何か神経を麻痺させるような秘密があるのでしょう。呪いの正体が砂嵐で毒を撒くという、理屈はわかったけど砂嵐はどうやってんの?という仕掛けがルパン三世らしいトリックです。ビンカムもまたジーンと同様に色気が効かないので、それをどう陥落させるかという不二子の威厳をかけた戦いでもあるんですね。牢獄での不二子の色仕掛けで「はう!」とか言うのはなんでしょうあれは、恋に落ちた瞬間ってことなのかな?カーラをもう必要ないと言って最初に殺すのも不二子を求めたからなのだろうし。それでも命令を遂行しようとするビンカムに対し、最後の対決で「毒が効くのは人間だけ、あなたは人間だ」と信じさせることで無敵さを取り除く不二子。撃たれても平気だった非人間的なビンカムを「人間」に戻した上で殺すという不二子の、心を与えてハートを貫くというエグさに震えると同時にホレます。愛という名の媚薬、と言うよりは劇薬。

それでもビンカムを人間にしたというのは不二子なりの愛情さえ感じさせるし、逆にジーンにホテルを出たきり会わないのは情を移さないための引き際なのでしょう。もちろんそんなことは口にはしないものの、でも終盤の「関わった男に忘れさせない、その方が役に立つ」という台詞はいかにも不二子の言いそうなことなのに、それを一息に捲し立てるところに少し取り繕った感じがあるし、「5億ドルを奪う代わりに、息子を危ない目に逢わせる危険を知った」と言うのも若干言い訳がましかったりします。それでも父親との待ち合わせ場所を変えた嘘、ママになるという嘘、父親が死んだという嘘と、不二子のついた嘘はジーンたち親子に新たな人生を与え、それでいて自らの目的も達成するのです。「ちょっと寝ていい?」になんだかんだでルパンに信頼があることと、ほんの少しの悲しさを感じさせる不二子。でもそんな顔をいつまでも見せはせず、いつの間にか走り去っている不二子に、恐らくビンカムやジーンもそうであったようにルパンもまた「忘れられない」と呟くのです。

『次元大介の墓標』のヤエル奥崎が再び現れ、『血煙の石川五ェ門』のホークもまた甦ったりと、まさかの殺し屋でシリーズが繋がるのには驚愕。クローンなのか?ということはさらなる黒幕とは、やはり『次元大介の墓標』の最後に姿を見せたあの男なのか?今度は銭形警部かルパンの物語が紡がれるのでしょうか、超期待。ーーそして2019年4月に逝去したモンキー・パンチ先生のご冥福をお祈りいたします。

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