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2019
05.01

新たな惨劇、過去との決着。『ハロウィン』感想。

Halloween_2018
Halloween / 2018年 アメリカ / 監督:デヴィッド・ゴードン・グリーン

あらすじ
トリック・オア・ダイ!



40年前のハロウィンの日に起こった凄惨な殺人事件。犯人の「ブギーマン」ことマイケル・マイヤーズは刑務所に収監されていたが、ひと言も話さないままだった。一方で事件の唯一の生き残りである女性ローリーは、再びマイケルが現れたときに備えながら生きていた。そんななかハロウィンの前夜に再び惨劇が起こる……。ホラー映画『ハロウィン』の続編。

スラッシャーホラーの走りと言われるジョン・カーペンター監督の1978年『ハロウィン』。シリーズは8本+リメイク2本かな?とにかく長く作り続けられているホラーシリーズの一つですね。今回は元祖である1作目の40年後を描いた続編とのこと(リメイクではない)。実はこのシリーズを今まで一本も観てなくて、せめて1作目を観てからと思ったもののそれも叶わないまま本作に臨んだんですが、それでもスゴく面白かった!かつてハロウィンの夜に5人を殺害した殺人鬼ブギーマンことマイケル・マイヤーズ。しかし精神病棟から輸送する車が横転、マイケルは街に解き放たれることに。40年が経ち再び現れる殺人鬼が引かれるように向かうのは当時の生き残り女性ローリー。しかしローリーも手をこまねいていたわけではなく、この日を予期してあらゆる準備をしていた、というお話。これは言うなれば、隠れ上手のマイケルと武装化老女ローリーの、スリルと恐怖で繋がった赤い糸!空間の使い方と間の取り方の怖さが秀逸だし、怒濤のクライマックスにはアガりまくり。時を越えた因縁が血塗られたハロウィンとしてまたもや顕現します。

ローリー役は1作目でもローリーを演じたジェイミー・リー・カーティスが再登板。この設定とキャスティングは熱いですね。ジェイミー・リー・カーティスと言えば『トゥルー・ライズ』の奥さん役の印象が強烈なんですが、それもあってただの餌食にはならないぞという雰囲気が抜群。ローリーの娘カレン役は『アントマン』の元妻役ジュディ・グリア。孫のアリソン役アンディ・マティチャックと共に渦中へと巻き込まれていきます。この女性陣が皆イイ。ジョン・カーペンターは製作総指揮として関わり、音楽も担当。この音楽がまた良いですよ。製作が数々のホラー作品でノッてるジェイソン・ブラムというのがもはや信頼の証です。

この日のために生きてきたかのようなローリーとマイケルの両者が、運命にケリをつけようとする緊張感が凄まじい。娘と孫へ連綿と受け継がれる恐怖に見る、時の流れという味わい。泣き叫ぶだけではない女性たちの強さという現代的アップデート。喋らないことが逆に多くを思わせるブギーマンの存在感。王道なのにフレッシュです。

↓以下、ネタバレ含む。








取材のためマイケルが収監された精神病棟を訪れ、その後ローリーにも取材を行おうとするジャーナリストの二人、デイナとアーロンによって、事件の骨子とマイケル、ローリーの二人の関係も描かれることにより、シリーズを未見であってもスムーズに入り込めるのが上手い。加えて彼らが襲われるシーンによりマイケルの怪力ぶりと容赦ない殺戮を描き、結果的に二人はマスクをマイケルにもたらす役割も担っているわけです。トイレで用を足してるときに襲われるというイヤさも格別。恐怖演出はびっくらかしがあったり、出るか出るかと思わせて出ない、いないと思ったらいるという王道もありつつ、空間の使い方、間の取り方、なんでもないのに何だか怖いカットというのが随所にあって良いですよ。マイケルが野に放たれた序盤では、家々を通り抜けハロウィンに沸く通りを歩きまた別の家に侵入して殺害、というのをワンカット長回しで映す臨場感、ハンマーからナイフへと武器がランクアップしていくスリル、子供も容赦なく殺す危険度なども描かれます。でも泣き叫ぶ赤ん坊は殺さないというのが意外。脅威にならないからかな?

