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2019
04.14

受け入れて、創り出そう。『レゴ(R)ムービー2』感想。

legomovie2
The Lego Movie 2: The Second Part / 2019年 アメリカ / 監督:マイク・ミッチェル

あらすじ
頭にこびりつく!



平和が訪れたと思われたブロックシティに新たな脅威が現れて街は荒廃、人々が荒むなか、エメットだけは相変わらず陽気に過ごしていた。しかし宇宙人にルーシーたちをさらわれてしまったエメットは、仲間を取り戻すため敵地へと乗り込む。しかしそこで彼が見たものは……。ブロック玩具「レゴ」の世界をアニメ化した『LEGO(R)ムービー』の続編。

レゴだけで作られた世界を舞台に、レゴフィグのエメットたちがおしごと大王から世界を取り戻すアドベンチャー『LEGO(R)ムービー』。ものづくりのワクワク感とレゴならではの特性を活かした演出が素晴らしかった物語に続編が登場です。前作監督のフィル・ロード&クリストファー・ミラーは製作・脚本に回り、『シュレック フォーエバー』のマイク・ミッチェルに監督をバトンタッチ。前作の衝撃&涙なラストが文句なしの出来だったので一体そこからどう続けるのかと思ってましたが、しっかり前作ラストのフリを受け、そうきましたかという見事な展開。「すべてはサイコー」な未来が開けていたはずがそれが欺瞞だったというショッキングな序盤、それでも幸せな日常を送ろうとするエメットを襲う予想外の別離。しかしツラいこともあると認識した上で、それでも諦めない「サイコー」というものが描かれるんですね。自分を変えるべきというプレッシャーとの対決、そして神世界での意外な結末。難しかったであろう続編の構築を見事にものにしていてAwesome!

エメット役は『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』クリス・プラットですが、今作ではよりクリプラの芸達者ぶりが発揮されます。ルーシー役に『パワーレンジャー』エリザベス・バンクス、ルーシーには実はとんでもない秘密が!バットマン役に『ミュータント・ニンジャ・タートルズ:影(シャドウズ)』ウィル・アーネット、前作でも活躍したバットマンは今回はドラマ的に魅せてくれて、これは『レゴバットマン ザ・ムービー』の続編でもあると言えるでしょう。ベニー役の『パシフィック・リム』チャーリー・デイ、ユニキャット役の『ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書』アリソン・ブリーも続投。また新キャラでは、おしごと大王に代わる対抗勢力わがまま女王はその造形に関わる性質が秀逸。メイヘム将軍はあれですね、『スター・ウォーズ フォースの覚醒』のキャプテン・ファズマっぽいですね。

作って壊してのレゴの特性という点では前作でかなりやっているので、正直前作ほどの目新しさはないものの、それでも様々な工夫が凝らされていて素晴らしい。そして街を襲った宇宙人との意外な展開、そこに隠されたある思いには泣けます。ダクトの人とか落ちる人などの映画ネタも満載で爆笑。そしてエンドクレジットが凄いぞ!最後までサービス満点です。

↓以下、ネタバレ含む。








前作では終盤で明らかになる「神」の存在という大仕掛けがとんでもない感動を生んだわけですが、その続編となれば当然そこは回収した上で続けなければならない、というわけでラストに登場した謎の宇宙生物が初っぱなから大暴れ。いや別に謎でもないんですが、要するに父親が自分のコレクションであったレゴ世界を息子に解放したのが前作の結末で、そこに幼い妹も仲間入りしたところの続きから今作は始まるわけですね。初めから実写映像が出てくるので、今回は神視点がどう絡んでくるのかというのがポイントになるわけです。なのでデュプロ星人とか笑いますよ。ちなみにデュプロというのは幼児向けのパーツがデカいレゴのこと。つまり幼い妹は幼児ならではの傍若無人さで、兄のレゴ世界を破壊しまくるわけですね。そしていきなり5年後!という前作のノリを経て、ブロックシティはボロボロシティに変貌し、前作と同じような朝から始まるのに人々は皆ワイルドで荒み世紀末感が半端ない。成長した息子くんは絶対『マッドマックス』観て「かっけー!」とか思ったんですよ。あの自由の女神を見る限り『猿の惑星』も観たかも。

それにしても怒濤の勢いでブッ込まれる映画ネタの勢いがスゴいです。『マッドマックス』はまだ序の口、酒場から出てきた奴らが007役者は誰が一番かでケンカするとか(レイゼンビーって誰?はヒドすぎて笑う)、「アルママゲドン」を予言して落ちていく『ロード・オブ・ザ・リング』のガンダルフ(最高)とか、『ハリポタ』絡みで間接的なハッフルパフ・ディスとか、歴代バットマン役者の名前を歌にする(ヴァル・キルマーの名まで!)とかやりたい放題。スーパーマン(声はチャニング・テイタム!)やアクアマン(声はジェイソン・モモア本人!)を先頭にジャスティス・リーグの面々が立ちあがるという熱いシーンに一応グリーンランタン(声はジョナ・ヒル!)も入れてくれるのが親切だったり、コミック初期の姿のアクアマンや歴史が長いだけに3種類もあるワンダーウーマンが出てきたり、それだけDCを推しながら「マーベルは来ないって」とか言っちゃうのもふざけてます。タイムスリップの言及シーンでは『バック・トゥ・ザ・フューチャー』『ビルとテッドの大冒険』『ターミネーター』と網羅、未来が変わって姿が消えていくのを「バック・トゥ・ザ・フューチャー現象」の言うのも可笑しい(原語では「back to the futuring」って言ってたかな?)。『ジュラシック・ワールド』のクリプラのステイシーンをバックにクリプラが喋ってるというメタな場面も。ブルース・ウィリスは3回くらい出てくるし「ダクトに住んでるわけではない」っていう『ダイ・ハード』ネタをブルース・ウィリス本人が声を当ててるというのが豪華。あと「『マトリックス』は大人の観る映画」という台詞、息子くんが「おれはそんなクールな映画も観てるぜ」みたいな子供の背伸び感があってイイ。

