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2019
06.11

神話へ至る地球最大の決戦。『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』感想。

Godzilla_King_of_the_Monsters
Godzilla: King of the Monsters / 2019年 アメリカ / 監督:マイケル・ドハティ

あらすじ
王を称えよ!



ゴジラが現れサンフランシスコを壊滅させてから5年、未確認生物特務機関「モナーク」が極秘で管理する巨大生物が何者かにより世に解き放たれる。世界中に訪れる破滅の予感。そこに再びゴジラが現れる……。ハリウッド版ゴジラの第2弾。

2014年のギャレス・エドワーズ監督作『GODZILLA ゴジラ』の続編にして、『キングコング 髑髏島の巨神』と世界観を共有する怪獣ユニバースとしては3作目に当たる、日本の誇る怪獣王ゴジラのハリウッド版。今作ではシリーズ通してその存在が明かされてきた未確認生物特務機関「モナーク」に属する人々の奮闘を軸に、巨大生物を復活させようとする輩たちにより次々と現れる神代の怪獣たちが描かれます。おぉぉぉぉ……す、凄かった……王どころか神々とも言うべき怪獣たちのこれでもかと映し出される圧倒的なスケールの戦い!デカい!強い!大暴れ!怪獣映画としてこういうものが観たい、という期待したものは全て入ってるし、その期待をさらに越えた展開がやりすぎじゃないかというほどブチ込まれており、もう震えまくりの力入りまくり。ゴジラはもちろん、キングギドラ、ラドン、モスラまで登場し、まさに現代に甦った『三大怪獣 地球最大の決戦』!出し惜しみなし!オマージュの嵐!観たことない絵面!キング・オブ・最高。

前作に続き、怪獣ラブすぎ芹沢猪四郎博士役は『名探偵ピカチュウ』渡辺謙。神妙な顔して微妙に役に立ってなかった芹沢博士、今回はまさかの活躍ぶり。グラハム博士役の『シェイプ・オブ・ウォーター』サリー・ホーキンスも続投。今作の中心となるラッセル家、マーク役の『ファースト・マン』『マンチェスター・バイ・ザ・シー』カイル・チャンドラー、エマ役の『死霊館』シリーズや『フロントランナー』のヴェラ・ファーミガ、娘のマディことマディソン役のドラマ『ストレンジャー・シングス』ミリー・ボビー・ブラウンが魅せてくれます。他にもモナークのチェン博士役に『グランド・マスター』チャン・ツィイー、バーンズ曹長役に『ザ・アウトロー』オシェア・ジャクソンJr.、環境テロリストのジョナ役に『ゴーストバスターズ』チャールズ・ダンスなど揃えてきてます。

監督のマイケル・ドハティは『X-MEN:アポカリプス』『スーパーマン リターンズ』などで原案や脚本を手掛けてきた人ですが、この人がインタビュー記事などを読むとゴジラに対する愛がとんでもなく強くて、その愛情を惜しみなく投入した結果、本家を越えるほどの怪獣バトル至上主義映画になってます。そのぶん人間ドラマが若干手薄と言うかちょっと首を捻るところもまああるんですが、映画としての出来より最強のファンメイド作品を最高の映像技術、役者の演技、細部へのこだわりとで作り上げた情熱に拍手を送りたいです。もはや『バーフバリ 王の凱旋』とか『猿の惑星:聖戦記』なみの「王を称えよ」映画。熱いぜ!

↓以下、ネタバレ含む。








■Pets of the Monsters

ギャレス版『GODZILLA ゴジラ』『キングコング 髑髏島の巨神』の映像がふんだんにコラージュされたシリーズを総括するようなオープニングから「全部取り込むよ!」みたいな熱意が凄いです。ゴジラ侵攻から5年が経ち人類が受けた傷跡やその後の情勢がわかったり、髑髏島の名も頻出したり、秘密組織モナークが軍とも独立した組織というのも判明したり、芹沢博士が相変わらず怪獣博愛主義であることもわかったりと、序盤でそれなりの説明を終えるのがスムーズ。そしてほどなくモスラ幼虫の登場!ここだけでもその巨大感と「モスラだー!」という高揚感で結構アガりますが、さらに怪獣の発する音を解析して操る機器「オルカ」が出てきて前作で言及のあった生体音響学も取り込んでることもわかります。今何をしてるか、というのはわりとわかりやすいので混乱するということはなく、それでいてエマの翻意による驚きやマークの暴走によるスリル、マディの揺れる心情などが描かれるのは良いと思うんですよね。