ブギーマンことマイケル・マイヤーズの描き方として独特な点は、過去がほとんど描かれないことじゃないですかね。6歳で姉を殺し、ハロウィンに5人を殺害した、くらいしかわからない(今回はその倍以上殺してますが)。過去作観ればわかるということなのかもしれませんが、あえて語らないことにより不気味さが増しています。そしてもう一点、一言も喋らないということによる理解の及ばなさ、そこに常人との決定的な隔絶が示されます。マイケルに深入りしすぎて取り込まれてしまった医師が「これが殺しの快楽か」と呟きますが、その彼が死に際にマイケルに「何か喋ってくれ」と言うのは、結局は言葉で理解しようとした常人の範疇を越えてないということでしょう。しかしローリーだけはマイケルと言葉を交わすことなくこの日が来るのを恐れ、そして半ば待っていたのです。まるで彼女だけがマイケルと対峙する資格を持っていたかのように。なぜマイケルがローリーの元に向かうのかというのは「捕食者としての自覚と狩られる恐怖」という言葉がヒントなのでしょう。狩る側が思わぬ逆襲にあったことでひょっとしたら恐怖というものを抱いたかもしれない、それを打ち消すために殺すという関係性。そこに運命を感じさせる深みがあって良いです。移送されるまで40年機会を待っていたわけで、もはや恋愛感情に近いのではという妄想さえ抱かせますよ。

殺戮シーンはわりとサラリと流していくので、残虐ではあるけど焦点は別にあるというか、停滞しない感じになってます。とは言え、ナイフで後ろから首を突き通す、ナイフで壁に張り付ける、頭を踏み潰す、殺した警官の顔でジャク・オ・ランタンを作るなどそれなりにやってくれるブギーマン。マイケルは隠れるのが上手いですが、なかにはクローゼットに入りきらなくてバレるとかお茶目(?)なシーンも。でもマイケルより当時を知る保安官の「見つけた、轢き殺す」の方が狂気的だったりするのが面白いし、何といってもローリーの準備万端ぶりが最高。射撃の腕前も相当なものだし、家を要塞に変えているというのも凄い。一見常軌を逸してますが、周囲の目に耐えながらも本当の危機を知る者だけができる準備ってことだし、過去の恐怖から不意に泣き出してしまうというのも心の傷をよく表していて、それらの点で『ターミネーター2』のサラ・コナーを彷彿とさせます。マイケルが部屋にいないことを確認するたびに部屋のシャッターを下ろしていくことで隠れ場所を防いでいくというのが、かくれんぼ好きのマイケルに対して合理的な有効策になっているのなどは唸りますよ。

ローリーがマイケルを恐れるあまり娘のカレンとの関係がこじれ、孫のアリソンまでが巻き込まれていくのがドラマとしても秀逸。この三世代の女性たちだけが最後にマイケルと対峙するわけで、かつてのホラー映画では襲われるばかりだった女性がここではメインの対決者として生き残るわけです。そしてカレンの泣き叫んだふりをしての「ガッチャ!」が超シビれる!娘を守ろうとする母、からの母と娘の共闘、そしてカレンの「牢じゃない、罠よ」の台詞も熱い。その反逆の意思は最後に車に乗ったアリソンがナイフを握りしめたままという姿にも引き継がれているのです。というわけで、1作目からの因縁に見事にケリをつけた本作、関係者が軒並み殺られるなかアリソンの彼氏だけが無事なのは釈然としませんがまあそれは置いといて、ルーミス医師などの前作との繋がりも描き、ホラーの王道を継ぎつつ新たな『ハロウィン』を到来させた出来に拍手です。

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