この荒廃した世界で、エメットは唯一見た目も性格も全く変わらず、呑気を通り越してバカじゃなかろうかというほどのお気楽ぶり。そんな柔軟に世界を受け入れることができるのが、エメットが自由な発想を生み出す根拠でもあるわけです。ルーシーとのマイホームまで建てて(見た目が小さいのに部屋数むっちゃ多い)、また3段ソファを作るんかいと思ったらロボに変形するという工夫も見せ(速攻やられるけど)、でも仲間がさらわれたら皆に責められるという相変わらずの人望のなさ。経験は積んだけど何も変わっていないエメットですが、でもこの変わらないことを「受け入れる」話でもあるわけですね。ルーシーや周囲から「自分を変えてタフになれ」と言われて変わろうとするエメットの前に現れる謎のアウトロー、レックス・デンジャーベスト。この命名のダサカッコよさが息子くんの中二っぽい子供っぽさでもあって笑うんですが、彼こそがドライヤー星雲での孤独からタフに生まれ変わったエメットの未来の姿なわけです。しかしそれは恨みと怒りと哀しみという負の感情が作り上げた捻れた姿であり、変わったというよりは変わり果てたというべきもの。そんなレックスにそそのかされて、エメットは式場を破壊し全てを台無しにしてしまいます。

それは自分だけの世界に固執した息子くんが妹を受け入れなかったことによる悲劇。まさに「戦争は心を固くする」なわけです。結果、初登場の母親の命令でレゴはおもちゃ箱行き。母親がレゴを踏んづけて痛がるという『gifted ギフテッド』にもあったネタをさらに重ねてくるのは笑いますが、妹ちゃんの「一緒に遊びたかったの」には泣けます。思えばわがまま女王が不定形で何にでもなれるのは、兄が「なんでも作れる」と言って妹にレゴを渡したからなわけですね。そしてわがまま女王の元の形はハートであるという伏線。冒頭で食らいついたハートを、つまり兄からもらった心を妹はずっと大事にしてきたということです。一人で遊び自分だけの世界に浸るのに比べて他者と交わることは「すべてはサイコー」にはならないかもしれない、でもルーシーが歌うように「心の奥で信じてる」「手を取り合えばなんでもできる」という考えに至ることが息子くんの成長として描かれるんです。前作のメインテーマを一度否定しながら、その否定を受け入れた上で「変えること」「変えないこと」を選択していく。これは変わりゆく人生のステージそのものであり、そこまで描こうとするシナリオには唸らされるし泣かされます。

そうしてバットマンは己の孤独さを受け入れ、同じように孤独に耐えてきたわがまま女王という相手を見つけます。メイヘム将軍は他者と隔絶するマスクが脱げて本当の姿が晒されたときに救いを求め、ルーシーはそんな彼女に手を差しのべます(あんな顔が可愛いレゴフィグがいるんかな?)。そしてエメットはレックスと対決し(レゴフィグ同士でぶつかってもカチャカチャしか鳴らないのが笑う)、変わらなければいけないという呪縛から逃れます。一方未来を変えたことで消えていくレックスはちょっと悲しいものがありますが、彼は納得してその運命を受け入れるのです。ついでにワイルド・ガールことルーシーは青髪で「すべてはサイコー」の歌い手だったという過去も受け入れる。いや何だその大ネタ!そして父から世界を受け継いだ少年は妹を受け入れ、さらに拡がりのある世界を創造していくのです。ちなみに父役のウィル・フェレルは今回声のみの出演で姿を見せませんが、もうレゴ飽きたのか?前作の決め台詞「僕のズボンどこー?」で絞めるというのがニクいです。

あとは楽曲がいちいち良いですね。頭にこびりつく歌は本当にこびりつくし、すべてはサイコーとも結び付いていくのが非常にエモーショナル。かと思えばモトリー・クルーの「キックスタート・マイ・ハート」が流れたりするのもアガりますよ。そしてなんだあのエンドロールは!最高の映画を作った最高のやつらの名前を見逃すな、エンドクレジット最高、クレジットと結婚したい、とクレジットを盛り上げるという意味わからんほどの潔い歌詞、そして劇中のキャラやシーンを表した人形を回転して組み合わせ動かすという、あれはCGじゃなくて実物ですよね?なんだあれスゴい。さすがに続編であるために斬新さという点では前作に及びませんが、予想外のドラマチックな展開や観る者を楽しませようという精神は前作に負けてません。楽しくてサイコーです。

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