ただ、なぜそれをするのか、という点では色々引っ掛かるのも確か。エマがジョナに協力して怪獣を復活させるのは人類により破壊された自然を元に戻すためと言いますが、そらならその根拠をもっと明確にしてほしかったし、そもそも息子アンドリューの死を無駄にしないために怪獣による破壊を阻止するための研究じゃなかったの?ジョナに共鳴してモナークを裏切る経緯としてはちょっとあっさり(終盤ジョナの組織を抜けられるのもあっさりでスゴいですが)。マディが犠牲が出ると知ってて最初はそれを受け入れたというのも不自然だし(そこまで説明してなかったのかも)、ゴジラ死なす!だったマークがいつの間にかゴジラ復活派になるのも周りに流されたからみたいに見えてしまいます。ただ、そういった「え?」という疑問も次の瞬間には「おおお!」という興奮に変わってしまうくらい怪獣祭りなので、少なくとも観てるときは「まあいいか!」ってなっちゃう。イヤよくはないんですが。あと役者陣がやっぱ上手いんですよ。特にヴェラ・ファーミガの悲痛そうな演技は人類の裏切者より苦悩する母に見えるのでそこに引っ張られます。マディもね、母を「モンスター」と形容することで何とか整合性保つし、エマが辿る結末もさすがに自覚があったのだろうということで収まってはいますね。

サリー・ホーキンスのグラハム博士は前作で地味すぎたので今回は!と思ったらアレなのは悲しいですが、その後彼女の写真を見て沈む芹沢博士に二人の信頼関係が見れるし、チャン・ツィイーのチェン博士が実は双子!というのは最初は気付かなかったんですが(2回目でようやく髪の長さが違うのに気付くほど一瞬しか出ない)、彼女は小美人的な役割なのかなあとは思ってたので実際そうだったというのは嬉しい誤算。いい加減アイス・キューブ(父)と見間違うのはやめてあげたいオシェア・ジャクソンJr.は、怪獣バカ揃いのモナークのなかで唯一まともな反応してくれるのが良いし、デヴィッド・ストラザーンのステンツ提督も何気に再登場してるのが連続性があってイイ。そして芹沢博士、あの最期はさすがに無理があるので、せめてタイマーセットしようとしたけどダメだったから自ら犠牲になる道を選んだ、とかにしてくれてれば納得もできたし、いくらゴジラでも目の前で核を爆発させられたらたまったもんじゃないなと思うんですが、引き続き日本語発音の「ゴジラ」に渡辺謙のこだわりが見れるし、マスクを脱ぎゴジラに触れての「さらば、友よ」には熱くならざるを得ないです。


■Battle of the Monsters

怪獣登場シーンはどれも凄まじいカッコよさ。モスラ幼虫は赤子がオギャーと出てきた感じが可愛らしくもデカくて震えます。ゴジラは鼓動音と共にじわじわ近付いてくるというのが威圧感あるし、登場後に空に垂直にブッ放すの、とりあえず充電OK!みたいだけどシビれます。ギドラは尻尾が出て首が順々に持ち上がりもうひとつ尻尾が伸びるという溜めに溜めた上で巨体を現すのは圧巻で超カッコいい。そういや「ゲリラ?」に対しチェン博士が「ギドラ!」と言い直すのは欧米人が間違いやすいからなんですかね。ラドンは蓋をされた(それもスゴいが)火山から炎をまといながらの出撃にシビれまくりで「炎の悪魔」と呼ばれるだけはあります。モスラ成虫なんて嵐を払いのけて凄まじい光量を放ちながらの降臨は、インファント島の人じゃなくても拝みたくなる神々しさ。登場だけでこのインパクトなのに、その後の暴れっぷりも尋常じゃないので目が離せません。

ラドンは羽に微かに炎をまとわりつかせて飛ぶ姿が壮観。ラドンの攻撃と言えば突くつつくか風圧というイメージですが、ローリングして戦闘機をはたき落とすというのが超イカしてて、こんなカッコいいラドン見たことない!でもギドラに敗れてあっけなくかしずくコウモリ野郎だった!ギドラは電撃ビャヤー!だしゴジラの熱線が効かないし電気食って放電ピカー!(でんきタイプ)だし、電撃が首を登ってくるのも焦るし、ハリケーンと共に進むとかもうよくわからないくらい強すぎ。三本の首がそれぞれ別人格というありそうでなかった設定、首同士で会話する兄弟だというのには萌えます。火山に陣取る姿はまさに王(ラドンの舎弟感もあって)なんですが、ゴジラに千切られた首が復活するということから地球の生命体ではなく宇宙怪獣なのだという、ちゃんとオリジナルの設定が活かされていますね。だから怪獣が地球の代弁者だと言う芹沢博士は「偽の王」と呼ぶわけです。ちなみにギドラが「モンスター・ゼロ」と呼ばれるのは『怪獣大戦争』で「怪物ゼロ」と呼ばれていたことのオマージュですね。まあオマージュと言ったらオキシージェン・デストロイヤーなんてもろに初代『ゴジラ』だし、挙げたらキリがないくらいありそう。


