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2019
05.06

叫べその名を!ダサくても!『シャザム!』感想。

shazam
Shazam! / 2019年 アメリカ / 監督:デヴィッド・F・サンドバーグ

あらすじ
おしっこどうする問題(策あり)。



身寄りがなく何度も里親を変えながら実の母親を探し続けていた14歳の少年ビリー。ある日ビリーは謎の魔術師からスーパーパワーを与えられ、筋骨隆々な大人の姿のヒーロー「シャザム」に変身できるようになる。ビリーは新たな里親の家で知り合ったヒーローに詳しいフレディとパワーを使って遊び回るが、そこに悪の科学者Dr.シヴァナが現れ……。DCコミックスの「シャザム」を映画化したヒーロー映画。

見た目は大人、中身は子供という某名探偵とは真逆なDCコミックスの異色ヒーロー、シャザムの実写化。「シャザム!」と叫ぶことで変身、超人的なパワーを持ち稲妻を発することもできる、でも外見はおっさんというシャザムことビリーが、悪ノリで遊んでいるうちにヤバい敵に狙われ、本物のヒーローへと変わっていくお話。これがすこぶる面白い!ビリーは幼い頃に親からはぐれ里親の元を転々とするという重めの背景があるものの、パワーを試したりネットにアップしたりと基本コミカル。ヒーローとは言え調子に乗りまくるし信念もないお子様なので「世界を救う」だと大げさすぎるんですが、これが「家族のために本当のヒーローになろうとする」という実に納得できる展開をしていきます。加えて、観ながら「こうなればイイのに」と思ってたのをさらに越えてくる展開が激熱!

シャザム役は『マイティ・ソー バトルロイヤル』ファンドラル役や『塔の上のラプンツェル』フリンの声、ザッカリー・リーヴァイ。本当に中身が14歳に見えるのがスゴくて『ジュマンジ ウェルカム・トゥ・ジャングル』のJKにしか見えないジャック・ブラックや『アントマン&ワスプ』の母ちゃんにしか見えないポール・ラッドに張ります。見た目のマッチョ度と行動のガキっぽさのギャップが実に面白い。ビリーを演じるアッシャー・エンジェルやフレディ役の『IT イット “それ”が見えたら、終わり。』ジャック・ディラン・グレイザーらの子役たちが個性的なのも良かった。また敵となるDr.シヴァナ役の『キングスマン:ゴールデン・サークル』マーク・ストロングがほぼマーク・ストロングのまま飛んだり電撃出したりするのがなんか愉快(真面目な役です)。

監督は『ライト/オフ』『アナベル 死霊人形の誕生』などホラー映画が多いデヴィッド・F・サンドバーグですが、ホラーテイストの演出もありつつコメディの見せ方も思いの外良くて感心。主人公と敵役の対比が絶妙なんですよね。スーパーマンやバットマンのDCFUに連なるヒーローものなので「ヒーローが存在する世界」の話なんですが、『アクアマン』同様単独で楽しむことも可能だし、それでいてユニバースも視野に入れたネタも楽しい。予想外に『ロッキー』の偉大さが出てくるのもたまりません。シビアさとコミカルさのバランス、クライマックスの熱量と、万人にオススメしたい一作です。

↓以下、ネタバレ含む。








■子供らしさとヒーローのギャップ

世界を滅ぼす七つの悪、これを封じ込めた最後の魔術師が力も弱まっているため早急に後継者を探す必要がある、というわりとシリアスな背景が序盤で語られます。何がシリアスって、特殊な技術を持つ魔術師の世界も職人と同じように跡継ぎ問題が大変なんだなという世知辛さですね(そこかい)。DC世界での魔術師というのはMCUの『ドクター・ストレンジ』などとは概念が異なるのかあまり魔法っぽさがないんですが、超人的なパワー自体が魔術によるものということなんですかね。ちなみにこの魔術師役、ヒゲもじゃでわかりにくいですが『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』『キャプテン・マーベル』のジャイモン・フンスーです。ザッカリー・リーヴァイもそうですが、まさかのMCUに続きDCFUにも登場。ともかくこの魔術師さん、50人以上召喚して全員を引っかけ面接で落とすという厳しい審査基準を守っていたのに、シヴァナに「目」を奪われたあとはビリーに対してすぐに採用決定。もう「目」をテストに使えないからなのか、力が尽きそうだったからかなのか?結果だけ見ればビリーの資質を見抜いたからということなんでしょうが……まあいいか。

ともかく本来はなにやら格式高いわけですよ。「SHAZAM」という名前も「S=ソロモンの知恵」「H=ヘラクラスの剛力」「A=アトラスのスタミナ」「Z=ゼウスの万能」「A=アキレスの勇気」「M=マーキューリーの神速」という意味だそうでむっちゃ仰々しい。ゼウスだけで最強では?という感じもしますが、ともかく凄い力を持つということですね。そんな力を受け継ぐのが14歳の少年ビリー。サバ読んで15歳とか言っちゃうくらいには強がりだし、シャザムって名前がダサいとか言っちゃうし、なったらなったで調子に乗るしで大変心許ないという、『スパイダーマン ホームカミング』のピーターでさえもう少し頑張ってたのにちょっと大丈夫かこれと心配になるレベル。フレディと一緒にパワーを検証していくところは結構まともというか実は理にかなっているんですが、それをすぐ動画に撮って上げるというのがイマドキで、後先考えてない幼さがあります。フィラデルフィアが舞台ということで『クリード チャンプを継ぐ男』にも出てきた階段上からの眺めのショットがあったりする『ロッキー』オマージュは最高ですが、調子に乗って「アイ・オブ・ザ・タイガー」に合わせての電撃ショーとか爆笑です。そう言えば原作ではシャザムには虎の友達がいるそうなのでその辺りも引っ掛けてるのかも。

