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2019
02.21

新たなる海の神話!『アクアマン』感想。

aquaman
Aquaman / 2018年 アメリカ / 監督:ジェームズ・ワン

あらすじ
フィッシュマンではない。



海底人と地上人の両方の血を引くアクアマンことアーサー。地上で育てられた彼の元にやってきた海底人のメラは、アトランティスの王オームが人類征服のために地上に攻め入ろうとしていることを告げる。アトランティスとの戦いに身を投じていくことになるアーサーだったが……。DCコミックスのヒーロー、アクアマンの活躍を描くヒーロー・アクション。

『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』で顔見せし、『ジャスティス・リーグ』でDCFU(DCフィルム・ユニバース)に本格参戦したアクアマンの初単独作。海底の帝国アトランティスの女王である母と、地上の人間である父の間に生まれ、水中では呼吸ができ猛スピードで泳げるアーサー・カリーことアクアマン。そんな彼の異父弟である海底帝国アトランティスの現在の王オームが地上に攻め入ろうとするのを知ったアーサーは、これに対抗することになります。ワイルドな風貌と豪快な強さでDC一の快男児として『ジャスティス・リーグ』でも存在感を見せたアクアマンが主役、加えて監督が『ワイルド・スピード SKY MISSION』『死霊館 エンフィールド事件』のジェームズ・ワンということで期待はしてましたが、これが期待値を遥かに越える面白さ!最高です!!

色鮮やかな水中世界や幾多の種族といった世界観はほとんどSFでもうワクワクが止まらないし、空間を立体的に使いカットを割らずに描くアクションはさすが『狼たちの死刑宣告』のジェームズ・ワンという感じで最高にアガります。アクションがあまりにカッコよすぎて泣けてくるんですよ。そしてワイルドなのに憎めないアクアマン役の『ワイルド・ブレイブ』『バレット』ジェイソン・モモアの魅力全開!難しさはなく、かといって平坦ではない起伏に富んだ話運びに高揚感はノンストップ。そしてなんと堂々たる英雄譚!

アーサーと共にアトランティスの侵攻を止めようとする王女メラ役に『リリーのすべて』アンバー・ハード。ただのヒロイン枠ではない勇ましい姿を見せてくれます。二人が対峙する王のオーム役には『死霊館』シリーズや『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』のパトリック・ウィルソン。『ウォッチメン』ではヒーロー役でしたが、端正な見た目と膨らむ野心をもつヴィランとして良い感じです。もう一人アーサーの前に立ちはだかるブラックマンタ役は『グレイテスト・ショーマン』ヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世、体もデカいが顔もデカい。彼がまたね、イイんですよ。そしてメラの父ネレウス役は『クリード 炎の宿敵』ドルフ・ラングレン!アクションはないもののその威厳ある存在感がたまりません。アーサーの母でありアトランティスの女王であるアトランナ役の『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』ニコール・キッドマン、アーサーの師であるバルコ役の『ジョン・ウィック』ウィレム・デフォーに至っては色々仕掛けがあって驚きます。

いちいちカッコよくてバラエティーに富んだアクション、海中ならではのエフェクトや海の生き物の活躍、奥行きのある絵面などなど、全てに興奮。アーサーは並外れた強さはもちろん、敵を見殺しにしたことさえ後悔する優しさ、怖いと言いながら果敢に突っ込む勇気とナイスガイさがとどまることを知りません。様々な映画の良いところを集めたような、それでいてフレッシュな娯楽要素満点な出来。もうDC映画はダークだなんて言えないぞ。

↓以下、ネタバレ含む。








■娯楽要素の見本市

アトランティス帝国という海底の国が舞台なので半分以上は海中、というのがまずチャレンジングなんですが、これを独自のものにしてるのが画面の色使いです。本来なら序盤の潜水艦シーンのように暗い水中にせいぜい陽光が射すくらいですが、アトランティス人は暗い海でもよく見えるからということで海中の色彩を思いきって明るくしており、これによりカラフルで幻想的な世界が現出して多彩な映像が。この大胆な色彩は『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の色鮮やかな銀河を彷彿とさせます。クライマックスのオーム軍vs甲殻軍などは青と赤の激突が実に鮮やか。またずっと水中なだけにフワフワ揺れる人物やなびき続ける髪なども全て描くのが凄い。VFXスタッフの仕事ぶりに頭が下がりますよ。オーム軍の騎乗するサメやネレウス軍のデカいタツノオトシゴといった海の生物がクリーチャー感あるし、人型以外の魚人、甲殻、海溝、といった様々な種族が異星人感があって面白い。ハイドロ砲やレーザーなどの色鮮やかな攻撃もあってまるで『スター・ウォーズ』のよう。絶滅した砂海族がどんなんだったか気になります。

