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2019
06.03

燃えて救える心もあろうぜ!『プロメア』感想。

promea
2019年 日本 / 監督:今石洋之

あらすじ
振り切ってます。



突然変異の炎を操る人種「バーニッシュ」が誕生し大惨事を引き起こした「世界大炎上」から30年。高機動救命消防隊バーニングレスキューの新人隊員ガロは、バーニッシュ過激派マッドバーニッシュのリーダーであるリオとぶつかり合うが、彼をさらなる危機が襲う……。TRIGGER制作のオリジナル劇場アニメーション。

『天元突破グレンラガン』『キルラキル』の監督・今石洋之と脚本・中島かずきのコンビが新たに送る、完全新作アニメ。人体が発火する突然変異の人々「バーニッシュ」が起こす火災を鎮火、救命する消防隊「バーニングレスキュー」。その新入り隊員ガロと、テロ行為を行うバーニッシュの組織のリーダー・リオを中心に、地球規模の消化活動を描く近未来SFです。もう、超熱い!近未来の火消しvs発火人間という、余裕でアニメシリーズにできそうなスケールの設定と物語を、一本の映画に惜しげもなくブチ込むという贅沢さ。ものすごいスピード感で展開するストーリーはついていくのがやっとですがその勢いが快感で、動体視力に喧嘩を売る怒濤のアクションと相まってとにかく燃える(火事場という意味でも燃えてます)!そして期待に応えつつ予想を越えてくる際限ないスケールアップの破壊力!『グレンラガン』『キルラキル』好きなら求めるものが全部ある!こいつぁ魂が!燃えるぜ!

声の出演は主人公ガロ・ティモス役に『怒り』松山ケンイチ。『グレンラガン』のカミナを思わせる猪突猛進っぷりを、すんごいハイテンションで演じきります。宿敵リオ・フォーティア役には『BLEACH』早乙女太一。冷静さのなかに熱さを滲ませる、こちらも本職に負けないハマり方。そしてガロの上司にして恩人であるクレイ・フォーサイト役に『DESTINY 鎌倉ものがたり』『アフタースクール』の堺雅人。普通に喋る声はまんま堺雅人なので最初はちょっと違和感あったんですが、やがてそんな思いを吹き飛ばすほどの超怪演を見せてくれます。他、古田新太やケンドーコバヤシ、『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE 2人の英雄』の佐倉綾音、『Fate/stay night Heaven's Feel II. lost butterfly』小山力也、『劇場版 天元突破グレンラガン』小西克幸も。

熱い男が氷を纏い、冷徹な男が炎を吹き出すという対比の妙!シンプルと思わせて二転三転する展開には激燃え!ロボ、メカ、友情、合体、チームプレイ、口上に見得、差別に偏見、地球の危機と、あらゆる燃え要素をブチ込んだ渾身の出来!何か感想言おうとすると語尾に「!」が付く、そんな作品なんですけど、デザインの統一感とか歌入りでクールな音楽とか、なんかもう全部イイです。今石洋之×中島かずきの文句なしの集大成!!(やっぱり「!」が付く)

↓以下、ネタバレ含む。








オープニングのバーニッシュの大暴走を小気味良いカットで次々映し、一気に30年の月日を経過させてのバーニングレスキュー出動からリオ捕縛まで、初っぱなから息をもつかせぬスピード感。バーニッシュ対策の消火栓が至る所に突き出し、赤と青のライトで画面が照らされるなか、颯爽と現れる特殊メカのオンパレード、パワードスーツでガンガン殴り込み、きっちり救助も行い、纏を振り回す火消しのロマンを見せた上でロボによる大激突!もうたまらんシーンの連続です。見栄を切り口上を述べるガロには初めてなのに「待ってました」感がスゴいし、「俺は、俺たちは救命災害対策"チーム"だ」での連携も熱い。全体的に三角形など平面を組み合わせたようなデザインの統一感がありつつ、空間を最大限に活かしたアクションを大きく動き回るカメラで映すのは痛快。アニメーションならではの見応えです。

