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2019
03.12

画面の向こうに見知らぬ恐怖。『アンフレンデッド:ダークウェブ』感想。

Unfriended_DarkWeb
Unfriended: Dark Web / 2018年 アメリカ / 監督:スティーヴン・サスコ

あらすじ
近眼の人は近くで観よう。



新たに入手した中古パソコンで仲間たちとSNSに興ずる若者マタイアス。しかしそのPCに残っていたらしき元の持ち主のアカウント宛に次々とメッセージが送られてくる。やがて監禁された女性の動画など怪しい動画がPC内に見つかり、見知らぬアカウントからの脅迫めいたメッセージまでが送られてきて……。全編PC画面で展開するホラー『アンフレンデッド』の続編。

『ゲット・アウト』『ミスター・ガラス』など数々のホラーやスリラーを送り出してきたジェイソン・ブラムと、『search サーチ』もプロデュースしたティムール・ベクマンベトフが、前作『アンフレンデッド』に続き手掛けた続編です。監督はハリウッド版『THE JUON 呪怨』のスティーブン・サスコ。前作同様全てがパソコンの画面上で展開し、チャットやスカイプやSNSなどを使って物語が進んでいきます。大学の元同級生らしき6人の男女がスカイプで話すなか、主人公のマタイアスが手に入れたPCに送られてくる謎のメッセージ。そこには元のPCの持ち主が絡んでいるらしく、「PCを返さないと殺す」という脅迫めいたものまで送られてきます。数々のツールを次々使いながら語られる不穏な動き、ウインドウに隠された見えない部分で進行する怪しさなどが緊張感を煽り、やがて彼らを悲劇が襲います。

キャストは無名の若手たちが集まってますか、それだけにごく普通の若者がネットでやり取りしてるというリアルさがあります。マタイアスの他には、ナリとセレーナの同性カップル、技術に強そうなデイモン、お調子者のAJ、クールな女性レックスといった面々。またその裏でマタイアスの彼女である聾唖の女性アマヤが登場し、彼女が耳が聞こえないというのが前作とは異なるスリルを生み出します。ただ、全編PC画面という斬新さと工夫を凝らした見せ方による怖さが実にフレッシュだった前作が続編でどうくるかと思いきや、微妙にジャンルが変わって「そっち行っちゃうの?」という方向に。あとスリルもエグさもあるものの、前作と関連しないのもちょっと残念。

画面固定なので小さい字が見えにくい&情報が多くて字幕が追い付いてない、というのは微妙に痛いです。あと若者たちがちょっと気の毒になってきちゃうんですよねー。デスクトップ映画としては『search サーチ』があまりに出来がよかったのでどうしても比べがちですが、それと比較するのはさすがに酷でしょう(製作は同じ人だけど)。ただ前作とはまた別の観点で恐怖を描こうとした意欲は買いたいところです。

↓以下、ネタバレ含む。








冒頭はログイン画面から始まるわけですが、ここでパスワードがわからず何度も入れ直すところであれ?と思います。マタイアスがネカフェで放置されてたのを拾ってきたPCだからなんですが、結局「?」で入れるところからしてちょっと怪しい。この後マタイアスは「タダより高いものはない」ということを身を持って知ることになります。前作がオカルティックなホラーだったため、どうしてもその方向性を期待して観てしまったんですが、ホラーというよりスリラーなんですね。霊的な何かによる理不尽な恐怖ではなく、より現実的な枠組みで追い詰められていく者たちの悲劇。マタイアスが口にした「ゲーム・デイ」が奇しくも現実で行われていくわけです。

友人たちとくっちゃべりながらその裏でしつこくメッセージを送ってくる「エリカ・ダン」、その相手らしき「ノラC・Ⅳ」まで現れて、PCを返さないと殺すと脅してくる。前作で描かれた知らない人が干渉してくる気持ち悪さというのを押し進め、スカイプでは「ザ・サークル」という謎のコミュニティまで現れて、文字通りサークル状に囲まれる、というのは恐怖です。PC画面ならではの恐怖演出というのは、前作や『search サーチ』の後ということもあって正直新鮮味には欠けますが、得体の知れない何者かに集団で監視されていると示されるのはなかなかおぞましく、続編は数で勝負、というのをやってくれるんですね。恐らくPCを持ち帰った者がターゲットになるという取り決めで行われていたのでしょう。

ただ、いまいちこの集団の目的がよくわからないです。獲物を追い詰めていくことを楽しむという単なる殺人ゲームということなんでしょうが、だとしても実行犯が必要なわけでリスクが高いと思うんですよね。まあその辺りは上手く対処するんだとしても、実行犯はアメリカ全土に待機していなければならず、デイモンなどは一人だけロンドンなので世界規模でメンバーが必要になります。そういったところが現実感に欠けるし、それ以前に殺人者が現れると画像が乱れたり(ジャミング?)、すぐさま殺す者が現れたりするので、霊的パワーだオカルトだと思って観てしまうんですよ。それが違うとわかってどうしても肩透かしの気分に。そういう点ではむしろオカルトとか意識しなくて済む前作未見の人の方が楽しめるのかも。

個人的にいまいちノレなかった理由としてはもう一つ、ホラーによくある「こいつらはもう死んでもしょうがねえな」というウザさが足りないので、なんかこの若者たちがかわいそうになってくるんですよ。アマヤのルームメイトであるケリーがもらい死にするのはいいとして(いいんかい)、レズビアンカップルのセレーナとナリは偏見を乗り越えて結婚までこぎ着けたというのに「母親か恋人か選べ」とか惨すぎてツラいです。アマヤが耳が聞こえないことで危機に晒されたりAJが踏み込んだ警察に撃たれるのなどもイヤ~な気分になるし、皆で仲良く写ってる写真が映されるのもあって、怖さや驚きよりも後味の悪さの方が強いです。そう思えるというのはそれだけ人物描写がよくできているということなんでしょうけどね。

最後に現れるさらわれていた女の子エリカ・ダンの頭に穴が開いてるのは、「穿孔」という言葉が出てたのでその処置を施されたのでしょう。目覚めたらアレというのはイヤだな。そして予想以上に規模の大きいゲームであることが明かされるラストにもドス黒いイヤさが。というわけで振り返れば一貫してイヤホラーでありました。

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