バトルが続くのかと思いきや、トライデントを探すために冒険ものが始まるのも面白い。砂海の砂漠のなかに遺跡があって、そこでキーアイテムを手に入れるとか、シチリアの美しい風景のなかロムレスの像に瓶を置いて隠し場所がわかるとか、『レイダース 失われたアーク』みたいな宝探しアドベンチャー。流れ的には不自然ではないんだけど、一瞬何を観てたのか困惑する感じが逆に愉快です。こんな具合に様々な娯楽映画の要素がひしめいていて、トライデントを手にする様は『キング・アーサー』のようだし、海底で現れる巨大生物カラゼンは『パシフィック・リム』を思い出すし(と言うかあれよりデカい)、オーム軍と甲殻の激突などは、縦横無尽なカメラワークに食って食われての長回しが『ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還』的でさえあります。そもそもがヒーローもので兄弟の確執とくれば『マイティ・ソー』ですね。

でも被りまくってるように思えるわりには二番煎じな感じがしないです。これは細部にまで世界観の描写が行き届いているからこそでしょう。灯台でのロマンスから海中での陰謀、アトランティスの威容やドレスがクラゲという美術や小道具、アーサーのメンターであるバルコとの関係、メラのお飾りではないプリンセスとしての行動、朝飯奢ると言って朝からビールを飲むアーサーと父親との関係などなど、挙げたらキリがないです。適度なコミカルさも気持ちいいですね。フィッシュボーイとか言われても写真撮っちゃううえに大盛り上がりするアーサーとか、腐った魚の匂いも今よりマシだとか(アーサー臭いの?)、バットマンの影響か「6時の方向」と言っても通じず結局「後ろ」と言い直すとか、一緒に花食べちゃうとか、包帯代わりに昆布や海草巻いちゃうとか、ちょいちょい笑わせてくれるのが楽しい。キスシーンでは背後で爆発が祝福の花火のように映って、笑っちゃうけど美しくて泣いちゃうという稀有なシーンです。


■アクションで綴る物語

工夫を凝らしたアクションが見事に連なり、そのアクションが物語を推進する、というのも大きな魅力の一つ。最初にそれを見せてくれるのがアトランナ女王というのも意外ですが、このカメラが大胆にぐるりと回りながらのワンカットであっという間に刺客を倒しちゃうシーンのカッコよさには泣きそうになるほど。地上でさえこれですからね、水中ではさらに上下左右手前奥に自由自在にカメラが動き回り、かつ超スピードで泳ぎまくる姿はスーパーマンなみの瞬発力です。アーサーが潜水艦を猛スピードで浮上させ飛び乗る姿も決まりまくりだし、『ミッション:インポッシブル フォールアウト』なみの降下シーンはさすがのトム・クルーズも真似できない着地方法で豪快。素晴らしいのはシチリアの屋根の上のデッドヒート、手前のアーサーと奥のメラを行ったり来たり下に落ちたりと『ボーン・アルティメイタム』やジャッキー映画をさらに愉快にしたようなトリッキーさで、ブラックマンタとのバトルとメラのバトルを文字通り並行して描くというのが臨場感です。空間の使い方が抜群に上手いですよ。

ブラックマンタはアクアマン最大のライバルということでオリジンから描かれます。ハイドロ砲をアレンジしてスーツに組み込んだり、ジェット噴射をして大ジャンプしたり、仕込みナイフをシャキン!と言わせたり、一見土偶っぽいですが観てるうちにカッコよくなってくるし、アクアマンと互角に戦う上に深手まで負わせるのが大したものです。また意外とバトルもいけるメラは、アーサーの父を救うシーンで水を操る能力を見せておき、それが徐々に活かされていくのが良いです。シチリアで棚のワインが漏れるのを見るシーンでは「これはくる!」という熱い予感で思わず泣きそうになりますよ。まさかあんな『シャイニング』みたいになるとは思わなかったですが。

他にもアクションシーンは目白押しで、半魚人みたいなトレンチの大群に海底で追われるシーンは、引きの画は静かで寄りの画は轟音というギャップで魅せつつ、画面を埋め尽くしていくトレンチの群れには背筋が凍るという、さすがジェームズ・ワンというホラー的演出も。そしてカラゼンの登場はまさに大怪獣現るという感じで、あまりのスケール感に度肝を抜かれます。ちなみにカラゼンの声を演じるのは『メリー・ポピンズ』のジュリー・アンドリュースだそうで、一体なぜ。どうやら『ロード・オブ・ザ・リング』のジョン・リス=デイヴィスや『ガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシー』のジャイモン・フンスーも声を当ててるようで、先に挙げた映画のタイトルもあながち的外れではないのかも。他にも車で走ってるときの特大津波の迫力とか、オームとのコロッセオ的舞台での立体バトルなど、これまた挙げたらキリがない見せ場の連続です。


