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2019
05.20

肩に乗る相棒と謎を解け!『名探偵ピカチュウ』感想。

Pokemon_Detective_Pikachu
Pokemon Detective Pikachu / 2019年 アメリカ / 監督:ロブ・レターマン

あらすじ
ピカピカ?ピッカ~!



探偵をしていた父ハリーの死の知らせを受けて、人とポケモンが共存する街ライムシティにやってきた青年ティム。父の事務所にやってきたティムは、自分にだけ話す言葉がわかるポケモンのピカチュウと出会う。ハリーはまだ生きていると言うピカチュウと共に、ティムは父の足取りを追い始めるが……。日本の同名ゲームを実写映画化したアドベンチャー。

世界的人気を誇る日本発のゲーム「ポケットモンスター」シリーズの『名探偵ピカチュウ』をハリウッドで実写映画化。ポケモンはアニメ映画がアメリカでも大ヒットというのは聞いていましたが、まさか実写化までされるとは驚き。ちょうど『ポケットモンスター Let's Go! ピカチュウ』をプレイ中だったこともあり、ちゃんと映像化できてるのか不安もありましたが、これが予想以上の出来です。子供の頃はポケモンマスターを目指していたものの今はしがない保険調査の仕事に就く青年ティムは、ポケモン絡みの事件で命を落としたという父ハリーの捜索へ挑み、思いがけない大きな事件へと身を投じていきます。舞台は人とポケモンが共存する街ライムシティということで、思った以上に多様なポケモンが出てくるのが驚き。しかも実写との融合レベルが超ハイレベルで、ポケモンに触れたことがある人には夢のような世界。モンスターボールやポケモンバトルがない街という設定ながらちゃんとそれらも見せるし、ポケモンがいる世界というのを活かした話になっているしで、期待に応えつつ新たなポケモンワールドも見せてくれます。

名探偵と銘打っているので一応ミステリー的に謎を解くという体裁ではありますが、正直話としては粗いところもあります。でもそれを補って余りあるポケモン愛なんですよ。特に帽子もキュートな喋るピカチュウ、もふもふの毛並みにくりくりの瞳で、おっさん声にも関わらず可愛すぎて萌えしぬ!声を当てるのは『デッドプール』のライアン・レイノルズなので、その可愛い顔で何ゲスいこと言ってんだ、というギャップも面白い。そんなピカチュウを伴い父の足跡を辿るティム役は『ジュラシック・ワールド 炎の王国』ジャスティス・スミス。見た目若いんで高校生くらいかと思ったら保険調査員の21歳の役でした。ティムの肩にピカチュウが乗ってるの超うらやましい。ティムと行動を共にするジャーナリストのはしくれルーシー役は『スリー・ビルボード』キャスリン・ニュートン、ヨシダ警部補役に渡辺謙、ライムシティの代表にビル・ナイ。ビル・ナイはこの役を機にポケモンにハマったらしい、というのがほっこりします。また本来のピカチュウの声にはアニメ版と同じ大谷育江がそのままピカピカ喋ってくれます。

吹替版ではティムの声に竹内涼真ですが、彼はポケモントレーナー役で本編にも一瞬出てます。あとピカチュウ役が西島秀俊なんですが、渾身のピカピカ~は頑張ってました。ポケモンごとの役割とかほのおタイプはみずタイプに弱いとかも表現しててポケモン面は文句なし。というかそこが完璧なので他の不満があっても帳消しですよ。監督のロブ・レターマン自身もポケモン好きらしく、とても誠実な実写化となっています。本作を観て劇場出たらポケモンいなくて絶望した、という話も見かけたましたが、僕はむしろ逆で、あらゆる人の隣にポケモンが歩いてる姿が見える気がしましたよ。見えるよピカチュウ~!

↓以下、ネタバレ含む。








■夢のポケモンワールド

ポケモンの種類もいまや800種類を越えるので、どのポケモンを出すかの選択はなかなか大変だったろうなと思います。それでも各場面で出演したポケモンをしっかりシーンに活かしてるのがエラい。ポケモンを凶暴化するガス「R」で暴れだすエイパムのシッポ攻撃と数による追いかけっこでピンチを描き、見た目の迫力がさすがのドラゴン系なリザードンとのバトルで見せ場を作ります。ドダイトスを山サイズにしての怪獣映画のスペクタクルや、地面が折り畳まれるというびっくり映像などは予想外のスリルで、「ドダイトスの庭」という言葉が二回目で別の意味で使われるのも面白い。情報屋として登場するバリヤードはパントマイムを現実にするという恐るべき能力を見せるし、ルーシーの相棒コダック(鳴き声は英語名の「psyduck」なのね)はストレスからの念力による威力が凄まじい。監督はコダックとバリヤードが好きだとのことで、この2体の描写は力入ってますね。たぶんやたら出てくるドゴームも好きなんじゃなかろうか。