ヒーロー名を色んな名前で呼んだり、ビルを飛び越えようとして激突したり、クイーンの「ドント・ストップ・ミー・ナウ」が流れたり(この曲使う映画は何本目だろう)とまあ愉快なんですが、そんなビリーたちの珍騒動もビリーがフレディと別れてからは徐々に軽薄さを増していき、特に放った電撃が当たったバスを自ら救うという図らずも自作自演になる場面によって、ギャップの面白さから一転ヒーローへの疑心が煽られます。そしてそこに現れたシヴァナから逃げ惑うしかないビリー。「空を飛ぶのと透明になるのどっちがいいか」で透明を選んだようなものであり、他者との繋がりを拒否したために過剰なパワーに振り回されるさまは、フレディが「ヒーロー一人では独りよがりになる」と言うのをそのまま体現してしまいます。これはそれまで一人で生きてきたビリーがフレディや家族に心を開けないでいるからですね。シャザムのときはやけにはしゃいでいてビリーのときと若干キャラが異なりますが、それもいつもの自分じゃないから虚勢を張らずにいられるということなのでしょう。この「心を開く」というのが重要な要素になっていくのは、魔術師がビリーに「心を開いた」と言うところから既に伏線として語られているんですね。


■ヒーローとヴィランの対比

伏線という点ではビリーとシヴァナの対比も効いています。冒頭が主人公かと思ったらサジとか呼ばれるので名前が違う?と思ったらヴィラン誕生のきっかけが描かれていたわけですね。この父と兄が占いボールで「特に何者にもなれない」と出たのを鼻で笑うのが酷い。結果シヴァナは魔術師を探しだして魔物の力を手に入れ(あそこ、どこでもドアを実写化したみたいなのがちょっと愉快)、自らの家族を葬るという暴挙に出ます。オフィスで魔物たちに襲わせるシーンはホラー映画的演出が効いていてシヴァナの冷酷さが際立ちますよ。一方のビリーはようやく見つけた母親が当時17歳で苦しんでいたとは言え、わざと自分を置き去りにしたことを知ってしまいます。何年も家出を繰り返しパトカーをゲットしてまで個人情報を探していたビリーに対し「今は都合が悪い」と言って話を切り上げる母親は、去っていくビリーに連絡先を聞こうともしないんですよ。だからビリーもシヴァナも共に孤独であったわけですが、シヴァナは魔術師からも拒絶されたことでその負の感情を野望に変えてしまいます。

ビリーはシヴァナに「気持ちはわかる」と言うけど、孤独にとらわれた思いの重ねた年月もあって、それは恐らく理解できるものではなかったことでしょう。占いボールと方位磁石キーホルダーという共に家族との繋がりに関するアイテムが出てきますが、一方は恨みの記憶、一方はすがるような希望、と意味合いも異なります。何よりビリーにはまだ守るべきものがある。やさぐれた自分にそれでも声をかけてくる新しい家族、それは母を求めるビリーには形だけのはずだったのに、本当に独りになったときにその存在の大きさに気付くわけです。兄弟たちを人質に取られ、ヒーローの力を奪われそうになるビリー。でもそんなビリーを救うため魔術師の宮殿にまでやってくる兄弟たち。そしてそんな彼らの行動が「心を開く」という言葉の意味するところ、そして空の玉座の理由として明らかになっていくわけですね。


■ヒーローは一人じゃない

兄弟たちがビリーの母親の居所を探し当てたシーンで、彼らがシャザムをサポートするチームになったら熱いのに、なんて思ってましたが、サポートどころか全員でヒーローチームになるという展開は激熱!原作知らなかったので余計に震えましたよ。おしゃべりちゃんでハグ好きのダーラは成長してもカワイイし、メアリーはスカートヒーローとして活躍、無口な巨体のペドロはパワー系、ゲーム好きのユージーンは「波動拳」とか言ってパワフル。何よりビリーの力を「うらやましい」と言っていたフレディが杖なしで歩けるようになったことには泣きそう。そして魔物たちと戦いながら遊園地に残った人々も救うという、ヒーローとしての条件さえもクリアする姿には喝采です。「シャザム!」と叫ぶだけでヒーロー姿のオン・オフが切り替わるのも上手く使ったり、水の中で叫んでも変身できないというピンチがあったり(大気に伝わせる必要があるのかな?)、クライマックスへの畳み掛けも怒涛。ずっと熱かったです。

前半は若干テンポが悪いところもあったり、魔物のデザインが地味だったりとちょっと気になるところもなくはないですが、正しくヒーローとなったシャザムことビリーと兄弟たちの大団円には言うことなし。しかもラストカットのキレ味!ちゃんと前半でスーパーマンの話を振っていたりバットマンの武器を出したりはしてましたが、イヤいつの間に友達になったの!?エンドクレジットでのジャスティス・リーグの面々と絡むシャザムのアニメーションも楽しいし、エンドロール後に魚と会話できるかの検証で海底の王を小馬鹿にするシーンまであったりして、ジャスティス・リーグ参戦いつでも!みたいな勢いも痛快。エンドクレジット後に獄中のシヴァナに話し掛ける虫?(最初に宮殿のところにいた?)みたいなのが流れるので、既に製作が決まっている続編もその辺りから展開するんでしょう。何はともあれ最年少ヒーローと兄弟たちには今後も期待です。

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