冒頭の世界同時発生的な発火事件「世界大炎上」、どう見てもストレスが爆発して発火したように見えるのがちょっと痛快ですらあるんですが、まあむっちゃ人が死ぬので大変。そのバーニッシュ、最初こそテロリストとして描かれ、リオもアーマードで登場なのでヴィラン感あるんですが、それを退治していくみたいな話かと思いきや全く逆なわけです。終盤に至るまでバーニッシュは虐げられる存在であり、そこにあるのは『X-MEN』的な悲哀。それが権力者により人体実験やホロコースト的なものにまで発展するという、実は結構エグい設定ですね。悪さをせず人間社会に溶け込む者まで炙り出される悲劇があったり、死ぬと灰になるという宿命の儚さもあったりして、実力行使もやむなしとなってしまうマイノリティの人々。争いがあれば裏切りもあり、結局は犠牲が増えるという、人類の歴史をなぞってみせる結構攻めた話なんですよ。人間がバーニッシュ化する理由が、プロメアという異次元の炎型生物のためだというのにはブッ飛びますが(それが面白いんだけど)、原因を明確にすることで救われる道を示すので飲み込みやすい上に、さらなるスケール感のアップにも繋がります。

リオからバーニッシュの実情を聞き、それまで敵対する側だったガロは真実を問い質すためクレイの元へ向かいます。この行動もそうだし、氷った湖でアイナに語って聞かせる本心など、ガロは勢いだけではなくちゃんと考える人物として描かれます。善と悪が錯綜する背景と自分の価値観を照らし合わせて、正しいと思うことを選択する、そこがこの真っ直ぐな話の主人公として実にしっくりきます。松ケンの全力の声もイイ。逆にエリスなどは真実を知りながら妹アイナのために他を犠牲にしようとする歪みがあるし、クレイは正しいと思うことにまわりを合わせようとする独善性の塊です。クレイは最初から何かありそうだなと思ったら案の定なんですが、豹変する堺雅人の、理性が狂気に変わる落差の激しさに度肝を抜かれるので全然オッケー。

燃える要素には事欠きません。例えば炎と氷の対比、熱い男ガロが氷を使って火を消し、冷徹な男リオが炎を操り氷を溶かすという、逆のエレメントを使うのが面白いし、この二人が共闘するのではという期待をしっかり実現しながらそれが炎と氷の合わさったようなロボ、リオデガロンに乗せるというのも最高。最強の火力を持つリオがドラゴンになったり、博士から託されたロボのデザインがやたら寸胴で正直微妙と思ったらこれをちゃんとカッコよく変形させたりするのも面白い。つーかあの博士、託すだけ託して後はおまかせかい。パワードスーツを出してやられ、ロボを出してやられ、それでもさらにスゴいのを出す、と段階的にどんどんスケールアップしていくのはまさに『グレンラガン』的だし、まさかのドリルまで出すサービスっぷりには感激ですよ。ガロが勝手に命名したクレイザーX(こっちの方が覚えやすい)が、惑星を開拓する装備を武器として使い、いちいち技名をドン!と表示するのも最高。

地球脱出船のエンジンを出力過多で壊すところにバーニッシュならではの力を使いながら、クレイもまたバーニッシュだったという力技で再びピンチになるという、押して押されての戦いは、よくまあこれだけ考えるなというほどパワーアップのバリエーションが豊か。リオデガロンがガロデリオンになって逆転とか、普通思い付くか?って感じですよ。忘れた頃にまた纏が出てくるのもぬかりないです。でもそんな際限なく続く戦いの中でも、ガロとリオが信頼を深め、エリスとアイナが助け合い、レスキューの面々もちゃんと活躍し、バーニッシュ問題までも解決へと導く、としっかり話は進んでいるのがスゴい。火消しの男が怨嗟の火を消し止め、クレイの野望という炎も鎮火させ、地球規模の危機から人類を救出するという、まさにレスキューな大団円には拍手喝采。元気になりたいとき繰り返し観たくなるような、魂に効く一作です。

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