モンスターボールでの捕獲はいちいち描くと話が進まないせいかライムシティでは使われないという設定ですが、冒頭でちゃんとやってくれます。ボールのスイッチを入れたときラインが光るのがおもちゃとは違うリアル感があってワクワクしますよ。草原にカラカラが一匹泣いてるの結構怖いですけど。カラカラは終盤に骨で手をコンコンして落とそうとするのも地味に怖いな……。ポケモンバトルも違法スタジアムでしっかり見せてくれますね。カメックスの重量感、ガメラみたいに回るのとか最高だし、ゴースト(の進化系かな?)の気体のような動きなど異なるタイプもカバー。また、コイキングがやはり役立たず扱いで出てくるのも嬉しいんですが、それがギャラドスに進化するというポケモン進化の要素まで見せてくれます。そして何より「ポケモンと共存する街」というのを具現化した街の描写の数々が良いですよ。ゼニガメが消火活動を手伝ってたり、ヒトカゲが調理のコンロ代わりだったり、ガーティが警察犬代わりなのか警官に連れられてたり。飛んでる鳥はピジョンだし、カイリキーは交通整理してるし、カビゴンはやっぱり寝てるし、ベロリンガのベロがベロリンガだしで、至るところにポケモンがいて馴染み方が半端じゃない。フシギダネ可愛い!ウィンディがデカい!今一瞬見えたのラフレシアの頭?などとポケモン探しだけで楽しいです。


■謎が謎を呼ぶ?

ちゃんと謎を解くという筋道で進めるため、ファミリーアドベンチャーながらミステリー要素もあるし、謎を探るなかでポケモンを使った見せ場もあって、話はテンポよく進みます。ただ、じゃあ話の展開として上手いかというと微妙なところも多く、謎を解く話なのに謎が増えるという奇妙なところもあります。ではせっかくなのでその謎を解いてみましょう!ピカピカ!まず警察がハリーの遺体も確認してないのに「死んだ」と言い張るのはなぜか?そこはピカチュウも指摘してるし、結局ミュウツーが体を隠していたので見つかってないわけです。これはビル・ナイが警察に手を回して死亡事故として処理するようにしていた……いやでもミュウツーの行方を知るためにハリーを探していたはずなので死んだことにする意味がないな……これは迷宮入りだな……。ハリーの知人である渡辺謙のヨシダ警部補も何も知らなかったし。と言うか渡辺謙は思わせ振りにキーパーソンぽく出てくるけど特に何もせずに終わるという『GODZILLA ゴジラ』パターン多くないすか?(だがそれがいい)

次の謎、ルーシーが序盤で「ハリーは何か隠していた」と言う根拠は何か?これはバリヤードから聞いた、ということでしょうか。パントマイムでその情報を得るのは大変そうだが……わからないので次、その直後ティムが父の事務所に入ったら無人のはずなのにテレビが点いている謎。まあ消し忘れ、ですかね……。真犯人がポケモンと人間を融合させて何がしたかったのかもわりと謎ですが、これは一億総ポケモン化することでポケモンだらけで楽しいな、ということでしょう。違うか。違うな。あと融合したときポケモンの精神はどうなっているのか、これは人の精神の陰でポケモンは眠りにつくってことになるのでしょう。多分。またティムにだけピカチュウの声が聞こえたのはなぜか。ティムを来させるためにミュウツーが振るった力なのか?でも「息子を連れてこい、記憶はなくすけど」というのも随分な無茶振りだし、そもそもピカチュウはティムを連れてくること自体を忘れてるし……まあティムが「遺伝じゃないか」と言ってるのでそれで!(めんどくさくなってきた)最大の謎は、真犯人のミュウツーとの融合がなんと頭の装置を外すだけで解除できるという無防備さなのに、何も対策をしてないのはなぜか……いやもうなんか、ここまでマヌケな悪役も久し振りです。

■父と息子と

というわけで、謎(と言うか穴)も多いわけですが、何度も言うようにポケモンがいるというだけで楽しいので大して気になりません。それにティムとピカチュウが徐々に通じ合っていくのは良い感じで、「腹の底から」という台詞や、最初はやらなかったハグをするシーンなど、繰り返しを上手く使うことでじわりとさせます。崖からもビルからも落ちそうになる落下の危機まで繰り返すのはアレですがまあいいですよ。父から見捨てられたと思いポケモンも遠ざけていた息子が、ポケモンを通して父の愛情を知るわけですね。何よりピカチュウの可愛らしさ、眉間にシワ寄せたりニヒルな笑いをしたりとおっさん的な表情までが可愛いのでそれだけで癒されます。アゴの下なでられて簡単に陥落しちゃうし、それでいてボルテックスの力強さ!ケッコウガとの遭遇は『エイリアン』的スリラーなのが愉快だし、ミュウツーはさすがのラスボス感がたまらないし(ちょっとフリーザっぽいけど)、メタモンは変身しても目がメタモンなのが怖いですが、T-1000かミスティークかというくらい変身能力を活かすのでナイスです。

ピカチュウに父親が移ってるというのは「最後にもう一つ解決することが」でようやく気付きました。本来ならもう少し早く気付きそうなものですが、奥さんの写真を見ても誰だか知らない、というのがミスリードになってるんですよ(いいわけ)。思えばそれって悲しいことなんですが、記憶をなくしていてもティムのことは見捨てず助けようとするのが親としての本能だったのでしょう。ちなみにピカチュウが人間に戻るとき、演じるのは誰になるのかな、などと考えてしまいましたが、そりゃまあライアン・レイノルズになるよね。でもレイノルズ=ピカチュウというイメージが強すぎて全く思い付かなかったですよ。これもまたミスリード……いや、それだけピカチュウにムチュウになってただけだな……。エンドクレジットではゲーム音楽のアレンジ曲をバックにゲームやアニメのイラストと日本語キャプションが舞うというのも最高。ポケモンへ力を入れすぎたせいか話の細部は若干ラフですが、愛があれば許せる映画もあると思うのです。

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