FC2ブログ
2019
06.05

ベスト井戸ニスト、再び!『貞子』感想。

sadako
2019年 日本 / 監督:中田秀夫

あらすじ
フォトボム炸裂。



記憶を失いさ迷っているところを警察に保護された少女を担当することになった心理カウンセラーの茉優。母親から本当の名ではなく貞子と呼ばれていた少女のまわりでは、やがて不可解な出来事が起こり始める。一方でユーチューバーとなった茉優の弟が謎の失踪をとげる……。『リング』シリーズの怨霊、貞子の名を冠したホラー。

日本のホラーヒロイン(襲う方)として絶大な知名度を誇る『リング』の貞子。思えばここからJホラーの大躍進が始まったわけですが、その貞子がまたまた現代に甦り恐怖を振りまこうとする新作が登場。監督は『リング』で今の貞子を形作った中田秀夫です。カウンセラーの茉優の病院に収容された謎の少女。記憶がなく名前もわからないその少女の周囲に巻き起こる怪しげな現象に、翻弄されていく茉優。時を同じくして動画配信で再生回数を稼ごうとする茉優の弟・和真は、死者5人を出した団地の火災現場跡に忍び込んで心霊動画を撮ろうとするものの、そこは少女が住んでいた部屋だった……というお話。一応『リング』の作者である鈴木光司の小説『タイド』を原作にしているようですが、あらすじ読んだ限りでは別物っぽいですね。「ビデオを観たら死ぬ」から「動画を録ったら死ぬ」というネット時代らしい呪いへと変わってますが、再び貞子のルーツを辿るような話にも立ち返っています。

秋川茉優役である『ルームロンダリング』池田エライザがとにかくカワイイ!正面から横から斜めから、麗しいアップの連発。笑顔に涙に恐怖顔と、色んな表情のエライザが見られるので大変幸せな気持ちになれます。隠しきれないスタイルの良さも抜群。茉優の弟の秋川和真役は『ちはやふる』シリーズの清水尋也で、色々大変な目に遭います。和真のブレインである石田祐介役の『アウトレイジ』塚本高史はWEBマーケティング勤務という胡散臭さながら活躍するし、少女の母親役ともさかりえは狂気の表情がヤバい。あと佐藤仁美の演じる倉橋雅美は『リング』の女子高生と同じ人物を本人が演じているんですね。『リング2』以来約20年ぶりの登場なんですよ。これは熱い。

『貞子vs伽椰子』は凄まじく面白かったですが『貞子3D』辺りは未見なので久々の単独作鑑賞、何より元祖とも言うべき中田秀夫×貞子なので、そりゃあ『リング』の完成度を期待してしまうのもしょうがないんですが、まあ、難しいんだろうな……いや難しいと思いますよ貞子の扱いは。再度その出自や運命にフォーカスしても、そこからの組み立てとか、新鮮味をどう出すかとか、そもそも怖さをどう表現するかとか、かなりの難題ですね。ともかく池田エライザが良かったという点は強調しておきます。

↓以下、ネタバレ含む。








呪いのビデオが呪いの動画になるのはまあ時代的にも理解できます。と言うかそうせざるを得ないでしょうね。でもユーチューバーの動画を延々と見せられるのはかなりツラい。ファンタスティック・カズマ、つまらなすぎて超ツラい。顔面しわくちゃ攻撃ー!もツラい。一応姉との幼少時の思い出なのでそこは意味があるんですが、もうちょい何かなかったのだろうか……。そしてどの程度意識したかはわかりませんが、図らずもユーチューバーってキツいよ?ということを教訓的に描く結果に。大学まで辞めちゃうのでそれはそれで怖いんですけどね。他にもしっくりこない展開が多くて、病院のエレベーターで現れる車イスの老人に少女がビビる、という描写が何なのかよくわからないし、刑事の聴取中に少女が睨んだら部屋の隅にあるジオラマの砂地が渦を巻くというのも意味不明。超能力的な力なのか、貞子がやってることなのか?動画に混じり『リング』を彷彿とさせる謎の映像が流れるのには「おっ!」と期待しますが、別に謎のヒントとかではなくその後に起こることだったというのが一貫性に欠けます。

岩が崩れて老婆がその向こうに語りかけるというまるで怪獣でも甦りそうな序盤はちょっと面白かったですが、貞子をそういう怪物として描くには少女の存在が微妙なんですよ。結局あの少女は何者なのか、貞子の生まれ変わりかと思ったら貞子自体はあの子とは別に姿を見せるし、「同じ宿命を背負ったから」云々という説明がありましたがこれまたよくわからない。貞子を使い魔にしてるような感じなのかな?つまり貞子というスタンド能力か?少女に話しかけた女性が突然歩道橋から飛び降りるのにはゾワリと震えましたが、怖さはそこがピーク。それも落ちたと思ったら消えてるし、その後話しかけてきた警官は無事だしでよくわかりません。倉橋さんの元にテレビから貞子が出て迫ってきますが、井戸の登場が唐突すぎて、ファンサービスなのかな?と思ってしまいました。冒頭で炎のなか少女と貞子が並び立つシーンがありますが、炎に照らされた貞子の影がくっきり壁に映ってる時点で、霊でも何でもなく貞子の格好した誰かが立ってるとしか思えないんですよ。

貞子のデザインは独創的なこともあって散々ネタとしていじり倒され、その弊害としていまやホラーアイコンからギャグ一歩手前になってしまった気がします。正直、貞子より佐藤仁美の方が断然怖い。むしろそこをもっと掘り下げて、貞子に人生狂わされた女性が立ち向かうみたいな話にすれば熱いだろうに……でもそれは『ハロウィン』でやられちゃってるからなあ。わけのわからなさ、という意味では今回の貞子は怖くはないが不気味ではあります。和真をなぜか一週間以上捕らえていたとか、満月になったら出てくるという謎設定が付加されたりとか、わけわからなくて不気味。弟が連れ去られたら悲しみとか怒りとかな気がしますが、なぜか最後に茉優は病んでしまうというのも不気味パワーの成せる技、なのか?そしてなぜかやってくる貞子。もはや何がどう伝染してるのかよくわかりません。

長い歴史があるので、貞子の来歴が再び語られ直すのは良いと思います。ただ『リング』に比べればタイムリミットもないので緊張感は削がれ、大した謎解きもなく、肝心の少女は謎のまま。目だけバーン!など『リング』に重ねた点もありますが、だったらエンディング曲も「きっとくる~」にしてほしかった(CMでは使ってたのに!)。人の恐怖は、未知か襲撃か差異か焦りか喪失か狂気か、と様々な描き方があると思いますが、ハマらないとツラい。そしてホラーは怖くてなんぼだな、と改めて思い知らされます。

スポンサーサイト



トラックバックURL
http://cinemaisland.blog77.fc2.com/tb.php/1543-51627d93
トラックバック
back-to-top