■王の証

人間と海底人の合いの子として祖国から阻害されるアーサーの物語はいわゆる貴種流離譚ですが、王族だと明かせば元に戻るというわけもいかず『ブラックパンサー』のように対決する羽目になります。しかし挑発に乗ったがために一度オームに敗れるんですね。メラが「ステッペンウルフを倒した」と言うことから本作が『ジャスティス・リーグ』以後の話であることがわかりますが、あそこで散々強い姿を見せていただけにオームも只者ではない強さであるのが推し量れます。オームは地上を征服するという野心から海賊に奪わせた潜水艦で襲われるふりをして統一を進めます。一方で王位継承者であるアーサーに対しては、母への愛情がこの異父兄への恨みへと繋がっており、自分の邪魔をしようとするのもあって戦いは不可避に。そしてこの戦いはアーサーが真の海の王となるまでの試練にもなっているわけですね。

アーサーには魚たちを操る能力があるのも強み。それをわからせる序盤の、母の飛び込んだ海から子供の頃の水族館に繋がり、大水槽の魚みなが集まって従うシーン、からのタイトルという流れは神々しくて泣きそうになりますよ。この能力がしっかりクライマックスで活かされるのも上手い。またブラックマンタの父を見殺しにしたのを自分の責任と後悔し、メラに「そのせいで君がケガをするのも自分のせい」と、剛胆なだけではなく他者への優しさも見せるところに王の器を感じさせます。溶岩で死んだふりをして鯨の口のなかに隠れるピノキオ方式をやってみせたりとお茶目な一面もあり、この辺りはジェイソン・モモアの存在感もあってアーサーへの好感度は上がる一方。また母が死んだのは自分のせいだと思っており、それが負い目にもなっているんですね。

しかし生きていたアトランナ!冒頭のアトランナに、ニコール・キッドマンに似てるけど若いなあ誰だろう、などと思っていたら本当にニコール・キッドマンで驚きましたが、わざわざ若返らせるということは今のニコール・キッドマンの姿でも出てくるんだろうな、と察しがつくので生きているのは予想できたんですが、まさかあんな歴戦のアウトロー戦士みたいな姿で出てくるとは。母が20年も一人で生き延びてきたというのは『アントマン&ワスプ』でも見たばかりですが、まあいいじゃないですか。ついでにバルコのウィレム・デフォーまで若返っていてツヤツヤなのはちょっと笑いました。ともかく、生きていた母とメラの「王より偉大な者、英雄になれ」という言葉を聞いたアーサーの決意の顔が超カッコいい。アーサー王から名前を取ったというエピソードがトライデントを抜く姿の伏線にもなっていたわけです。槍を抱えていたのが初代アトラン王なのでしょう、引き抜いた途端に消え去りますが、その一部は槍に宿るように吸い込まれます。そして黄金の鎧をまとい、コミック同様のアクアマンの姿になるというのが熱すぎて泣けてきます。


■新たな神話の誕生

海底の各部族が会して繰り広げる一大決戦、それをカラゼンをも率いて止めに来るアーサー、さらにアーサーとオームの最終決戦と畳み掛けるラストは息つく間もないという感じです。バルコが「そのうち教える」と言っていた回転バリアをトライデントでキメるアーサーには感無量。そして以前オームに"真っ二つ"にされた母の槍のお返しに、オームの父の槍を"粉々"にして決着。戦いを鎮め、海の覇王・オーシャン・マスターとして槍で地面を打ち鳴らした後に鬨の声を上げるアーサーは、実に「英雄」という呼び名が似合います。最後のモノローグがまたカッコいいんですよ。「灯台守と海の女王、二つの世界が出会った。陸の息子、海の王、深海の守護者、アクアマン」と、英雄の名前で締めるというのがまさに伝承の物語という感じで熱いです。

というわけで、どこをとっても最高!としか言えないヒーロー・アクション映画でしたよ。泣くシーンじゃないのに泣きそうになる、というのが最高の証。いやあジェームズ・ワンありがとう!エンドタイトルの後には生き残ったブラックマンタが怪しげなドクターに救われるおまけ映像があるので、当然続編は視野に入っていることでしょう。DC映画はベン・アフレックがバットマンを降板したと言うし、ヘンリー・カヴィルもスーパーマン卒業と報じられ、せっかく集まったジャスティス・リーグはどうなるんだという心配が膨らみますが、アクアマンがいれば何とかなる!かもしれない!今後を見守りましょう。

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