■King of the Monsters

そんな偽の王を倒すべく海の底からやってくるゴジラ。鼻息の荒さといい(南極では特によくわかる)肩をいからせての極道的な動きといい、もう怒りの権化って感じで、ふざけたヤツはシバき倒す!なところがたまらなくアグレッシブ。熱線が尻尾から上に向かって光始めるのにはキタキタキター!と滾りまくりです。海底通路ですばやく移動とか、実は家があるとか、新たな設定も面白い。アルゴがギドラに追い付かれそうというところで海中からドーン!で現れるとか、マディがギドラに光線吐かれそうという危機一髪のところで熱線ドーン!で現れるとか、登場シーンが完全にヒーローのそれなんですよ。そりゃあモナークの人たちもゴジラが死んでガッカリしますよ(脅威じゃなかったんかい)。そしてモスラです。ゴジラのピンチに優雅に現れ、ゴジラを庇うように戦うモスラ、いやモスラたんを見て、バーンズ曹長が「できてんの?」と聞いてしまうのもぬべなるかな。コールマンも「自然界には共生関係というのがある」と言うのが精一杯なほど、二頭の関係は美しいと言ってよいでしょう。ラドンにいたぶられながら最後には尻の針でブッ刺すという奥の手には、蝶のように舞い蜂のように刺す、なのか?蜂?と思いつつも「モ、モスラた~ん!」のラブコールですよ。フワフワしてキレイなのに健気に頑張ったり羽が燃えたり、そして最期の散り様まで美しくも悲しい……

怪獣同士のバトルはギドラとゴジラ、ラドンとギドラ、モスラとラドン、モスラとギドラと目一杯ありますが、ギドラが首を巻き付けたりラドンが空中で急ブレーキかけたりといったアクションに、巨大感を煽る見上げアングルなどの演出もフレッシュな迫力で、マディの捜索中にすぐ後ろで怪獣暴れてるのなんてもう恐怖ですよ。ここまでやってカタルシスある決着の付け方ができるのか不安になるほどですが、一度はギドラに敗れたものの(と言うかオキシージェン・デストロイヤーのせいだけど)「芹沢が気合い入れすぎた」結果、熱核融合で爆発寸前というみなぎりまくったゴジラが放つラストのエネルギー波にはブッ飛びます。モスラ最後の生命力を受け取ったのもあってか、ブォンブォンオン……という唸る音からのビヒャーッ!はギドラを焼き払うほどの凄まじい威力。このとき脳裏をよぎったのは「コング、勝てるのか……?」なんですが、それはさておき最後にギドラが起き上がったと思ったら首をくわえたゴジラ、首を通して熱線、そして吐き捨てる、という凄まじい絵面には震えるしかないです。

最後に「ゴジラが人間の味方でよかった」という言葉にチェン博士が「いまはね」と返すように、ゴジラは条件付きで「人類の味方」とされますが、この辺りは平成『ガメラ』シリーズに近いものがあります。しかしここで各地から集まってきた怪獣たちがゴジラにかしずくという、本当に味方なのか?と思わせるのがまたスゴい。クモンガみたいなヤツとか、ムートーっぽいのとか、あとマンモスとか。マンモス??どうせなら東宝オリジナルの怪獣を出してほしかったところですが、えらい金がかかるんだそうでまあしょうがない。巨大生物(タイタンズ)は17体いる、という言葉は衝撃でしたが、そのうち数体が既にゴジラ軍団に下ったということです。あっラドンもいる!このコウモリ野郎!そして雄叫びを上げてのタイトルドーン!という、これがキングと言わんばかりの締め方には畏怖の念さえ抱きそうになります。

エンドクレジットでは「ゴジラの通った後に生命が!」みたいな記事があったりして、地球を害する人類とそれを修復する怪獣という構図がやはりあるということですね。そして髑髏島にズームアップからのコングの壁画。コング、勝てるのか……?エンドロールではソイヤ、ソイヤ!というお祭り感、からの劇中でも要所で使われた伊福部昭の音楽が英語のエンドロールに乗るという感慨深さ。しかも前半は原曲に忠実で、徐々にアレンジが加わるのが無性にカッコいい。さらに最後にはゴジラ役者の中島春雄へ写真付きの追悼の意まで。ドハティ監督の度を越したゴジラへのリスペクトにやられます。エンドロール後はちゃっかり生き残ってたジョナと、ギドラの首が。なんですか?メカキングギドラへの伏線?いやもうモナークがメカゴジラ出してきても驚かないですよ。神話の時代に生きた怪獣たちの新たなる神話、果たしてそれは人類にとっての福音となりうるのか。続編の『Godzilla vs. Kong』を待ちましょう!

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